Deep Learning & AI Assistant Summit:2日目

こんにちは、CTO長谷川です。Deep Learning Summit2日目の報告です。

Deep Instinct社のCTO、Eli David氏は、自社でディープラーニングを活用してコンピュータのウイルスやマルウェアの検知をしています。Deep Instinct社は、マルウェア検知という新領域にディープラーニングを活用していることから、2017年にNVIDIAから「Most Disruptive AI Startup賞」を受賞しています。毎日、約100万の新しいマルウェアやウイルスが新たに開発される中で、どのようにディープラーニングを活用しているかを説明していました。まず約2億ファイルの学習データを準備し、ファイルがウイルスかどうかを判別する分類器をディープラーニングで開発しています。従来の方法と比べてディープラーニングが優れている点は、特徴量の生成などを行う必要がなく、生のファイルを学習データにそのまま使えるという点です。また、従来型の方法で開発された検知システムは、時間が経過するに連れてその効力が著しく低下しますが、ディープラーニングで開発したDeep Instinctの検知システムは時間が経過しても効力が保たれるそうです。そして、マルウェアの中でも更に7種類のマルウェアを識別する分類器を開発しています。これは、ファイルの中で頻出する単語5万個を抽出し、それを分類器に当てるだけでかなりの精度で識別できるようになるようです。

プレゼンテーションの後も面白い質問がいくつも出ました。例えば、マルウェアを潜伏させる手法の一つとして、ファイル自体を暗号化して検知ソフトが察知できないようにする仕組みがあります。そのような暗号化されたファイルはどう検知するのかという質問がありました。それに対しDavid氏はハッカーが暗号化する仕組みが2通りあることを説明しました。まずは、ファイルが全て暗号化されていて、ファイル自体の暗号を解いて別ファイルになってからウイルスが作動する仕組みです。これについては、暗号が解かれた先にもう一つのファイルができるので、その新たなファイルに検知システムを流せば良いだけとのことでした。次に、より高度な手法として、ファイルが部分的に暗号化されていて、新たなファイルを作らずにファイル実行時に暗号を解きながらウイルスを作動させる仕組みです。これについては暗号化されていない部分だけを見ながら判別しなければいけなくて、その場合の精度は若干落ちるようですが、そういうファイルについても90%以上の精度で検知できるらしいです。

 プレゼンの後も質問を受けるEli David氏

プレゼンの後も質問を受けるEli David氏

Daphe Koller氏は、スタンフォードの教授をしながらCourseraというMOOCの創業し、現在はCalicoという医療系のベンチャーを経営しています。彼女はインタビュー形式でのセッションを受けていました。「当時、Courseraという概念を周りに説明した時にどんな反応があったか」という質問に対し、「大学の最重要資産とも言える授業の内容を無償で公開する大学なんてあるわけがないと笑われたが、スタンフォードやUPennなど先進的な考え方をする大学は、無料で公開することによってより認知度が広がり、質の高い学生や研究者を連れてこれると考えてくれて、助かったし、その考え方は正しかったことが今となっては立証された」と答えていました。機械学習の民主化については、様々なツールが出てきて、個人の研究者でも簡単にディープラーニングができる環境が整ってきていることは素晴らしいが、モデルが本当に正しく機能しているかを理解せずに使うことは危険だとも言っていました。最後に、女性でありながらこの業界でキャリアを形成することの大変さの例として、Coursera時代で実際にあったメールのやり取りの話をしていました。とある大企業との商談をするに当たって、その企業の社長に次のようなメールを出しました。「初めまして、CourseraのCOOのDapheです。アシスタントのJamesをCCしましたので、彼と会議の日程を決めてください。」そして返事が、「初めましてDapheさん、是非Jamesの予定が空いている日程候補をいくつか挙げてください」と、彼女がアシスタントだと勘違いしたメールが来た話をしていました。

 インタビュー形式でのDaphne Kollerとの話

インタビュー形式でのDaphne Kollerとの話

最後に会場ではベンチャー企業の支援やリクルーティングの仕組みも整っていて、人材募集用の掲示板や、VCがベンチャー企業にアドバイスをするためのセクションなどが設けられていました。

 人材募集掲示板

人材募集掲示板

 ベンチャー企業支援パネル。Andreesen Horowitz, Trifecta Capital, Toyota Ventures, 500 Startupsなどが名前を連ねる

ベンチャー企業支援パネル。Andreesen Horowitz, Trifecta Capital, Toyota Ventures, 500 Startupsなどが名前を連ねる