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アマゾンが薬局グループを買収した理由 – 日経クロストレンド第8回 掲載

2019/11/16 メディア掲載実績, 日経クロストレンド 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

アマゾンが薬局グループを買収した理由 – 日経クロストレンド第8回 掲載

日経クロストレンド 第8回「アマゾンが薬局グループを買収した理由」【未来100社特別編】 

米国西海岸を拠点とするスタートアップの中で、数年前から注目しているのがステップだ。13歳から18歳を対象にしたティーン専用のモバイルバンキングアプリを提供して、話題を集めている。

米国では通常、18歳になるまで銀行口座を持つことができない。そのためキャッシュレスが進むこの国でも、ティーンエイジャーたちは現金でお菓子やコーヒーを買っているのが実情だ。とはいえ親の立場で考えると、多くの現金を持ち歩いてほしくないので、子どもにお小遣いをあげる適当な方法が見当たらないという問題もある。

ステップは、こうした未開拓のセグメントに注目してモバイルバンキングアプリを開発した。同アプリを活用し、若いうちからフィナンシャルリテラシーを身につけて、返済負担率や利子などに関する知識を実体験に基づき学ぶことは、大学に進学した後に大事になってくると、ステップのCEO(最高経営責任者)は考えている。

通常のモバイルバンキングとの違いは、ユーザーから一切、手数料を徴収しないことだ。ステップを通してステップカードというデビットカードが発行され、ATMでの引き落としやオンラインでの購入も可能。マスターカードと提携しているので一般的なカードと同様に買い物ができ、友人間で送金するのもアプリをワンクリックするだけだ。

米ペイパル傘下の米ベンモは、ステップと同じように手数料なしで簡単に友人間で送金できるアプリを提供し、浸透している。だが、この手のサービスでは、銀行口座を既に持っていることが前提となることが多い。口座がなくても利用できるステップは、ティーンに特化したサービス展開とマーケティングがライバルに対する強みになっている。

同社は「ステップスクアッド」という学生向けのリファーラル(紹介)プログラムをローンチしている。これは、ステップを友人に紹介するとお金がもらえるというもの。このような仕掛けはペイパルや中国アリペイがローンチした際にも使われたが、ステップの人気はそれに勝る。招待制となっているステップを使いたい人たちのウェイトリストは、ローンチ後の数カ月で50万人に達しているというから驚きだ。

またステップは2019年夏、シリーズAラウンドとして米ストライプのリードで2200万ドルを調達した。既に述べたように、口座がなくてもモバイルアプリでさまざまな取引ができる場を作ったこと、ウェイトリストに膨大な数の登録者がいることなどが評価されたのだろう。

ストライプはご存じの通り、フィンテック分野の巨大ユニコーン企業である。同社が投資をしたことで、ステップは2023年(3年後)くらいまでに、さらに大きな飛躍が期待できるのではないかと個人的には思っている。

次に、2025年(5年後)までのトレンドをみてみよう。この時期までに本格的に定着していると思われるものの1つが、採用におけるAI活用だ。この分野は現在でも(米ハイヤービューなど)多くのAIスタートアップが存在し、履歴書の選別やビデオ面接の際に表情を検知したりする技術などを提供している。

まだどのサービスもメインストリームにはなっていないが、この先を占う上で見逃せないのは、「カルチャーフィット」(企業文化への適応性)が採用基準として使われなくなったことだ。グーグルを始めとするシリコンバレーの巨大テック企業は、長年採用基準としてカルチャーフィットを重視してきた。だが、カルチャーフィットは採用時のバイアスを増幅させる可能性があると指摘され、急速に忌避されつつある。

集団訴訟を契機に「カルチャーフィット」を放棄

15年にはグーグルに応募した数百人が年齢による差別的な採用があったとして集団訴訟を起こした。グーグルは年齢差別を認めなかったが1100万ドルの和解金を払うことで決着した。そして17年には「グーグルらしさ(Googleyness)」とカルチャーフィットとを混同して使われることを問題視したのか、グーグルらしさと(バイアスを促す可能性がある)カルチャーフィットとは別のものであると明示し、採用基準を改訂する動きがあった。

採用現場における人間のバイアスは過去数年、研究者やビジネスで議論の対象になっている。いかに認知バイアスを減らして多様性のある人材を採用できるかが、会社にとって重要な課題になってきた。

日本で話題になった「内定辞退をする人を予測する」というような非倫理的なものではなく、応募者と採用者がウィンウィンとなるAIが増えてきている。

例えば、米ハーバード大学と米MITでニューロサイエンスを学んだフリーダ・ポリー博士が創業したPymetrics。心理学や脳科学、データサイエンスの博士号を持つ10人ほどのチームが経営陣となっており、科学的にバイアスをなくし両者にとってウィンウィンになる採用支援AIを開発している。脳科学に基づいたゲームやバイアスを除去するためのAIなども開発し、コードを公開している。今後、より「バイアスフリー」な採用AIが増えてくるのではないかと思われる。

医療や健康保険に関しても、25年までに大きなディスラプションが起こるだろう。米アマゾンが19年9月、従業員に対して独自の診断と医療サービスを提供する「アマゾンケア」のパイロット版をリリースした。

18年には薬局グループの買収もしており、今回のアマゾンケアでも医師や看護師によるモバイルを通した診断や薬の配送なども提供している。いまだ大きなイノベーションが起こらず、既存のビジネスモデルで成り立つ超巨大市場である医療業界に変革が訪れるかもしれない。

ニューヨークに本社を置く健康保険スタートアップであるオスカーがすでにユニコーン企業になっていることからも、消費者はより安く透明性の高い、無駄のない医療保険を求めていることが分かる。医療保険制度に関しては20年の米大統領選に向けて、多くの候補者が改革提案をしており、今後注目すべき業界だと言える。

パロアルトインサイトCEO石角友愛が注目する新市場

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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