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ビジネスインサイダー 記事掲載「アマゾン開発部隊がWeWorkに入居する理由 IT大企業の活用はここまで来た」

2018/03/30 メディア掲載実績 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

アマゾン開発部隊がWeWorkに入居する理由 IT大企業の活用はここまで来た

パロアルトの風景
shutterstock

シリコンバレーから最先端のAI戦略や技術を日本企業に導入する仕事をしている、AIビジネスデザインカンパニー、パロアルトインサイトCEOの石角友愛です。

私の会社はデータサイエンティストを200人ほどネットワーク化してプロジェクトを動かしていますが、開発チームやアドバイザーチームはシリコンバレーをはじめとするアメリカ各地にいます。

各チームではリモートワークが当たり前ですし、実際ほとんどの人が沖縄でも、ニューヨークでも、好きなところから仕事をしています。こうなると、「チームが仕事をする場所」としてのオフィスは、ほとんど必要ありません。しかし、ホワイトボードを使って打ち合わせをするとき、クライアント企業とのミーティングのとき(これが一番多いのですが)などに、やはりハブ(活動拠点)が必要です。

そこで私たちはコワーキングスペースを拠点としています。なかでも一番気に入っているのが、日本にも先日上陸した「WeWork」です。

アメリカ大企業のWeWork活用はここまで進んでいる

WeWorkのバレータワーズオフィスにて
写真:石角友愛

約1年前、アマゾンの研究開発部隊(ハードウェア専門チーム)の「Lab126」がシリコンバレー近郊のサンノゼ市ダウンタウンにあるWeWorkオフィスの一部をフロア借りしたという事実は、シリコンバレーのローカルニュースでちょっとした話題になりました。

彼らは、KindleやAmazon Echo、Fireタブレット、Dashボタンなどを生み出した優秀なチームです。弊社も同じオフィスを使うこともあり、しばしばLab126の人とエレベーターで出会います。ビルの8階は全てLab126が借り切っていて、そのフロア面積は1万4000スクエアフィート(約1300平方メートル)、そしてもう1フロア借りる予定があり、その際には140人ほどのLab126の社員が収容できるそうです。アマゾンはアグレッシブに各地展開をしており、バンクーバーでもWeWorkと2年のリース契約をしたと報道されています。一切待たずに7万6000スクエアフィート分のオフィススペースを一気に確保できるのはアマゾンのようなスピードを重視する会社にとっては意味のあることなのでしょう(しかし、後で述べるイノベーション増幅装置としての戦略があるため、WeWorkは全スペースをアマゾンにリースすることを断り、全体の8割だけをアマゾンにリースすることで合意したそうです)。

その他アメリカ企業の事例では、マイクロソフトが有名です。2016年末の段階で、300人の社員(営業チームの7割)に、ニューヨーク・マンハッタンのWeWorkオフィスへのアクセスを与え、スタートアップ業界とのコラボレーションを図る計画を実施、その結果社員の満足度が92%にまで上昇したということです。その他、不動産プラットフォーム大手のRedfinの本社や、HBO(テレビ局)のシアトル支社では、WeWorkを拠点としています。

WeWork全体の売上の約30%が社員数1000人以上の大企業のリース収入によるもので、2016年から2017年にかけて大企業のWeWork化は5倍ほどに進んでいるとの報道もあります。

一方、WeWorkの競合であるAlley社は、米大手携帯キャリアのベライゾンと提携発表したことが話題になりました。この提携でベライゾンの副社長は、異業種とのネットワーキングに対する期待を「この提携の本当の価値は起業家たちをベライゾンの社員に会わせることだ。発明はベライゾンの外で起こっており、そのトレンドの一部になりたい 」と語りました。

「イノベーション増幅装置」としてのコワーキング

サンノゼにあるWeWorkバレータワーズオフィス
WeWork

コワーキングスペースは、いまや大企業がイノベーションの促進剤として活用する存在になりました。実際にアメリカでヘビーユーザーとして使っている私の目から見た「WeWorkの良さ」はこんなところです。

まず、WeWorkで私が好きなところはコミュニティマネージャー(受付デスクに座っていて、いろいろなサポートをしてくれる人たち)の質の高さです。みんな明るくて、名前を覚えてくれていて、カップケーキなどの差し入れもしてくれます。

突然頭痛が襲って来たときに頭痛薬なども常備してあり、アスピリンかイブプロフェン、どっちがいい? とすぐに聞いてきてくれます。またクライアントが来た時の対応の感じの良さも商談にプラスです(ちなみにお茶汲みなどは自分でやり、マグカップも自分でキッチンまで戻します)。

