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日経クロストレンド 連載第4回「アップルWWDC 焦点はプライバシーとパフォーマンス、生産性」寄稿記事 掲載

2019/06/13 メディア掲載実績 
by 吉見知穂 

 

日経クロストレンド 連載第4回「アップルWWDC 焦点はプライバシーとパフォーマンス、生産性」寄稿記事 掲載

 

私が米アップル本社に在籍していた2011~17年の間は、毎年6月に開催されるWWDC(Worldwide Developers Conference)は特別な意味を持っていた。アップルは社内でも秘密主義を徹底しているため、社員だからといって当日発表される内容を全て知っているわけではない。どちらかというと、全く知らなかった内容が発表されて驚かされることのほうが多かった。14年に発表されたプログラミング言語のSwiftなどはその好例だ。こんなプロジェクトがあるなどという噂すら聞いたことがなかった。

そのため、自分たちが一生懸命に作り上げてきた機能や、他のチームが達成した素晴らしい結果を見るため、社員一同で食堂に集まってライブ中継される発表を見ていた。アップルでは社員が自社製品の最も大きなファンである。

今年のWWDCも、新しいMac ProというデスクトップPCの発表や、Apple Watchが電話から独立する傾向など、大きな発表がいくつもあったが、今回は陰の主役に注目したい。プライバシー、パフォーマンス、そして生産性だ。

画像認識 iPadで処理能力は十分なのか

プライバシーについては、例えばスマートホームアプリの中に監視カメラを組み込む際に、クラウドに動画をアップロードするのではなく、ネットワークにつながっているiPadやHomePodなどを使って解析と暗号化処理をしてからアップロードするという1ステップを取っている。暗号化することにより、アップルでさえもその動画にアクセスできないようにするためだ。

画像認識などの処理をiPadやHomePodを通して行うと発表したが、果たしてそれらのデバイスで十分な処理能力を発揮できるかが見ものである。現在のスペックでは少し物足りないだろう。クラウドの一歩手前にホームサーバーのようなデバイスが今後出てきて、プライバシーを守りながら高度なAI(人工知能)機能をローカルで実装するものが必要だと私は考えている。

また、「アップルでサインアップ」では、新規登録するサービスのために新たなメールアドレスを作成し、その新たなメアドをいつでも破棄できるというサービスを開発した。メアドを知られたくないユーザーにとってはありがたい機能だ。

パフォーマンス面でも、アプリのダウンロードのサイズを減らしたり、FaceIDやアプリ起動の時間を大幅に短縮したりしている。また、今でもかなり高性能なApple Pencilだが、遅れが20ミリ秒から9ミリ秒に短縮され、ほぼ鉛筆で紙に書いているのと変わらない処理速度となった。

WWDCで発表されたSwiftUIは、アプリ開発のためのフレームワーク。よりシームレスにプログラムコードとアプリの画面が連動した開発が可能になる
WWDCで発表されたSwiftUIは、アプリ開発のためのフレームワーク。よりシームレスにプログラムコードとアプリの画面が連動した開発が可能になる(写真/Shutterstock)

注目点の3つ目は、アプリ開発者の生産性を向上するために開発されたSwiftUIとProject Catalystだ。SwiftUIというフレームワークを使えば、よりシームレスにプログラムコードとアプリの画面が連動した開発が可能になる。これから新しいアプリを開発する開発者にとっては、余計なコードを書かずにユーザーインターフェースを開発することが可能になった。Project CatalystはこれまでiPad用に開発されたアプリを簡単にMac用に書き換えることを可能にする。

私がCTOを務めるパロアルトインサイトでは、クライアントのために2週間程度の短期間でアプリのプロトタイプを開発することがあるが、今回のSwiftUIを応用すれば、より短期間で完成度の高いプロトタイプが可能だろうという手ごたえを感じた。プロトタイプといっても、バックエンドやモデルなどの部分を省いたものだが、短期間で見て触れるものを提供することによってプロジェクトの理解が一気に深まることがあるので、有用な手法である。

モバイルの競争が激化し、顧客からの要望も増えている中で、アップルがこれらの3つの基本性能を絶えず改善していることは素晴らしいことである。リーダーシップがしっかりとこれらの価値を認識して社内で浸透させているからだ。直接の商品販売にはつながらないが、長い目で見るとユーザーにとって安全でかつ快適なモバイル環境を提供するための土台となるだろう。

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