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アップルの出社要請に「反乱」 揺れるコロナ後の働き方

毎日新聞・経済プレミア 「石角友愛のシリコンバレー通信」
アップルの出社要請に「反乱」 揺れるコロナ後の働き方

2021/06/18 メディア掲載実績 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

アップルの出社要請に「反乱」 揺れるコロナ後の働き方

新型コロナウイルスのワクチン接種を少なくとも1回は受けた成人が人口の6割を超えた米国では、街や企業が再開しつつある。私の周りでも国内外へ旅行に行く人が増えており、子供の学校も今まではオンラインと学校での授業のハイブリッドだったのだが、9月からは全て通常通りの学校運営になると発表された。

アップル従業員の不満

同様の動きは企業でも見られる。例えば、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は従業員に対し、9月から週に3日間(月、火、木)は出社し、残りの2日間はリモートワークをするよう要請するメールを送った。

しかし、米メディアによると、アップルの従業員は以下のような抗議文を経営陣にあてて送っている。

<この機会に、従業員の間で高まっている懸念をお伝えしたいと思います。

アップルのリモートワークや場所を問わない働き方に関して(出社を重視する)指針が示された結果、すでに何人かの同僚が辞めざるを得なくなっています。柔軟に働ける環境がなければ、今後、我々従業員は「家族との時間、健康、幸福、そしてそれによりもたらされる仕事への活力」を取るか、「アップルの社員であり続けるか」のいずれかを選択しなければならない時が来ると感じています>

この手紙からは、週のうち数日間は出社、残りはリモートワークというハイブリッドモデルは、聞こえはよいが、実は従業員に不必要なプレッシャーを与えかねないことがうかがえる。

オフィス回帰で衝突も

また、リモートワークがもたらす経済性や効率性、利便性だけではなく、オフィスの近く(多くの場合、家賃が高い都心部)に住む従業員と通勤に数時間かかる従業員、通勤という行為になじめる従業員と、通勤自体を身体的、心理的負担に感じる従業員の差がさらに広がってしまう危険性なども指摘されている。

リモート求人サイトを手がける「フレックスジョブズ」が2100人を対象に実施した調査によると、リモートワークのメリットとして、通勤時間の短縮とコスト削減が上位に挙げられている。実に回答者の3分の1以上が「リモートワークで年間5000ドル(約55万円)以上の節約ができている」と回答しているそうだ。

米国の雇用契約では企業が交通費を支払わないため、従業員からすると年間5000ドルの節約は非常に魅力的に感じられることだろう。

コロナを契機の一つとして、従業員の多くがリモートワークにより満員電車や高速道路での長時間の通勤から解放されるとともに、仕事の多くはどこでもできることを証明してきた。企業が人々をオフィスに戻そうとする動きが今後、リモートワークをニューノーマルとして受け入れた従業員との衝突に発展するケースが増えそうだ。

若い世代の約半数がリモートを希望

さらに、5月に発表された米国の成人1000人を対象に行ったアンケート調査によると、リモートワークに対して雇用主が柔軟に対応してくれない場合、39%もの若者が「会社を辞めることを検討する」と回答したそうだ。これをミレニアル世代(1980~95年ごろに生まれた世代)と、それに続くZ世代に限って言うと、数字は49%に跳ね上がり、若い世代はよりリモートワークを希望していることがうかがえる。

今後、コロナ後の働き方をめぐって、従業員と経営陣、若い世代などで価値観の相違が生まれる。その相違を埋めるための議論や実験が必要になってくるだろう。

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