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スタートアップ担当相新設からみる今の日本に必要なこと
2022/08/05 ブログ 
by kawakamitakuro 

DXを通した産業改革の重要性を伝える音声番組「Level 5 by Palo Alto Insight」

各回の内容を文字でもお伝えすべく、文章でまとめた記事を投稿しております。ポッドキャスト内容の概要を読みたい方はこちらの記事をお読みください。詳しい内容は音声ページよりお楽しみください。

スタートアップ担当相新設からみる今の日本に必要なこと

先日、アメリカの多くの企業で四半期決算が発表されました。その中でも、出演者の長谷川が以前在籍していたAppleや、広告ビジネスからの脱却を図るMeta Platformsなどの決算に注目し、様々な角度から議論しました。

 

Appleの決算で驚いた2つのポイント

長谷川は、以前在籍していたAppleの決算を見ながら、面白いと思ったポイントを2つ挙げています。1つは、Appleが為替の影響を受けているところです。為替の影響でマージンが下がったり、日本での売り上げが落ちていたことから、Appleのような大企業だからこその為替の影響があるということに注目していました。

そして2つ目が、研究開発費の増加です。長谷川がAppleに在籍していた当時は、研究開発費は売り上げの2%ほどでした。しかし今回の発表を見てみると、なんと売り上げの8%が研究開発費に投じられており、売り上げの増加に伴って多くの資金を研究開発につぎ込んでいることがわかります。もしかすると、そろそろVRヘッドセットなどの革新的デバイスが登場するかもしれません。

 

単一性のあるビジネスモデルの弱点

山崎は、MetaやNETFLIXの四半期決算を見た上で、単一ビジネスの弱みについて指摘しています。

Appleでは、iPhoneやMacなどのハードウェアの売り上げの他に、AppleTV+やiCloudなどのサービスセグメントも好調を維持しています。特にAppleTV+では、オスカーを獲得した作品などもあるため、今後もユーザーは増加していくことでしょう。それに対し、Metaは広告収入がほとんどであることから、売り上げに対するインパクトも非常に大きいです。そのため、ビジネスの幅を広げておくということが、1つの有効な手段になるのではないでしょうか。

Metaは現在、メタバース領域に大規模なピボットをしていますが、自分達のアイデンティティを丸ごと変えるというのは非常に大きな決断だったことでしょう。そのような点も含め、これからも注目していきたいと思います。

今後も引き続き、「Level 5 by Palo Alto Insight」ではコメントを募集しております。

ぜひお気軽にご質問ください。

日本でシリコンバレーの文化を根付かせるために必要なこと

第30回で取り上げる「今週のホットニュース」はスタートアップ企業の支援強化へ 担当大臣新設へ調整です。

ニュースの概要

先日、岸田総理が新しい資本主義の柱の1つとして、官民を挙げてのスタートアップ支援強化を発表しました。内容としてはスタートアップ担当相を新設し、スタートアップ企業を5年で10倍に増やすという政府目標を掲げています。

また、内閣官房に「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室」を設けるとも表明しており、政府が国内外の大学と協力し、大学発のスタートアップなどの育成を目指しています。

 

具体性を持つことの重要性

このニュースについて山崎は、メッセージを出すという意味でスタートアップ担当相を新設することは非常に価値があると話します。その一方で、もう少し具体性を持った内容を準備していくことの重要性も語っています。

スタートアップといえば、やはり活気やエネルギーに満ち溢れていることが大切です。そのため、そういったエネルギーあふれる人材をどのように発掘するか、その人たちが活躍できる場をいかにして提供していくかというところが非常に重要になります。そういう意味でいうと、スタートアップ担当相を設置しただけではまだまだ漠然とした部分が多い印象です。

そこで長谷川は、Web3.0に特化するなど様々なアングルをつけることを提案しています。アメリカのシリコンバレーも、最初は「シリコンを作る」という具体的な目的が存在しました。このように、具体的な技術分野を定義して育てていくことは、1つの選択肢としてありかもしれません。

 

いかにしてポジティブな循環を作るか

石角は、スタートアップを増やす上で1番大事な課題として、起業する人をいかに増やすかということを挙げています。周りを見ても、キャリアを積んできた人たちが選ぶ選択肢として、起業よりも転職の方が多いようです。また、新卒の人たちが行きたいと思う会社も、大企業や有名な会社に人気が集中していることから、なかなかスタートアップに興味を持つことは少ないのかもしれません。

そこで、大学との連携というのは非常に重要になってくるのではないかと話します。アメリカのシリコンバレーでは、スタンフォード大学が非常に重要な役割を果たしているため、エンジニアやビジネスセンスのある人材もどんどん集まってきているようです。そのため、必要な人材をその街に集めるためにも、大学との連携は1つの選択肢になってくるでしょう。その中でいいスタートアップ企業が増えていき、そこに就職したいと思える人も増えてきた時、ポジティブな循環が生まれるのではないでしょうか。

 

「教育」がカギになる

山崎は、日本でシリコンバレーのような起業文化を養うためには「教育」がカギになるのではないかと話します。東京大学在学中、先生の中にアメリカのビジネススクール出身の方が何人か在籍しており、その先生方の講義は他の方の講義とは少し違ったそうです。それは、ケーススタディであったり、実務ベースの講義であったことが起因しており、起業の面白さをリアルに実感できたといいます。

このように中学・高校生の頃から、起業家の方から起業の面白さや魅力をリアルに伝えることができれば、より起業したいと思える若者が増えるのではないでしょうか。また、カリキュラムとして組み込むだけではなく、現場の人と触れ合う機会を通して起業を身近に感じてもらうことも重要なのかもしれません。そうなると一朝一夕ではなく、しっかりと長いスパンをかけけ取り組むべき目標となるでしょう。

 

日本ならではの起業文化とは

ここまで、スタートアップ支援強化について様々な角度から議論してきましたが、石角はそもそもスタートアップ=若者である必要はないと話します。実際に周りにも、企業に所属してある程度経験値を積んでから起業したいと思っている人は少なくないようです。

実際に、若い人よりもビジネスの現場で様々な経験をしている分、そこで培った知識を生かして起業することは非常に面白いのではないかと話します。また、これまで培ってきたネットワークも、起業する際には必ず武器になるため、むしろそういった人たちが積極的に起業をすることこそが、日本における最大の武器になるかもしれません。

もし、日本において中年層の起業文化が成功した場合、それこそアメリカのシリコンバレーにはない大きな成果となることでしょう。社会的にも、世界の指標としても評価されるポイントになりそうな要素は、まだまだ多くありそうです。

 

今週のおすすめコンテンツ「The Code: Silicon Valley and the Remaking of America」

「今週のおすすめコンテンツ」は、石角の紹介する「The Code: Silicon Valley and the Remaking of America」です。

この一冊は、GoogleやFacebookが生まれる前の初期のシリコンバレーが生まれた時代からの流れや、街を作るために政府が関与することの重要性がわかる内容となっています。本日取り上げたトピックとも非常に関連している内容となっておりますので、興味のある方はぜひ一度手に取ってみてください。

 

それでは、次回の放送もお楽しみに!

#30の実際の音源はこちらからお楽しみください。

 

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事及び東京都AI戦略会議 専門家委員メンバーに就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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