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ロイヤルホストが考える、DXを軸にした未来の店づくり

2022/12/15 メディア掲載実績, 日経クロストレンド 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

ロイヤルホストのDX戦略 共通ID「ROYAL Pass」も構想 – 日経クロストレンド連載

ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」をはじめ、さまざまな外食チェーンを展開し業界をけん引してきたロイヤルホールディングス代表取締役会長の菊地唯夫氏と石角友愛氏の対談の後編。前編では菊地氏がキャリア選択のうえで大事にしてきた「責任を果たす」という考え方や、増収増益を継続できるようになった背景を聞いた。後編では同社が新型コロナウイルス禍で直面した会社の体質の問題、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して進める未来の店づくりについて議論した。(対談は2022年10月25日)

ロイヤルホールディングス代表取締役会長の菊地唯夫氏(写真)とAIビジネスデザイナーの石角友愛氏が同社のDXや未来の店づくりについて議論した

▼前編はこちら
15年続いた負の経営サイクル 苦境のロイヤルHDが立ち直った軌跡

コロナ禍で浮き彫りになったポートフォリオ経営のわな

石角友愛氏(以下、石角) 新型コロナウイルス禍では飲食業界をはじめ、多くの企業がビジネスモデルの転換を迫られました。どんな影響がありましたか。

菊地唯夫氏(以下、菊地) 一言で言うと、ポートフォリオ経営のわなにはまりました。どんなビジネスでも好調と不調はあるので、さまざまな事業を展開することで、不調の波もグループ全体で吸収して増収増益を実現してきました。例えば、外食事業が不振でも、ホテル事業がそれ以上に伸びていれば、総合的には良いパフォーマンスが出せていると判断できます。この方法がうまくいっていたことから、ここに過信してしまっていたのです。

コロナ禍では好調だった事業も不調だった事業も、すべてがストップしました。どう考えてもピンチなのですが、社員の危機感は薄かった。過去の経験から「マイナスの事業があっても、ほかの事業がカバーしてくれるだろう」という、他人任せの甘えが生まれてしまっていたのです。ポートフォリオ経営の弊害でした。その結果、他社に比べてテークアウトやデリバリーへの対応が遅れてしまいました。

石角 外食産業はコロナ禍で来店客が急減していたにもかかわらず、社内に危機感が不足していた……。ポートフォリオ経営には、市場の変化が自社ビジネスにもたらすインパクトに鈍くなるというデメリットがあったのですね。

菊地 はい。コロナ禍では数十回にわたり従業員向けにオンライン説明会を開催したのですが、初回のタイトルは「不安感から危機感へ」でした。不安感は人の動きを止めますが、危機感は逆に人を動かします。社員に不安感ではなく、もっと危機感を持って活動していってほしかった。このタイトルに当時の思いが表れています。

石角 私たちのパロアルトインサイトは「長崎ちゃんぽん」でおなじみのリンガーハットと協力して、緊急事態などに対応したAI(人工知能)による需要予測モデルを開発しました。これは、緊急事態宣言のときに既存の需要予測モデルが全く通用しなくなり、当然ながら売り上げも落ち、社内で「今のままではいけない」という危機意識が高まったことがきっかけです。

社内で危機感が不足しているという状況の中、ロイヤルホールディングスではどんな対策を進めたのでしょうか。

菊地 厳しい状況には置かれましたが、それでも会社は存続させなければいけません。そこで当時の社長を中心に不採算店の閉鎖やコスト削減に取り組みました。それと同時に別の対策として、総合商社である双日との資本業務提携を進めました。それまで人の移動に合わせてビジネスを拡大してきたのですが、コロナ禍では人流がストップしてしまった。「人が動かないのであれば、モノを動かすしかない」と考えたのですが、私たちにはそのノウハウがない。そこでモノを動かすことを得意としている総合商社と協力するのが一番だと考え、2021年2月に双日と提携を結んだのです。

ファストフードは「サイエンス」、レストランは「アート」

アフターコロナが見えてきた中で、フードデリバリーのようなプラットフォーマーと飲食店の力関係も変化していると指摘するAIビジネスデザイナーの石角友愛氏

石角 米国では「Uber Eats(ウーバーイーツ)」や「DoorDash(ドアダッシュ)」といった大手フードデリバリープラットフォーマーが、マクドナルドやスターバックスなどブランド力のあるチェーン店と提携しようと必死になっています。やはり集客力がありますからね。その一方、小規模な飲食店はプラットフォーマーへ支払う手数料に苦しめられ、客も増えないという問題に直面しています。

ロイヤルホールディングスの「中期経営計画 2022~2024」の中で、店内の飲食を除く事業について、21年にテークアウト・デリバリーが58%を占めていた状態から、24年にはテークアウト・デリバリーを33%に減らし、インバウンド(訪日外国人による消費)を33%に変えていくという目標を掲げています。プラットフォーマーとの付き合い方を見直していこうとされていると感じています。

