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高ポテンシャルの会社とは – 日経クロストレンド 石角友愛×松尾豊東大教授対談第2回

2020/04/14 メディア掲載実績, 日経クロストレンド 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

2人が注目する高ポテンシャルの会社とは – 日経クロストレンド 石角友愛×松尾豊東大教授対談 第2回

松尾豊×石角友愛対談 2人が注目する高ポテンシャルの会社とは

米シリコンバレーを拠点に企業のAI(人工知能)活用・導入を支援するパロアルトインサイトの石角友愛CEO(最高経営責任者)と、ディープラーニング(深層学習)分野で日本をリードする東京大学大学院工学系研究科・松尾豊教授との新対談企画。第2回は、二人が注目する「AIポテンシャルが高い会社」を具体的に挙げて解説する。

石角 前回は、AIポテンシャルが高い会社の必須条件についてお話し、多くの反響がありました。今回は、松尾先生と、注目しているAIポテンシャルが高そうな会社について、具体的に話したいと思います。

松尾 はい。私からは主に日本のAIスタートアップのご紹介をします。

ハードデータとソフトデータの融合に注目

石角 私は米国の会社を紹介したいと思います。1社目は、米ペロトン(Peloton)です。ご存じの方も多いと思いますが2012年に米ニューヨークで創業したフィットネスの会社です。作っている商品はエクササイズバイクやトレッドミル、ダンベルやフィットネスウエアなどの製品と、エクササイズのビデオがオンデマンドで24時間見られるペロトン・デジタル・アプリです。

19年に米ナスダック市場に上場して、企業価値は3月末現在で68億ドルです。現在米国や英国、カナダ、ドイツで事業を展開していますが、新型コロナウイルスの影響で、自宅待機の人が増える一方、スポーツジムでの感染を恐れる人も増えているので、改めて注目されています。自宅で好きなときに運動できる手軽さに勝るものはありませんからね。

バイク自体は2500ドルくらいと高価なのですが、分割払いができます。

松尾 私が米国に出張した際、ホテルのジムへ行ったらペロトンバイクが置いてあったんですね。「これは何だ」と思ってやってみたら、思いのほか良くて、3日連続で行っちゃいました(笑)。

出張中に3日連続でジムに行くなんてあまりないことなので、やはりペロトンの魅力が何なのか、分かった気がします。最近いろんなところで聞くようになって、やっぱりすごいんだなと思いましたね。

石角 毎日ログインしてバイクに乗りたくなってしまうのがペロトンの特徴ですね。そのユーザーエンゲージメントの高さがこの会社のポテンシャルだと思います。

先ほど述べたデジタルアプリは、毎月のサブスクリクションの料金(約40ドル)を払い続けないと、オンデマンドのクラスが見られません。そうすると単なるエキササイズバイクになってしまうので、バイクを購入するだけではなく、ユーザーがペロトンバイクに乗り続ける限りは、毎月40ドルを払い続けるビジネスモデルになっています。

実際にアプリの解約率を見ると、1カ月で1%以下なんです。サブスクリプションの解約を、ほとんどの人がしないんですね。

松尾 AIポテンシャルという点で言うと、どうして石角さんはペロトンに注目しているんですか。

松尾 豊氏
東京大学大学院工学系研究科教授
東京大学工学部電子情報工学科卒業。2002年、同大学院博士課程修了。博士(工学)。同年より、産業技術総合研究所研究員。05年8月よりスタンフォード大学客員研究員を経て、07年より、東京大学大学院工学系研究科総合研究機構/知の構造化センター/技術経営戦略学専攻准教授。14年より、東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 グローバル消費インテリジェンス寄付講座 共同代表・特任准教授。専門分野は、人工知能、ウェブマイニング、ビッグデータ分析。人工知能学会からは論文賞(02年)、創立20周年記念事業賞(06年)、現場イノベーション賞(11年)、功労賞(13年)の各賞を受賞。人工知能学会 学生編集委員、編集委員を経て、10年から副編集委員長、12年から編集委員長・理事。14年より倫理委員長

石角 バイクについているセンサーから抽出できるデータと、アプリの使用データの両方を持っていることに加えて、先ほど述べたユーザーエンゲージメントの高さが理由として挙げられます。アップルウオッチと連動しているので、ペロトンでの運動量やペダルの負荷などのデータと最大酸素摂取量なども測れます。

今後、このハードとソフトのデータを統合すると、よりフィット性が高い運動コンテンツのリコメンドだけではなく、健康保険や医療事業、健康状態を把握した上でのおすすめ料理レシピなど、カバーする経済圏が広がるでしょう。それが会社としてのポテンシャルの高さにもつながっています。

米アマゾン・ドット・コムがECの会社からエコー(Echo)やPrime Videoなど、いろいろな領域に事業を拡張する中で成功のカギとなったのはデータの一元化です。同じように、さまざまなデータ元から集まるデータを一元管理することができれば、事業拡張性が高くなります。

ペロトンはユーザー数が現在約150万人なのですが、このユーザーコミュニティー活用の可能性も高く、発展性があると感じています。社員数1800人のうちソフトウエアエンジニアが19年時点で70人以上ということで、データサイエンスに関する投資活動もしています。

松尾 ソフトとハードの両方でデータを取っているというのが興味深いですね。

石角 松尾先生はどんな会社に注目していますか?

