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プライマリーケアから市場開拓を図るAmazonの戦略とは
2022/08/26 ブログ 
by kawakamitakuro 

DXを通した産業改革の重要性を伝える音声番組「Level 5 by Palo Alto Insight」

各回の内容を文字でもお伝えすべく、文章でまとめた記事を投稿しております。ポッドキャスト内容の概要を読みたい方はこちらの記事をお読みください。詳しい内容は音声ページよりお楽しみください。

プライマリーケアから市場開拓を図るAmazonの戦略とは

今回の放送では冒頭に、アメリカのZ世代に人気のSNS「BeReal」をご紹介しました。

 

「映え」から「ありのまま」へ

現在アメリカでは、アンチインスタグラムの動きが加速しています。その中で登場したSNSが「BeReal」です。このアプリでは、ユーザーにいくつかの制限をかけることによって、ありのままの自分を投稿させるような工夫が施されています。

例えば、このアプリではユーザーが好きな時に写真を投稿することができません。アプリ側がランダムに投稿可能な時間を伝えて、その時間内で撮影・投稿しなければならないのです。これにより、突然投稿を強いられることになるため、その時々のありのままの自分を曝け出すことになります。

インスタグラムでは「映え」という言葉が示すように、着飾った自分や加工した写真などを投稿して、現実とは違う世界観を表現していました。しかしそれでは、相手の本当の姿を見ることが難しため、そういった「映え」からの反動として、BeRealのようなアプリケーションが流行しているのでしょう。

 

お気に入りのSNSを使う時代

新型コロナウイルスの影響もあり、普段の生活スタイルはここ数年で大きく変化しました。アメリカでも、出社が当たり前だった時代は「カジュアルフライデー」というものが存在し、週末はカジュアルな服装で出社するという文化があったそうです。しかし今ではリモートワークがメインになり、逆に金曜日くらいはあえておしゃれをしようという動きが生まれているようです。これも「反動」の1つと言えるでしょう。

SNSに関しても、これまで主流だったものの反動でさまざまなアプリケーションが生まれる予感がします。より細分化された先に、自分のお気に入りのSNSを見つけて楽しむのがいいのかもしれません。

今後も引き続き、「Level 5 by Palo Alto Insight」ではコメントを募集しております。

ぜひお気軽にご質問ください。

 

プライマリーケアから医療業界を変える

第31回で取り上げる「今週のホットニュース」はAmazon’s Foray into Primary Care Won’t Be Easyです。

ニュースの概要

このニュースは、7月21日にアマゾンが約39億ドル(約5,196億円)でプライマリーケア事業を行うOneMedical(以下、ワンメディカル)を買収したという内容になります。かねてからAmazonは、医療業界を最後のイノベーションが起こる市場と位置付けており、今回の買収も市場開拓の重要なピースになるのでないかと分析しています。

最近では、自動お掃除ロボットのルンバを販売している「iRobot」を買収したことでも話題となっており、大型の買収が続いているAmazon。今後、メディカル領域にどのような踏み込んでいくのか、世界的に注目されています。

 

アメリカの医療制度

今回買収を発表したワンメディカルについて理解する前に、日本とは大きく異なるアメリカの医療制度についてお話ししたいと思います。

アメリカでは、日本でいう国民健康保険制度というものがありません。そのため、基本的には民間の健康保険に入ることになります。その中で特に重要となるのが「プライマリーケア」です。プライマリーケアとは「かかりつけ医」のようなイメージで、入った保険会社によって選べるかかりつけ医が指定されてしまうため、選ぶ上で非常に重要な要素となっています。

高い保険に加入すれば、かかりつけ医のリストもより網羅されます。それに対し、保険料の安い保険に加入すると、車で30分以上かかるようなかかりつけ医しか選べなくなることもあるのです。基本的に、アメリカではかかりつけ医からの紹介状がない限り専門医にも会えないため、このプライマリーケアが保険を選ぶ基準にもなっています。

 

ワンメディカルが目指すもの

それでは、今回Amazonが買収したワンメディカルは何を目指しているのでしょうか。ワンメディカル「プライマリーケアの民主化」を掲げ、毎月定額の保険料を支払うことで幅広くかかりつけ医を利用できるようにすることを目標としています。これにより、加入する保険のランクにかかわらず、多くの人がより良いかかりつけ医を利用することができるようになるのです。

長谷川は、病院を利用する際は必ず「どの保険に入っているのか」を聞かれるといいます。当時はAppleが提携している保険会社に加入していたため、その名前を伝えると基本的にはどの病院でも安心して診察を受けられたようですが、保険会社によっては病院から拒否されるケースもあるようです。

また石角は、アメリカで出産した際に、生まれる直前までドクターが出てこなかったと話します。基本的にはナースが診察するのが当たり前なので、例え出産のような状況でもお医者さんはなかなか出てきません。このように、アメリカの医療業界は多くの点で問題を抱えているのです。そのため、このプライマリーケアの民主化がアメリカの医療制度改善のきっかけになるかもしれません。

 

Amazonの持つ強みを掛けあわせる

ここまで、アメリカの医療制度について説明したのち、ワンメディカルが目指す「プライマリーケアの民主化」についてお話ししてきました。これらを踏まえて、Amazonはなぜ今回ワンメディカルを買収したのかについて分析していきます。

ワンメディカルは、独自に電子カルテシステムというのを導入しています。これにより、約80万人分の医療データを確保しているため、データ活用という点でAmazonと親和性が高いです。また、医療現場において重要な要素として「処方箋」があります。これについても、Amazonの持つ物流システムが活用できるでしょう。

そして、Amazonプライムとうまく組み合わせることによって、プライマリーケアをサービスの一環としてユーザーに提供することもできます。これにより、新規のプライム会員の獲得にもつながるでしょう。このように、Amazonとワンメディカルは非常に相性がよく、色々なシナジーが生み出せる可能性があるのです。

 

どのように医療業界を開拓するのか

今回はAmazonがワンメディカルを買収したことにスポットを当ててきましたが、GoogleやMicrosoftなど、大手テック系企業の多くがメディカル領域に参入し始めています。しかし、それらの多くはバックエンド側でクラウド管理をしたりなど、戦略内容に大きな差はありませんでした。

しかし、今回のケースは他の企業とは違うアプローチから買収を行なっているため、大きな差別化要因になることでしょう。今後も、他の医療機関と提携を進めていくのか、または全く違った分野から医療業界参入を進めていくのか、Amazonの今後の動向にも注目です。

 

今週のおすすめコンテンツ「Invent & Wander──ジェフ・ベゾス Collected Writings」

「今週のおすすめコンテンツ」は、石角の紹介する「Invent & Wander──ジェフ・ベゾス Collected Writings」です。

この一冊は、ジェフベゾス自らの言葉が詰まった書籍となっております。アマゾンを導き続けてきた成功の原則や、大型買収を仕掛ける裏にある狙い・理由などが書かれており、ビジネス現場にも活かせる金言が盛りだくさんです。ぜひ気になった方は、一度手に取ってみてください。

 

それでは、次回の放送もお楽しみに!

#31の実際の音源はこちらからお楽しみください。

 

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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