菊地 プラットフォーマーとの関係性については、まずは産業構造について少しご説明しておきたいと思います。日本の外食産業は25兆円という非常に大きな規模があります。普通、25兆円もあれば業界内に売上高1兆円以上の企業があってもおかしくありません。ところが外食業界では、大手企業でも6000億円程度です。では米国ではどうでしょうか。米国の外食産業には売上高1兆円以上の企業がありますが、ファストフードとコントラクト事業(法人を対象とした空間プロデュース事業)のみで、レストランチェーンで1兆円を超えるところがないのです。

石角 興味深いですね。日本だけでなく、米国においても外食産業の中でファストフードなどに比べてレストランチェーンの売上高は低いのですね。なぜなのでしょうか。

菊地 私はファストフードやコントラクトとレストランチェーンの違いは「サイエンス」と「アート」だと考えています。サイエンスはシステム性、アートは店としての魅力と考えてください。ファストフードやコントラクトはサイエンスが強く、規模拡大との親和性が高いという特徴があります。一方でレストランチェーンはアートが強く、再現性が乏しいため規模拡大とマッチしない。ですが外食の魅力の一つはアートから生まれる多様性にあり、必ずしもレストランチェーンがサイエンスを強化すればいいとは思いません。

石角 なるほど、ファストフードは規模拡大がしやすいため売上高も上がる。レストランチェーンはそれがしづらいけれど、アートという魅力があるということですね。

菊地 はい。そこでプラットフォーマーと組むことで、アートを維持しつつ、規模から生まれる生産性というレストランチェーンの弱点を補える可能性があると考えています。ただし、プラットフォーマーに依存すればブランド力を失ったり、プラットフォームのアルゴリズムに業績を左右されたりするリスクがあります。それを乗り越えるためには、プラットフォーマーからリスペクトされるようなコンテンツを作り出すことが必要です。他社が絶対にまねできず、アルゴリズムの変化に振り回されないコンテンツがあれば、プラットフォーマーの支配を受けることはない。今はそこの確立を目指しているところです。

DXの本質は人の「代替」ではなく「補完」

石角 米国では今、外食産業に大きな変化の波が起きています。その起点となったのが、店舗に客を入れず、デリバリーのみに対応する「ゴーストキッチン」です。ライドシェアのUberの創業者が携わる「クラウドキッチンズ」などが有名です。一般的なレストランを開業するのに比べて資金を抑えることができるという強みがあり、人気YouTuberがハンバーガーショップをオープンするなどトレンドになっています。

菊地会長のお話を聞いていて、こういった変化の中では、プラットフォーマーが組みたいと思うようなブランド力や料理の高いクオリティーを持つことがより一層重要になってくるのだと感じました。それを確立するために、具体的にどういった対応をされたのですか。

菊地 まず中期経営計画で事業ごとのミッションを策定しました。「ブランド」「成長」「開発」「収益」はどんな企業においても必要です。各事業がそれぞれ4要素をすべて保有するように努めるのではなく、どれか1つの要素を強めることに注力してもらいました。例えば、ロイヤルホストはアートを高めたいため、店舗数を減らし、残った店に資金を集中させて「ブランド」の強化とその発信に力を入れました。これに対し「天丼てんや」とコントラクト事業はサイエンスの側面が強く、規模の拡大に非常に親和性があるため、そこを生かして「成長」に尽くしてもらいました。

今後はDXによりサイエンスの再現性を一層高めると共に、深刻化する人手不足に備えて、人材が集まりやすくなるようアートの魅力を社会に発信していくベースづくりを進めるつもりです。

石角 ビジネスを完全にデジタル化してしまうのではなく、DXをサイエンスとアートを高めるための支援ツールとして活用されていくということですね。

菊地 私はDXとは「成熟社会におけるトレードオフ(相反)を解消させるツール」だと思っています。成熟社会においては「人によるおもてなし or 機械」「利益 or 顧客満足」など、さまざまなトレードオフが生じます。デジタルを活用することで、こういったトレードオフが起こらないようにしていくことができるし、それこそがDXの本質だと考えています。

石角 同意見ですね。DXによって共存・協業を図り、より良い体験価値をつくっていくことに力を注ぐべきで、「人か、AIか」といったバイナリーな議論はそろそろ終わりにしてほしいですね。

菊地 石角さんにそう言っていただくと、心強いです。現代は「第4次産業革命」といわれています。第1~3次においては、主に製造業で機械を活用して少ない人数で早く効率的に生産していくこと、つまり人を機械で代替するという「代替性」がフォーカスされていました。第4次はそれまでとは大きく異なり、「補完性」がテーマとなっています。例えば、AI予測を活用して働きやすくするといったことです。AIが人を補完し、人と共存していくという社会はとても合理的であり、私もそうあるべきだと思いますね。

 

DXでトップが大事にすべき2つのポイントとは?

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パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。また、毎日新聞「石角友愛のシリコンバレー通信」、ITメディア「石角友愛とめぐる、米国リテール最前線」など大手メディアでの寄稿連載を多く持ち、最新のIT業界に関する情報を発信している。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧

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