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NIPS2017:2日目
2017/12/06 ブログ 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

2日目の最初のセッションは機械学習をゲノム解析に適用する話でした。スピーカーはBrendan Freyで、元々はGeoffrey Hintonの元で研究をしていて、今はDeep Genomicsという会社を起業して、2015年には彼らが発表した論文がNatureに取り上げられました。彼の論文は全部で3万件近い引用があり、研究者としてもトップクラスの実績を持っています。娘に遺伝子関係の問題が発覚し個人的に遺伝子異常の問題と向き合ったこともあり、問題に対する解決策を作りたかったという強い思いを語っていました。

NIPSではスポンサー企業の多くがブースを出して自社の製品を売り出したり、採用活動をしたりしているので、今日はそのブースを回りました。マイクロソフト、IBM、グーグル、アップルのような大手はもちろんのこと、他にもいろんな会社が出展していました。自動車メーカーからはベンツとアウディが出展していて、ベンツはシリコンバレーのオフィスに在住している研究者が200人以上いて、多くが自動運転の研究に従事しているようです。ディープラーニングをするためにGPUという特別なマイクロプロセッサを必要としますが、その市場を今では独占しているNVIDIAもブースを出しており、そこで彼らの製品を売り出していました。彼らはチップだけではなく、画像認識ようのキットとしてJetsonという開発者向けの小さなボードを売り出したり、最新のGPUを何個も搭載したスーパーコンピュータを数百万円くらいの価格で売り出していました。音声から感情を読み取って表情を再現するという研究もしていて、そのデモもしていました。最後にファイナンス系の会社も多く、業界のトップリサーチャーを惹きつけて証券の取引戦略を練るというクオンツ系ヘッジファンドもいました。

午後はKate CrawfordというNYUの教授が「The Trouble with Bias」という素晴らしい内容の発表をしました。機械学習の研究のなかに存在するバイアスの危険性についての話で、機械学習の研究者として、今このNIPSに参加している研究者が持ち得る力と、それに伴う倫理的責務について目が覚める内容でした。機械学習の得意技である「分類する」という行為は実は人間に当てはめるととても危険なもので、ドイツのヒットラーの元でユダヤ人の選別が虐殺に繋がる例や、アフリカのアパルトヘイトなどで人種の分類などにより自由が制限される例などを話しました。最近ではトランプが移民政策の一環として機械学習のコミュニティに移民の分類機を作る要請を出したようで、彼女をはじめとする権威数名でその危険性を啓蒙するとともに強く反対する姿勢を見せています。それ以外にも、例えばグーグル検索で「CEO」と検索すると、女性が出てこない例や、「She is a doctor, He is a nurse」という文をトルコ語に訳して英語に戻すと「He is a doctor, she is a nurse」と性別が逆転してしまう例などを取り上げ、機械学習の研究の根幹をなす標準化されたデータセットにバイアスがあることによってモデル自体もバイアスがかかってしまうことを述べていました。

次に、今年から始まった新しい賞で、「Test of Time」賞というものがあり、10年前(±1年)の研究論文を振り返り、10年経った今でも重要でそれだけ影響力が強かった論文に与えられるものです。てっきり今のディープラーニングに発展したタネのような研究が取り上げられるものかと思いましたが、そうではなくAli Rahimi氏のランダム最適化アルゴリズムでした。彼の話はすごく面白くて、科学的アプローチへの回帰を呼びかけるものでした。「今皆ディープラーニング、ディープラーニングと言っていますが、10年後に本当に重要だと言える発見がこの分野でされているのか、その答えはNoだと思う」と言っています。精度が良いから大丈夫というのではなく、ちゃんと中身を理解した上で研究を進めるべき、というのが彼の意見でした。昨今のディープラーニングバブルの中で、しかもディープラーニングの研究の頂点にあるとも言えるこのNIPSでそういう発表をする度胸と新鮮さに感嘆しました。

最後に、2日目からデモセッションが始まり、チャットボット、ロボット、ポーカーAIなど様々な面白いデモを見ました。ロボットの特色は、たった1回動作を見せるだけで、その真似をできるというOne Shot Imitationを実践していて、膨大な教師データがなくてもすぐに学ぶロボットを作る最先端の研究を見れました。

ランチは昔の同僚と、当日仲良くなったグーグルの研究者と食べました。ではまた明日!

友人とのランチ。左からアップルのエンジニア、弊社CTO長谷川、グーグルの研究者、バイオ系の研究者。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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