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「No Rules」リード・ヘイスティングス他 – 書籍紹介

2022/01/17 お知らせ, ブログ 
by kohei 

パロアルトインサイトCEO石角友愛が読み、お勧めする「AI」や「DX」にフォーカスを当てた書籍を紹介してまいります。
紹介した本を通してAI/DX時代の知識・キャリア・思考法を伝えてまいりますので、DX/AI時代を生き抜く戦略を一緒に磨いていきましょう。

No Rules  世界一「自由」な会社、NETFLIX

著者:リード・ヘイスティングス、 エリン・メイヤー
出版:日本経済新聞出版


 この本は、動画配信サービスを展開するNetflixの企業文化について、共同創業者で会長兼CEOのリード・ヘイスティングス氏と経営学者のエリン・メイヤー氏がその詳細を明かしている貴重な一冊となっています。今やNetflixは世界190カ国・2億人以上の会員を抱えており、上場から株価の伸びは350倍と、非常に大きな成功を遂げた会社の1つです。そんな成長を支えている背景にあるのが、Netflixが独自に取り入れた「脱ルール」のカルチャーです。

シリコンバレーでも有名だったNetflixのカルチャー

 Netflixがルールを設けないというのは、シリコンバレーやIT業界で働く人間にとっては非常に有名な話でした。それこそ私のハーバードビジネススクールの先輩がNetflixで働いているので、本社に遊びに行ったこともあるのですが、大分カルチャーが違ったのを覚えています。シリコンバレーの巨大Tech企業は、外から見るとみんな同じように見えるかもしれないですが、それぞれ異なるカルチャーがあるのです。

 Netflixをひとことで表すと「オープンでフラット」だと思います。例えば、アルゴリズムのレコメンデーションアグリーを決めるミーティングに、そのアルゴリズムの開発とは関係のない社員でも参加できたり、社員の給料が社内全体で公開されていたりします。あとは、予算申請がないことも特徴的です。やはりそういった「オープンでフラット」というカルチャーを私も実際にオフィスで見て、話を聞いて、すごく印象に残っていました。そのためこの本が出た時も、すぐに原本を英語で読みました。

ルールがないことがルール

 ここからは、本書で語られている成長を支える独自のカルチャーを形成するための取り組みをご紹介していきたいと思います。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、Netflixのカルチャーは「自由と責任」です。

 自由と責任と言うのは、コインの裏と表です。自分で全て意思決定をして予算を管理し、自分がデザインした実験をどのレベルの社員でもやる代わりに、ちゃんと責任は取る。でも責任というのは「失敗しない」という視点ではなくて、結果をある程度だして、もしそのプロジェクトが失敗するならば、失敗をちゃんと文字にして他の人たちに伝えるということになります。

 Netflixではこの「失敗」こそがとても大切だとされています。自分が「これは大事なことだ」と思ってやった結果を周りの人に共有して、イノベーティブな意識醸成を企業の中で作っていく、そういうところがこの自由と責任の背景にあるのではないかと思います。例えばNetflixでは、いつでも好きなだけ休暇が取れるという「no vacation policy」が有名です。また休暇や経費の申請、社内の細かい書類手続きや承認プロセスなど、これらのルールを全て無駄だと排除しています。日本では多くの企業が当たり前に導入しているかもしれませんが、そういったルールを設けない、「ルールがないことがルール」であると割り切ってしまっているのが特徴的です。

カルチャーを浸透させた3つの要素

 自由と責任のカルチャーが浸透するためには、「能力密度」「素直さ」「コントロールの撤廃」という3つの要素が大切であると書かれています。

 まず最初の「能力密度を高める」というのは何か。リーダーの最優先目標は「最高の同僚だけで構成される職場環境にすること」であり、この市場で求められる最高の人材を常に取るとしています。例えば競合の会社がその人材に対して、今のNetflixが払っている給料よりも高い給料を払うとオファーをもらった場合は、その市場の給料に合わせるとしており「常に最高の人材でチームを構成するべき」ということを徹底しています。

 次に「素直さ・率直さを高める」というフィードバックの文化です。フィードバックを与えるというのは、相手を助けようとする気持ちで行動変容を促すためのフィードバックであり、決して個人を批判したり否定するためのものではありません。あくまでフィードバックはフィードバックとして受け取れて、受け取る側は感謝を伝え取捨選択をするとしており、フィードバックをもらったからといってそれをやるかやらないかは本人次第ということになっています。これもまた先程の「責任と自由」につながっています。

 そして3つ目の要素が「コントロールの撤廃」です。これは先ほど申し上げたような、休暇規定や経費申請のことを指します。経費の規定などの細かい社内プロセスを廃止することで、無駄なプロセスをなくしてコントロールできるところを増やしていく。それを社内全体で進めることで、自分のポジションやレベルに関わらず自分がアカウンタビリティを持って、色々な意思決定を行えるようにするということになります。

失敗しても光を当てること

 これまで紹介してきた3つの要素以外の重要なポイントとして、「上司は指示を出さない代わりに、意思決定の支持を徹底する」というものがあります。これは、部下がやりたいと思ったことに対して「サポートとしての支持を徹底する」ということです。これにより部下は、自分の責任で意思決定をするようになります。これは言葉にすると簡単ですが、実際に行動に移すためには相当な覚悟が必要です。ミスを防ぐことを優先しなければならない組織、いわゆる「減点主義の組織」には向いていないかもしれませんが、クリエイティブな組織づくりには抜群の効果をもたらすのではないでしょうか。

 私もパロアルトインサイトを経営する中で、「新しいイノベーション(新規事業)をどのように会社で生むのか」「DXなどの新しいAI開発のプロジェクトやりたいが、会社全体にどうやってそれを伝えるのか」というような話をよく耳にします。その時に考えなければならないのが、この減点主義です。リスクを回避することばかりを重視してしまうような文化だと、なかなか今までやったことのない事業に対して大きな投資をしない傾向があるのです。

 Netflixに関してはさっき言ったように、この「失敗」を何よりも大事にするとしています。逆にいうと、何もしてない社員っていうのが一番評価されません。どんどん自分の意思で自発的に主体性を持ってプロジェクトを提案して、実際に実行していく中で、失敗してもそこに光を当てる。光をあてるというのは、実験やプロジェクトに関するメモを書いて、それを社内で公開するということです。そうすれば社内での貢献にもなりますし、「常に誰かが実験をして、ミスをしても正々堂々と公開している」という空気になります。これにより「何もミスをしちゃいけないことはないんだ」という意識醸成が進むため、本当に大切なことだなと思います。

 そして、組織のトップである社長や経営陣・部長レベルの役員の人たちが実際にこれをしていることも大切です。リード・ヘイスティングス氏も、年に何週間も休んで海に行き、それをみんなに公開してるそうです。そういう姿勢をトップが見せるというのも、大切なのだなと読んでいて感じました。ぜひ皆さんこの本を読んで、イノベーションを社内で生み出すため一つのきっかけになればいいなと思います。Netflixの共同創業者で会長兼CEOのリード・ヘイスティングス氏が著者の『No Rules』をぜひお読みください。

 

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パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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