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アップルがリモートでの働き方に苦労する理由
2020/04/15 ブログ 
by 長谷川貴久 

こんにちは、CTOの長谷川です。私が購読している「The Information」から、アップルがリモートでの職場改革に苦戦しているとの記事が出ていたので興味深く読んでいました。

https://www.theinformation.com/articles/how-apple-is-working-from-home

ハードウェアの製作においては、プロトタイピングをして実際のモノに触れることが重要なので、それをリモートの環境で実現することに苦労しているとのことです。確かにZoomなどを通して物体を共有することはできないので、ハードウェア開発における遠隔の仕事を実現するためには何か一つピースが欠けているような気がします。私はこの答えはVRにあると信じており、VRで遠隔会議を実現したらリモートワークの生産性が飛躍的に高まると睨んでいます。

アップルに話を戻すと、確かに私が在籍していたころのアップルはリモートで働きやすい環境ではありませんでした。極秘に進められるプロジェクトが多いアップルでは、リモート社員が増えると情報漏洩が問題になることもありましたし、ハードとは関係がないソフトウェアの仕事でも、遠隔で働くことを良しとしない空気はありました。月に一回や2週間に一回くらいのペースで、全員がそれぞれの理由で「家から働く日」を作ることは良しとされていましたが、「フルリモート」で全く会社に来なくて仕事をするということは稀でした。

私の周りでも数名のエンジニアはフルリモートで働く権利を勝ち取っていました。例えばオーストラリア在住の自然言語処理エンジニアは、Siriの初期の頃からのメンバーで、オントロジーなどの知識が深く遠隔でも十分必要な人材として誰もが認める人材でした。もう一人はiOSエンジニアで、これもSiriの初期構造を設計した本人で、最初はクパチーノ本社で働いていたのですが、家族の都合で東海岸に引っ越すため、リモートワーカーとして働き続ける権利を得ていました。このように、チームの中でも必要不可欠な人材が仕方ない場合のみリモート社員がうまれるという仕組みでした。あいつならまあビーチから仕事することも許されるよね、ってな感じです。

ただ、それ自体は特権ではあるものの、リモートで働くことによって彼らが失っているものも多かったと思います。例えば、新ハードに関わるプロジェクトや、テントポールと呼ばれる目玉機能の仕事は、リモート社員にわたる可能性は極めて低いです。また、会議などでも一人だけ遠隔だと発言にどうしてもハンデが生まれます。遠隔会議を切ってから、廊下での雑談で重要事項が決定されるなんていうこともしばしばあります。

パロアルトインサイトでは「リモートファースト」を心情としています。そもそも日本企業のお客様に対して、太平洋を超えたシリコンバレーで働く我々がバリューを提供できなければいけないので、リモートはパロアルトインサイトのDNAの一部でもあります。私は新しく加わるメンバーには必ず37シグナルズが書いた「Remote」という書籍を配っています。どうやって効率よくリモートで働けるかをまとめた本書においては、遠隔会議のススメとして、「全員が遠隔で参加すること」を進めています。せっかく遠隔会議のソフトを取り入れても、ほとんど全員が会議室に集まり、少人数が画面に投影されるという仕組みは情報の非対称性を作り出してしまうので、仮に同じ拠点にいる社員がいたとしても、全員が独自のパソコンから遠隔会議に参加することで同じ土俵で会議を進めることができます。

アップルとリモートといえば、今年は史上初の試みで、WWDCを遠隔で開催するとのことです。プレゼンテーションや新機能の説明などはこれまでもリアルタイムでストリーミングをすることで現地で参加している開発者以外にも情報提供する仕組みが整っていましたが、なんといってもアップルのエンジニアや他の開発者とネットワーキングして情報交換する絶好の場なので、それをどうやって遠隔で実現するのかが見ものです。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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