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D2C事例:NIKEはなぜD2Cに投資するのか?-ビジネスインサイダー寄稿

2021/04/27 ビジネスインサイダー, メディア掲載実績 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

D2C事例:NIKEはなぜD2Cに投資するのか?-ビジネスインサイダー寄稿

NIKE戦略に見る「次の小売戦略」とは何か。“脱アマゾン”進めるカテゴリーリーダー企業

こんにちは。パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナーの石角友愛です。

先日、いつも使っているランニングシューズが古くなってきたため買い換えようとアマゾンで探したところ、私が探していたNIKEのスニーカーが販売されていないことに気がつきました。

アマゾンでは、限られたメーカーの靴、または限られたブランドラインしか売られていないのです。

実は、このことにはオンライン販路をめぐる昨今の大きな流行が関係しています。

強い訴求力を持つコンシューマーブランドのメーカーが、他社小売りでの販売を次々と解消し、特定の小売りとの連携を強化することで、ブランド力を維持しながら独自の流通経路を拡充してD2C事業を強化する……という最近の動きがあったからなのです。

例えばNIKEは、一部を除いて小売業者にスニーカーを卸す販売モデルを中止しました。今後はDicks Sporting GoodsやFoot Lockersなど大手スポーツ用品小売業者にのみスニーカーを卸し、その他は独自のD2C事業に注力することを発表しました(アマゾン上での直接販売は2019年時点で中止)。

なぜこうした戦略をとるのでしょうか。

NIKEが販路を絞り、D2Cを強化する合理的な理由

カテゴリーリーダーになるNIKEのようなブランドは、取り引きする相手や販路もユーザーのロイヤリティとブランド構築の観点から選んでいくことになる。小売企業とメーカーの関係性はECの時代に変化が進む。
Uino / Shutterstock

実は、この選択はNIKEにとってさまざまなメリットがあります。

・消費者のロイヤリティが高くなる
・NIKE直営店舗や独自のオンラインサイトでの販売に絞ることで、顧客体験や値段をフルコントロールできる
・消費者のデータがオムニチャネル(※ネット・実店舗の販売を統合した購買データ)で集めやすくなる
・オペレーションや物流を効率的に行えるので利益率が高くなる(利益が2倍になるとNIKEは発表しています)

実際、NIKEの最高財務責任者(CFO)のMatthew Friendは「当社が2017年に初めて“これからは40の厳選された小売パートナーにリソース、マーケティング、トップ製品を集中させる” という戦略を発表して以来、北米におけるその他一般小売パートナーの数をおよそ30%減らすことができました」とインタビューで発表しています。

独立系や中小規模の小売店舗がNIKE撤退により大打撃を受けている反面、スポーツ用品大手のDicksやFoot Lockerなどの小売業者が、NIKEに「これからも販売を続ける小売店舗」として選ばれているのはなぜでしょうか。

その理由は、大手が持つ集客力だけではなく、自分たちのブランドを店舗内で厚遇してくれる「メーカー差別化型小売店舗」だからです。

小売企業の生き残りかかる「メーカー差別化型」とは何か

こういった事実から、小売業者の今後の命運はNIKEのようなカテゴリーリーダーに位置する巨大メーカーにとっての「メーカー差別化型」店舗になれるかどうかにかかっているといっても過言ではないでしょう。

その「メーカー差別化型」店舗の条件とは何か、最新事例を見ていきたいと思います。

戦略1. 新顧客体験の提供による潜在顧客リーチ

Dicks Sporting Goodsの店舗内(写真はマサチューセッツ州ダンバースにある店舗)。大規模なスポーツ専門店だが、超大型店舗ではさらに一歩踏み込んだ仕掛けを始めている。
QualityHD / Shutterstock

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事に就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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