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コロナ診断に活用されるAI:イギリスのNHSがAI導入を発表
2021/02/12 ブログ 
by 関口 

こんにちは、ビジネスアシスタントの関口です。

私は旅行が大好きです。

特に好きな旅先はヨーロッパで、コロナ以前は長期休みの度に訪れていました。美しい教会や歴史ある街並みを散策して感動したり、タイムスリップしたような気持ちに浸る時間は、私が人生で最も幸せだと感じる瞬間の一つです。

とりわけ、イギリスは何度も訪れている大好きな国なのですが、此度のパンデミックではロックダウンの遅れと個人防護具(Personal Protective Equipment; PPE)の不足など、初期の対策が適切に行われなかったことで、コロナによる死亡率がヨーロッパで最も高くなってしまった国の一つです。

(2018年の冬に撮影したウエストミンスター寺院。イギリスらしい曇り空と共に。)

現在かなりのスピードでワクチン摂取が行われているものの、医療現場は既に崩壊しており、受け入れ先がなかなか見つからず、病院への搬送を待つ長蛇の列の救急車の中で亡くなってしまう患者も居るなど、依然として深刻な状況です。

この事態を緩和すべく、イギリスのNHS(National Health Service;日本の国民保険に当たる機関)がAIを利用する予定だそうです。

具体的には、画像認識アルゴリズムにより重症化の恐れがある患者を初期段階で特定し、迅速な処置によって重度の合併症への進行を防ぐことで、(重症化による)長い入院期間や余計なリソースを削減し、医療現場の逼迫を緩和することを目的としています。

アルゴリズムの構築に必要な(コロナ患者の)胸部画像データに関しては、医療サービスのデジタル・イノベーション部門であるNHSXが、コロナ胸部画像データベース(NCCID)を展開し、全国の病院や大学がアクセスできるようにしています。

応用数学教授でケンブリッジ大学の画像解析グループ責任者であるCarola-Bibiane Schönlieb氏は、NCCIDについて次のように説明しています。

「NCCIDは、画像認識アルゴリズムの開発に必要なデータを効率的に入手するのに大活躍してくれています。NCCIDでは18の異なる医療機関のデータに一元的にアクセスできますので、多様性のあるデータを収集できます。また、各データが適切にカテゴライズされているため、我々はアルゴリズムの設計と実装の作業に全力投球出来るようになりました。」

アルゴリズムが完成し、このAIツールが実装されれば、現場では(医師の診察を待たずして)初期の段階で重症化の恐れがある患者を見極めることが出来るようになり、医療現場の負荷削減を実現することができます。

また、このAIツールはコロナだけではなく、将来的には癌や心臓病など他の疾患の兆候の早期発見に応用することも想定されており、イギリスでは「国家的な画像解析AIプラットフォーム」の構築が模索されています。

その一環として、現在賞金1億4,000万ポンド(約201億円)のAIコンペも開催されており、医療分野におけるAI技術の実用化を国家ぐるみで推進しようという、イギリスの勢いを感じます。(コンペを通じてNHSのAIラボ強化する狙いもあるようです。)

実際、イギリスはアメリカ・中国に次いで世界3位のAI投資額を誇るAI先進国であるということで、イギリスに対して保守的であるというイメージを持っていた私には驚きのニュースでしたし、同時に無意識にステレオタイプなイメージを持っていたことに気付かされ、反省しました。

この画像認識ツールが実装されることでコロナや他の疾患の早期発見が高い精度で実現できるようになれば、世界中の医療現場で活用されることになるでしょうし、それによって救われる命も増えるはずです。

昨今のコロナ禍により、世界中の様々な業種において通常の何倍ものスピードでDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいますが、AIが国家規模の医療プロジェクトに導入されるまでになったというのは大きな出来事だと感じましたし、多くの人の命を救う助けになれる可能性を秘めたAIツールの未来に胸が膨らみました。

多くの命を奪うこのパンデミックが、一日も早く終息しますように。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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