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DXに終わりなし -情報誌「首都高」インタビュー記事掲載

2022/07/11 メディア掲載実績 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

DXに終わりなし – 情報誌「首都高」インタビュー記事掲載

DXは長期戦であり、短期的な成果を求めるものではないと、AIビジネスデザイナーの石角友愛(いしずみ・ともえ)氏は語る。100社を超える日本企業のDX戦略の策定やAI導入を支えてきた同氏に、日本企業の進むべき道筋を聞く。

新たな産業革命の幕開け

──まず、お聞きしたいのが、石角様が考えるDXの定義です。これまで人類は、何度かの産業革命によって現在の技術社会を形成してきました。DXはどのような位置付けとなるのでしょうか。

石角 日本では、DXを「推進しなくてはならないもの」と位置付けることが多いですが、実は当社の拠点があるアメリカではそういった文脈で語られることはありません。というのも、DXは新たな産業革命、つまり第四次産業革命そのものだと捉えられているからです。

これまでの歴史を振り返ってみます。まず、18世紀末以降に始まったのが第一次産業革命です。水力や蒸気機関によって手作業を機械化して作業効率を大幅に向上することに成功しました。20世紀初頭から始まったのが、第二次産業革命。電気の発明と発達によって軽工業から重工業へと移行、大量生産が可能になりました。1990年代後半から始まったのが、第三次産業革命。電子工学や情報技術を用いて一層のオートメーション化が進んだ、いわゆるデジタル革命です。

そして今、到来しているのが第四次産業革命で、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、AI、IoTなどが様々な企業の手に届いて、その結果、ネットワーク効果や指数関数的な成長が起こることを意味します。DXはこの変化そのものを指し、企業においては「デジタル技術を活用した根本的なビジネスモデルの変換」と定義できます。DXは変化そのものですから、例えばITツールを導入して稼働率を上げた、データをクラウドに移したといった、何かの終わりがあるイベントではありません。変わり続けるステート(状態)だと言えます。

──ビジネスモデルを変換していく上で、何がポイントとなるのでしょうか。

石角 不可欠なのが、自社のコア(中核となる強み)を再定義することです。例えば、自動車メーカーのコアは何かと言えば、「自動車を製造すること」だと思います。しかし、今後はどうか。自動運転やAIなどの様々なテクノロジーを掛け合わせたモビリティ革命が起こると言われているなか、例えば「モノや人を移動させること」に変わっていくのではないでしょうか。

もしコアが「自動車を製造すること」のままであるなら、ただ製造プロセスにITツールを導入するだけで終わってしまうかもしれません。しかし、モビリティ革命に備えて「モノや人を移動させること」と再定義するなら、「どのように組織をデジタル化していくか」という道筋が自ずと見えてきます。だからこそ、まずコアを再定義することが重要なのです。

長期的なビジョンが不可欠

──DXは、どのようなステップで進めるのが良いでしょうか。

石角 実際はもう少し細かな段階がありますが、大まかに次の三つのステップがあります。

一つ目が、「デジタイゼーション」。これは、アナログからデジタルへの移行を指し、例えば手作業の自動化やペーパーレス化などです。省人化や最適化することによるコスト削減がメリットですが、シナジー効果が期待できるものではありません。二つ目が、「デジタライゼーション」。デジタル化されたデータを使用して作業の進め方やビジネスモデルを変革することを指します。これこそDXの概念ではないかと感じる方もいるかもしれませんが、DXとの違いは人や組織に関する変革は含まれていない、ということです。そして、三つ目が「DX」。デジタル技術を活用した変革が、DNAレベルで浸透した組織となることです。

もちろん、企業が抱える課題によってどこがスタートラインになるかは変わってきますが、最終的にDXを正常運行させるには、長期戦になります。ですので、皆さんに理解していただきたいのが、短期的なROI(投資対効果)を求めるものではないということ。そこばかり見ていると、単に個別のITツールを導入するだけで満足したり、逆に「効果がないからやめてしまおう」と諦めたりしがちです。しかし、DXはそもそもそういうものではないのです。

──「これからDXを推進していきたい」と考えている企業も多いかと思いますが、そういった企業が注意すべきポイントを教えてください。

石角 初期段階で気をつけたいのが、FOMO(Fear of missing out)、つまり「乗り遅れてしまったらどうしよう」という焦りで、ついDXの流れに乗ってしまうことです。例えば、「周りがDXと言っているから」と、とりあえずITツールだけ入れる、部署を新設する、などです。もちろん、これらのすべてが悪いわけではありませんが、会社の問題点を明確化し、それに対してどのように進めていくべきなのかのビジョンを描かないまま実行してしまうと、想定外の危機に直面した際に対応できず、停滞もしくは頓挫してしまうケースが多いのです。

もう一つは、事例を集めるだけになってしまうこと。日本企業は何か新しいことをしようというとき、まず事例を集めます。これは悪いことではないのですが、よくあるのが、「業界が違うから関係ない」「自社ではできそうにない」と勝手に判断してしまうことです。コアを再定義すると、自社の課題が変わりますし、競合相手や協業先も変わってきますから、どこで参考になる事例が出てくるかはわからないのです。