また、オフィスの壁はガラス張りです。オフィスの隣人が誰かもわかっていて、とてもオープンな環境です。仕切りで隔離されていて、顔が見えない環境ではありません。もちろん、オープンさを好まない人もいると思いますし、特別防音加工されていないので音が気になる人もいると思います。しかし、私はこのオープンさが気に入っています。

シリコンバレー近郊のWeWorkオフィス一覧
制作:松本幸太朗

サンフランシスコの金融街にあるWeWorkセールスフォースタワーオフィス
WeWork

例えば先日、私が仕事をしていたら「iPhoneの充電器ちょっと貸してくれない?」と隣人がノックしてきました。後で分かったことですが、彼は隣人ではなく、普段はサンフランシスコ のWeWorkを利用していて、たまたまミーティングでそのオフィスに来ていただけでした。そこで15分ほど「どんな仕事してるの?」「アップルをやめて起業したんだ」というような会話をして、そこからエンジニアを紹介してもらったりと仕事に結びつきました。

また、以前私が使っていた別のコワーキングスペースでは、サンフランシスコに本社を構えるIT企業(Uber、Lyft、Postmatesなど)がシリコンバレー地域のオフィスとして利用していたため、そのような会社のうち何社かと契約に繋がったこともあります。似たような職種の人が集まっていることと、オープンさを重視したオフィスのデザインのメリットがよくわかる一例です。

アプリで各地域のWeWorkersが一体化する

WeWorkの価値を高めているもう1つのポイントが、会議室の予約システムと連動した、入居者向けのWeWorkコミュニティアプリです。その使いやすさゆえに、世界中のWeWorkers(と入居者たちは呼んでいます)が掲示板で各々に自分の会社の課題や質問をなげかけています。

WeWorkのイントラSNS。Webアプリになっていて、会議室の予約のほか、入居者どうしのコミュニケーションがとれる掲示板機能などもある。画像は日本のWeWorkで提供されているもの。
提供:浅枝大志

例えば、あるワシントンDCの弁護士事務所の経営者が、掲示板に「誰かいいフォトグラファー紹介して」と書くと、「この人がおすすめだよ」という答えがすぐに返ってきます。「みんなどのウェブ会議システム使ってる?」と聞くと、世界中のユーザーが返事を書いたりもします。

すぐに大きなイノベーションを生むわけではなくても、まずはコミュニケーションを図ることが重要なのです。このアプリによって、別の拠点のWeWorkersともつながれて、それが将来の新しい仕事やイノベーションにつながっていく。そういった顧客体験になるようなデザインがハードな部分(オフィスデザイン)とソフトな部分(アプリUI)で意図的になされているのです。

コワーキングスペースの知見を大企業が利用しはじめた

写真:石角友愛

WeWorkの「出会いとイノベーションを促進するオフィスデザイン」のノウハウは、ついにWeWorkの外に出始めています。

最近、職場環境の向上に関する彼らの知見を、各企業へと導入支援する部隊ができています。これはある意味で、コワーキングスペースが中心となり、大企業向けに働き方改革を推進し、仕組み作りをしているとも言えます。

優秀な人材にとって超売り手市場の中、職場環境の向上は企業の大きな課題です。給料を数パーセントあげても、味気ないオフィスで仕事をするような環境では、アメリカでは最高の人材は獲得できません。

自分らしさを追及して、自由に異業種の人と交流できる環境を好む人が世界的に増えています。今後どんどんギグエコノミーが広がり、副業が推進され、オフィス勤務という働き方以外も受け入れられるようになるでしょう。人材供給サイドとしても、社会基盤としても、コワーキングスペースは一層、必要不可欠なものとなると思います。

ギグエコノミー:隙間時間のお小遣い稼ぎではなく主収入源として、また企業に社員として就職するのではなく、フリーランサーや事業主として生計を立てる人々のことを指す言葉。マッキンゼーのレポートによればアメリカの就労人口の30%がそれに当てはまるとされる。そのうちの7割は好んでその就労形態を選んでいると言われ、働き方への価値観の変化のあらわれとも言える。

最後に、異業種のWeWorkersが集まることで、情報管理は大丈夫か、という声もあがりそうですが、問題ありません。ネットワークは独自の回線が簡単に引けますし、実際に多くのWeWorkersが自社のネットワークを使っています。

いまやWeWorkにオフィスを出す大企業は役割分担をはっきりとさせています。研究開発チームなど実験フェーズの部門がWeWorkを使うことが多いのです。これは、情報管理と同じくらい、コラボレーションやクリエイティビティを促す環境作りも大事だと考えている証ではないでしょうか。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。また、毎日新聞「石角友愛のシリコンバレー通信」、ITメディア「石角友愛とめぐる、米国リテール最前線」など大手メディアでの寄稿連載を多く持ち、最新のIT業界に関する情報を発信している。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧

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