海外で活躍できる国際人の育成を目指し、「文理融合」の教育に重点を置く東京女子学園中学校・高校(河添健校長、生徒184人)。本年度、高校1年生で新たな取り組みがスタートした。総合的な探究の時間(探究学習)のAI人材育成カリキュラム「AIと私~AIで幸せを作ろう~」だ。
AIと関係が深いDSDA(データサイエンス・デザイン・アーツ)を身に付けることは、同校が力を入れていることの一つ。AIの開発から導入までの一貫した支援や法人向けAI人材育成カリキュラムなどを日本企業へ提供しているパロアルトインサイト社による開発協力・サポートを受け、学びの一環として、AI人材育成カリキュラムを導入した。多くの課題をクリエイティブ思考で解決し、予測困難な時代を生き抜くバイタリティーの育成もねらいに置く。
授業は10日間(一日50分×2コマ)、オンライン講座(10テーマ)で実施。「国際教養コース」と「未来創造コース」の2クラス合同で行った。同社CEOの石角友愛氏らが講師を務め、先端学習部部長の難波俊樹教諭(国語科)が進行役のファシリテーターを担った。
授業で大切にしているのは、AIを情報教科の観点から教えるのではなく、「学ぶことの意味」を考えるように促すこと。まずはAIを活用した身近な事例を取り上げ、プロジェクトベースで技術の習得だけでなくビジネスへの応用に関する理解を深める内容も扱った。
カリキュラムの柱は①「AIと私」(身近なAI活用事例で理解を深める)②「コンピュータ基礎」(具体的な技術論を学んでAIを自ら作るプロジェクト)③「機械学習と応用」(機械学習の歴史や背景、その手法を体系的に学ぶ)④「ファイナルプロジェクト」(社会問題や課題を解決するためのAIデザインの発表)―の四つになる。
例えば③の学習では、プロ棋士を下したAIドキュメンタリーの映画を鑑賞した。その際、難波教諭は「経験から学習した蓄積から、人間を超えるような判断ができるようになる『AIの本質』を見抜いた生徒の姿に手応えを感じた」と話す。
生徒の大半は大学へ進学し、文系学部を選ぶ場合が多い。そのため、将来の選択肢が広がることにも期待を寄せている。来年度も同社との協働事業は継続予定。生徒が社会に出て仕事に就いたときも見据え、AIの技術とその知識が活用できるような力も育んでいく。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
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