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SonyのAI論文が与えた影響とその面白さ
2022/03/22 ブログ 
by kawakamitakuro 

DXを通した産業改革の重要性を伝える音声番組「Level 5 by Palo Alto Insight」

各回の内容を文字でもお伝えすべく、文章でまとめた記事を投稿しております。今回の「Level 5 by Palo Alto Insight」の概要を文章で読みたい方はこちらの記事をお読みください。詳しい内容は音声ページよりお楽しみください。

 

SonyのAI論文が与えた影響とその面白さ

DXを通した産業改革の重要性を伝える音声番組「Level 5 by Palo Alto Insight」

まず初めに、リスナーの皆様からいただいたコメントに回答したいと思います!

今回頂いた質問は「日本ではDXという言葉自体がバズワードで終わってしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。ITリテラシーの難しさや、欧米と比較した時に技術者に対するリスペクトが低いと感じます。」という質問に出演者全員が回答しました。

 

<石角友愛>

私が以前執筆した「今こそ知りたいDX戦略」という本の中でも触れていますが、欧米と比較した時に、技術者・ソフトウェアエンジニアに関する構造的な違いがあると感じます。具体的には、日本ではエンジニアの約7~8割がシステムインテグレーターとして働いていますが、アメリカの場合は逆で、エンジニアの約7~8割がユーザー企業で働いているのです。

つまり、DXを推進しなければならない会社にITエンジニアがいるのがアメリカであって、日本では経営者に技術的課題の壁打ち相手がいないということです。そこにこそ、DXという言葉がバズワードで終わってしまう可能性の根拠が隠されていると思います。

<長谷川貴久>

私は日米両方でエンジニアとして働いた経験がありますが、ITリテラシー以前に大切なのが英語力だと思っています。プログラミング言語もある意味英語ですし、プログラミングに関する素材なども英語で書かれていることが多いため、まずはベースとなる英語力がポイントになるのではないでしょうか。

特に、オープンソースの場(GitHubなど)で議論する時にも、みんな英語を使用しています。このことから、英語力やコミュニケーション能力をグローバルレベルに持っていくことも、重要なポイントになるのではないかと感じます。

<山崎壯>

「IT」や「ICT」という言葉と違い、「DX」というのはビジネスをデジタルというツールを使ってトランスフォームしようという考え方になります。そのため、経営者の意識レベルという点においては、日本は上がってきているのではないでしょうか。

IPAが出しているデータによると、2020年における日本企業でのAI導入率は4.2%だったのに対し、2021年にはなんと20%にも上昇しています。そのため、ここ数年でも事情は変わってきていると言えるでしょう。

 

DXをバズワードで終わらせないためにも、ぜひこの「Level 5 by Palo Alto Insight」を聞いて、DXに関する情報を素早くキャッチしてほしいなと思います。ご質問、誠にありがとうございました!

 

科学誌Natureの表紙を飾った「SonyのAI論文」の凄さ

第7回で取り上げる「今週のホットニュース」は深層強化学習でグランツーリスモのチャンピオンドライバーを凌駕するです。

ニュースの概要

先日、科学誌Natureにて「sonyのAI論文」が表紙を飾りました。これは、リアルドライビングシュミレーターゲームとして知られる「グランツーリスモ」において、AIがカーレーシングをマスターしたことが飛躍的な進歩を果たしたとして、取り上げられたというものです。

具体的には、SonyのAI開発部門である「SonyAI」が、子会社のポリフォニー・デジタルと、ソニー・インタラクティブエンタテインメントと共同で、新たな深層強化学習プラットフォームを利用してカーレーシングをマスターした自律型AIエージェント「グランツーリスモ・ソフィー」を開発したとされています。科学誌Natureにこちらの論文が掲載されておりますので、ご興味のある方は是非一度読んでみてください。

 

