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強化学習のビジネス応用の可能性を考える:AIが囲碁で人間に勝つ。その事実のどこが凄いのか
2021/12/22 ブログ 
by kohei 

AIが囲碁で人間に勝つ。その事実のどこが凄いのか

社内での技術開発に生かせる、既存技術を掛け合わせて生み出す新しい競争力とは?

 

今週のテーマ:技術開発

こんにちは。パロアルトインサイトCEOの石角友愛です。最近、会社の新しい事業の根幹となる基礎技術の開発工程においてDX推進ができないかという依頼をある企業から受けました。未来を見据えて、ビジョンを描く。描いたビジョンから逆算する形でバックキャスティングをして、今、どんな技術を会社として持っておくべきなのかを明確にする。技術開発とは会社の競争力そのものであり、コア事業そのものです。

今回は、新しい技術を生み出すのによい考え方はないか、どのようなやり方で新しい手法が生み出されるのかをわかりやすく、AlphaGoの事例から紐解きます。

シリコンバレーから現役データサイエンティストのインサイトをお届けする「The Insight」。今回は、ビジネスの現場でも話題になることが多い、AlphaGoについての論文を2週に渡ってご紹介します。前半の今週は「囲碁において、AIが人間に勝利するには、10年以上かかる」と言われていた2016年について、ご紹介します。なぜ、AIは世界チャンピオンに勝つことができたのか、その事実がなぜ研究者の間で驚きを持って迎えられたのかを解説します。

論文データ:

論文タイトル:Mastering the game of Go with deep neural networks and tree search 『ディープ・ニューラルネットワークとツリー検索で囲碁のゲームをマスターする』
著者:Silver, D., Huang, A., Maddison, C. et al.
掲載サイト:Nature 529, 484–489 (2016)
発行日:2016年1月27日 引用数:4969
URL:https://www.nature.com/articles/nature16961

 

この記事から得られる3つのナレッジ

・囲碁をするAI「AlphaGo」は、なぜ人間に勝てるようになったのか?
・「AlphaGo」を作ったDemisとDavidとは?
・「AlphaGo」の技術的な新規性とは?

目次

イントロダクション

囲碁するAIと、チェスするAIの違い

AlphaGoの産みの親、Demis Hasabis とDavid Silverとは

「AlphaGo」は何が凄かったのか

ディープラーニングと強化学習の組み合わせ

なぜ「AlphaGo」は”創造性”を持ち得たのか

 

イントロダクション

 パロアルトインサイトのCTO長谷川です。本日は、私が担当する講義でもよく題材に取り上げる「AlphaGo」の論文について解説します。2016年、「AlphaGo」は囲碁世界チャンピオンの李世ドルを4-1で下しました。この話題は、広くニュースになったので、ご存知の方も多いと思います。では、なぜ「AIが人間に囲碁で勝利した」ことが、ここまで話題になったのでしょうか? それまでも、将棋やチェスの試合でAIが人間に勝利することはありました。しかし、囲碁だけは「しばらくの期間、AIが人間に勝てない」と言われていたのです。その理由はなぜでしょう。そして、「AIが囲碁で人間のプロに勝利できるようになるまでには、あと10年かかる」と言われていたのに、大方の予想を覆して短期間でAIが成長した理由は何だったのでしょうか。

 今回は、ビジネスの現場でも話題になることが多い「AlphaGo」について、その凄さの本質がどこにあるかをお話しします。

囲碁するAIと、チェスするAIの違い

 チェスで人間がAIに負けたのは1997年のこと。2013年には、将棋でも人間がAIに負けています。しかし、囲碁だけはしばらくの間、人間が勝利し続けるだろうと言われてきました。なぜかというと、囲碁はチェスや将棋のようなゲームと違って盤面が広く、しかも駒のひとつひとつに役割がないので、打ち手のパターンが膨大になるからです。囲碁で、「一手ごとに打てる手のパターン(幅=250」)と「ゲームが終わるまでの手数(深さ=150)」を計算すると250の150乗となり、これは宇宙の分子の数よりも多い組み合わせになります。その全部を力任せに検索することは、いかにAIでも不可能だと考えられてきました。

ちなみに、チェスの打ち手は35の80乗ですから、チェスと比べても膨大なパターンです。しかも、チェスや将棋のように、駒に役割や属性(たとえば飛車や角が特殊な動きをして強い駒であるなど)が決まっていると、それをポイントにして考えるきっかけを作ることができますが、囲碁の場合は盤面を見た時の棋士の直感的判断が打ち手に影響すると言われています。こういった人間の直感的な判断は、AIが模倣するのが難しい分野です。さらに、局面の評価関数(盤面の優劣を数値化する関数)を作ることが難しいのも、囲碁が他のボードゲームと大きく違うところです。

 2015年以前は、最良の囲碁プログラムであっても、アマチュアの有段レベルに達するのがやっとで、この分野でAIがプロ棋士に勝てるようになるには、10年以上かかると言われていました。2016年の対局でも、AIがチャンピオン棋士に勝つことは不可能だと考えられていました。李棋士も、自身が負けるとは思っていなかったと語っています。

しかし、実際に李棋士がAlphaGoと戦った5試合では、結果は、4対1でAlphaGoが勝利を収め、世界を驚かせました。中でも、とくに2試合目の37番手は驚愕の一手だったと言われています。これはのちに李棋士がドキュメンタリー映画の中で自ら回想していますが「人間の理解を超えた、特別な手札だった」というのです。

https://youtu.be/WXuK6gekU1Y

37番手のシーン(https://youtu.be/WXuK6gekU1Y?t=2977

 プロの棋士が、この2試合目の37番手のような打ち手をする確率がどれくらいあるかを研究者が調べたところ、1/10000という極めて低い数字でした。人間の動きに基づいてトレーニングされたはずの「AlphaGo」が、なぜ人間では考えつかない、滅多に打つことのない打ち手を打ったのでしょうか

 

 

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記事の協力

構成:佐藤友美、石川陽子

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。また、毎日新聞「石角友愛のシリコンバレー通信」、ITメディア「石角友愛とめぐる、米国リテール最前線」など大手メディアでの寄稿連載を多く持ち、最新のIT業界に関する情報を発信している。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧

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