当社のクライアントで、仙台に本社がある冷暖房設備の企業であるベストパーツ社があります。ここでは、すべての受注をFAXで行っており、一つひとつ基幹システムに打ち込んで在庫と照合する作業をしていました。これを自動化したいという思いから、DX推進の一歩が踏み出されたのですが、クライアントから送られてくる書式がバラバラで、通常の文字認識機能では読み込みができなかったのです。そこで、AIを活用し、書式が異なっても99%の高確率で抽出できるようなシステムを構築しました。

実はこのシステム、同社の社長が私の講演でアメリカの農業機器メーカーの事例を聞いたことがきっかけでした。この農業機器メーカーではAIを使って画像認識をして除草剤をピンポイントに噴射するシステムを構築しており、これを聞いた時、「これがあればうちの課題も解決できるのかもしれない」と感じたそうです。事例を知るだけではなくて、「この技術は自社のここに使えるかもしれない」と発想の転換をすることも大切なのです。

繋がり合う組織へ

──計画は立てられたけれどもなかなか前に進まないという企業も多いと思いますが、そこに対してはいかがでしょうか。

石角 多くの企業で悩まれているのが、人材不足です。長期ビジョンを描き、投資をしたとしても、それを実行するDX人材がいないと、先述したDXへのステップを踏んでいくのが難しくなります。ただ、必ずしも社内にエンジニアを置く必要はなく、そこは外部企業と協業しながら進めていくのも良いと考えます。むしろ企業が育てていく必要があるのが、「キャタリスト(媒介者)」、すなわち協業先との窓口や他部署への橋渡し役を担える人材です。

協業先との窓口として求められるのは、自社の課題に基づいて協業先に適切に発注できること、また上がってきた成果物に対して適切な評価ができることです。ここが抜けてしまうと、企業で求められるDXと乖離が生まれてしまうからです。

他部署への橋渡し役として求められるのは、企業内で必要なデータがどこにあるのか・誰に聞けばよいのかを知っていること、そして他部署に協力を依頼できる交渉力を持っていることです。DXを推進するなかでは、例えば「このデータを1カ月分抽出しなくてはならない」といった作業が必要になることが多々あります。そうしたときに、社内の知識やネットワーク、交渉力を持っていないと話が前に進んでいきません。

こうしたキャタリストは、DXの推進部署のみならず、各部署に配置する必要があります。DXは、特定の部署が推進すれば話が前に進むかと言えば決してそんなことはなく、段階ごとに様々な部署の協力が不可欠だからです。各部署でキャタリストを育成することで、各部署が有機的に繋がり、DXが進みやすくなるのです。

──部署の連携という面で好事例があれば教えてください。

石角 当社が携わった事例として、ケーキなど洋菓子を中心に菓子類の製造販売を主とする老舗の食品メーカー不二家の事例があります。不二家では、店舗でケーキなどを売る洋菓子部門と、コンビニやスーパーに置くお菓子を販売する菓子部門の2部門に分かれており、洋菓子部門では、新商品の適切な出荷数が予測できず悩んでいました。出荷数が少ないと売り切れが出てしまうし、逆に多いと廃棄ロスになってしまう。出荷予測が的確にできればマーケティングにも活用できることから、AIを活用して出荷量を予測するモデルを構築したのです。

この成功の秘訣は、プロジェクトチームが洋菓子部門のみならず、様々な部署の複合メンバーで成り立っていたことにあります。また、会議も形式的なものではなく、必ず全員参加で細かく情報のやりとりをしていました。こうすることで、全員が常に同じ認識を持つことができ、その後も横展開に繋がったのです。

デジタイゼーションやデジタライゼーションを最終的にDXにしていくには、特定の部署で取り組みを進めても意味がなく、Aという部署のAIをBという部署にも横展開する、Cという部署のデータベースをDという部署の意思決定に使うというように、どれだけ横断的連携ができるかにかかっています。そのために、様々な部署のメンバーが横断的に連携できる環境づくりをすることは極めて重要なのです。

危機感と将来像の共有を

──DXの推進がなかなか社員に理解されない、という場合はどのような改善が求められるでしょうか。

石角 DXに限らず、変化することに抵抗感を示す層は一定数います。しかし、なぜ抵抗感を示すのかと言えば、その必要性を十分に理解できていないから、という場合も少なくありません。そこで求められるのは、トップの明確なコミットメントです。今、まさに第四次産業革命が起きていて、産業構造が大きく変化していること、そして、自分たちにも変革が求められていること。そうした危機感を明確に伝え、長期戦で挑んでいく姿勢も見せることが大切です。

──危機感を共通認識にするということですね。

石角 そうです。一方で、DXを推進することによるメリットを伝えることも大切です。社員の中には、「人手が足りないから何とかしたい」「今よりも付加価値のある仕事がしたい」と感じている社員も少なくないはずです。DXを推進することで、仕事を省人化することに繋がりますし、これまでよりもキャリアの幅を広げ、仕事がもっと楽しいものになっていく。こうした可能性も伝えて、DX推進の機運を高めていただきたいですね。

(一財)首都高速道路協会の許諾を得て、掲載させていただきました。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。また、毎日新聞「石角友愛のシリコンバレー通信」、ITメディア「石角友愛とめぐる、米国リテール最前線」など大手メディアでの寄稿連載を多く持ち、最新のIT業界に関する情報を発信している。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧

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