長谷川が注目した3つのポイント

このニュースについて、ジョージア工科大学で強化学習のTAを担当している長谷川は、主に面白かったポイントを3つ挙げています。それは、

というものです。

1つ目の「AlphaGOと比べて何が難しいのか」という点について、無限の選択肢があることを指摘しています。というのも、AlphaGOにおいては選択肢が有限であるため、その都度最適な選択肢を選ぶことが可能であるのに対し、グランツーリスモでは選択肢が無限に存在するため、選択の幅が広く難しいのです。

ブレーキを踏むタイミングやアクセルの強弱、ハンドルを曲げる角度など選択肢が幅広く用意されているがゆえに、技術的には非常に難しい開発だったのではないかと話しています。

また、2つ目にあげた「エチケットというルールに対する学ばせ方」というのは、グランツーリスモ独自のルールによるものです。このゲームでは、乱暴な運転をしていると審判に減点されてしまう「エチケット」というルールが存在します。そのため、ただ勝利にこだわって危険な運転をしていても、最終的なスコアが伸びないのです。

このような複雑なルールを、強化学習を活用してどのように学ばせるかという部分が、非常に興味深かったと話していました。

そして最後に「練習の重要性」を挙げています。これは、複数台の車が走っていることや、複雑なカーブが連発するというレーシングゲーム特有のシチュエーションに対して、最善の選択が何かを理解させるために何回も練習させたというものです。難しい環境を事前に何度も練習させておくことで、より精密な動きを実現させられたという点が、面白かったといいます。

 

AIにおけるクリエイティブ

山崎はAIに対するイメージについて話していました。というのも、AIというのは過去のデータから解決策を学習していくことから「クリエイティブではない」という印象を持つのではないかと思ったからです。しかし、今回の事例においては非常にクリエイティブであり、新たな発見ができたのではないかと考えています。

実際にAlphaGOでも似たような事例があります。それは、韓国のプロ棋士・李世ドル氏と5番勝負をした際の2試合目に起こった出来事です。この試合の37番手が驚愕の一手だったと言われていて、まさに人間の理解を超えた特別な一手だったと賞賛されています。AlphaGOがこの選択をした直後は、ミスクリックだったのではないかという印象さえ受けましたが、実際にはその一手が起点となり、AlphaGOは勝利を納めたのです。

このように、AIというのは決して非クリエイティブという訳ではなく、強化学習や技術の発展により、更にクリエイティブになっていくのではないかと語っていました。

 

SonyAIの面白さとは

会社として見ても、SonyAIというのは非常に興味深いと石角は話します。こちらの記事をきっかけにSonyAIについて調べてみると、実は2020年に基礎研究開発を担う組織として設立されたばかりだと分かりました。しかし、その歴史の浅さからは考えられないほどに面白い取り組みをしているといいます。

例えば、ゲームやAI倫理といった分野だけではなく、ガストロノミー(美食)についてのAI研究も進められているようです。フレーバーグラフという、食材に含まれる分子と、別の食材を過去に使った人との情報を組み合わせることによって、2つの食材の相性を予測するというAI技術の開発も進められており、ここから新しいレシピの開発なども期待できるといいます。このように、クリエイティビティとテクノロジーの力で今後のAI分野における存在感を高めようという意気込みを感じたと話していました。

 

今週のおすすめコンテンツ「AlphaGO ドキュメンタリー」

「今週のおすすめコンテンツ」は、石角の紹介する「AlphaGO ドキュメンタリー」です。これは、AlphaGOが人間に勝った歴史的な一戦はもちろんのこと、開発者たちの苦労や、AI開発の裏側まで見ることが出来る非常に濃い内容の作品となっています。Youtubeでも無料公開が始まっていて、誰でも手軽に観ることが出来るコンテンツです。

また現在、Palo Alto Insight では東京女子学園にてAIに関する講義を行っており、授業の一環としてこちらの作品を観ていただいております。ただAI技術にスポットが当たっているわけではなく、人間とAIの関わり方や考え方など、ドキュメンタリーとして非常に面白い内容となっています。

人と機械の関係性や、AIとの関わり方など、深く考えるきっかけになる作品だと思いますので、ぜひご興味のある方は一度観てみてください!

 

それでは、次回の放送もお楽しみに。

#7の実際の音源はこちらからお楽しみください。

 

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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