松尾 そうですね、松尾研関連のスタートアップがたくさんあっておすすめしたいのですが、あまり手前味噌にならないように気をつけたいと思います(笑)。

ハードとソフトの融合という点でいうと、少しハードコアではあるのですが、私はテレイグジスタンス(東京・港)という日本の会社に最近注目しています。VR(仮想現実)技術などを活用して遠隔操作可能なロボットの開発をしている会社です。

テレイグジスタンスの定義は、「人間が、自分自身が現存する場所とは異なった場所に実質的に存在し、その場所で自在に行動する」という人間の存在拡張の概念であり、また「それを可能とするための技術体系」を指します(テレイグジスタンスのHPより抜粋)。

ロボット技術、VR、通信ネットワークの技術を総合的に活用し「自分のアバター」を作り出すことができるんです。遠隔操作でロボットを操作することができて、それでコンビニの品出しなどもできるようになります。

石角友愛氏
パロアルトインサイト CEO/AIビジネスデザイナー
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAIプロジェクトをリードし、HRテックとリテールAIベンチャーを経て、17年にPalo Alto Insightを起業。シリコンバレー発で日本企業に対してAI活用の提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入など一貫した支援を提供する。AIビジネス、IT企業やイノベーション、AI時代の新しい働き方や女性活用などで言論活動を積極的に行う。著書に『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数

石角 それは実用性が高そうですね。

松尾 AIでいろいろな動作を学習させるとなると時間もデータ量も膨大になり大変なので、遠隔化して人間が動かした方がより導入が早くなるということですね。中国市場への展開準備をしていて、業務提携なども発表しているので期待しています。

石角 肉体労働の現場などでの導入が期待できますね。データもたくさん集まりそうですし、ポテンシャルがかなり高いですね。

松尾 はい。

コミュニケーションツールはゲーム理論を究めよ

石角 もう1つ注目しているのが「ズーム(Zoom)」(米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ)です。スラック(Slack)などのコミュニケーション系もそうですが、リモートワークが今改めて見直されている中、利用率が上がってきていて、収集できるデータ量もなり増えていると思います。

Zoomの会社ブログでも「20年はARとVRの年」と述べており、例えば「寝癖がついている人の髪の毛を修整したり、バーチャル握手ができるビデオ会議をつくることも可能になる」と書いてあります。今後VRとの掛け合わせでよりシームレスなオンライン会議が実現されると思います。

松尾 先ほどのテレイグジスタンスもそうですが、VRを何かと掛け合わせてビジネスチャンスにするのは面白いですね。私は、テレビ会話とかそういったコミュニケーションって、ゲーム理論的に考えた方がいいと思っています。

テレビ会議だと、やはり相手のことは読み取りたいじゃないですか。でも自分のことは悟られないようにしたい。そのせめぎあいがあると思うんですね。それをコミュニケーションのバンド幅とでも呼べると思いますが、例えば文字だけの場合と、音声がある場合と、映像がある場合で振る舞いが違ってくるんですね。

石角 例えばどんな時ですか?

松尾 よくあるのが電話会議でも、参加者が多くなると自分の映像を切ってしまい、相手の映像だけは共有されている状態になるので自分にとっては圧倒的に有利になります。それをずっと許しちゃうとコミュニケーションとして非対称になってやりにくくなり、ユーザー体験の質も下がるかもしれません。ゲーム理論的なところを突き詰めると日常的にもっと当たり前に使われるようになるのではないかと考えています。

石角 そこら辺は確かにコントロールしたら参加者のインセンティブが一致してよりインタラクティブな結果が生まれますね!私の場合、相手がビデオがない場合自分もビデオを消して参加するので情報量としては対称性を保てているかと思います(笑)。

あと、最後に、松尾先生と去年ディープラーニングアワードで審査員を一緒にやったときに先生が選んでいた会社の一つに、AIを活用したスマート保育園を展開するユニファがあったと思うのですが、私も小さい子供がいるのでああいうサービスはとても興味があります。先生のシフト管理だけではなく、園児の登校時間の管理などもでき、園児の写真の整理にもディープラーニングを使っているんですよね。

松尾 面白い取り組みですね。顧客満足度もとても高くなると思いますし、保育園業界も人手が少なくて困っているから、どんどん導入されるといいですよね。米国ではああいうサービスはありますか?

石角 私が知る限り保育園業界にAIを積極的に導入しようという動きはあまり見ません。いまだに紙の用紙にサインインするくらいですから。

松尾 日本発のAIイノベーションとして世界に広がるといいですね。

石角 期待できます!

松尾石角 今回もどうもありがとうございました!

 

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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