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口コミで分かる高・低評価企業の特徴 DX不足が転職検討の理由に – 日経クロストレンド連載

口コミで分かる高・低評価企業の特徴 DX不足が転職検討の理由に – 日経クロストレンド連載

ネットやモバイルと同等、あるいはそれ以上の革新をもたらす技術として生成AI(人工知能)が広がりつつある。急激な変化の時代が続く中、トップ経営者や専門家は何を目指していくのか。AIビジネスデザイナーの石角友愛氏が、具体的かつグローバルな議論を展開する。今回は就職・転職向けの情報サイトを運営するオープンワーク社長の大澤陽樹氏を迎え、従業員の口コミから見る支持される企業の特徴、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性などについて議論した。(対談は2023年6月8日)

オープンワーク社長の大澤陽樹氏(右)とパロアルトインサイトCEO(最高経営責任者)でAIビジネスデザイナーの石角友愛氏(左)が対談した。

非難を受けつつも口コミの意義を信じる

石角友愛氏(以下、石角) OpenWork(オープンワーク)に投稿された「社員口コミ」が、2023年春に1500万件を超えたそうですね。今回はそれらのデータをふまえてDXと転職の関係、AI時代の採用などについて、お話を伺いたいと思っています。まずは大澤さん自身のキャリアについて教えてください。オープンワークの創業者ではないそうですが、どういった経緯で代表に就任されたのでしょうか。

大澤陽樹氏(以下、大澤) 大学卒業後にリンクアンドモチベーションへ入社し、組織人事のコンサルを経て、企画室室長となりました。そこでCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)事業に携わることになったのですが、出資したベンチャー企業の1社がオープンワークの前身である「Vorkers(ヴォーカーズ)」だったのです。出資に際して、私が新規事業の立ち上げをサポートすることになり、週1日ヴォーカーズに通い始めました。こちらの事業にもっと関わりたいと思うようになり転職したんです。

営業マネジャーから執行役員、副社長となり、20年に創業者でもある当時の社長の意向を受けて代表に就任しました。

石角 人事の経験もあるとのことですが、口コミを投稿される企業側から、プラットフォーム運営側に移って、戸惑うことも多かったのではないでしょうか。

大澤 そうですね。前の会社で人事担当をしていたとき、OpenWorkの口コミがきっかけで内定者に辞退されたことがあって、正直、厄介なサービスだと思っていました。運営する側に回ってみると、やはり企業からの視線は厳しく、「OpenWorkはトイレの落書きと同じだ」と言われたこともありました。

石角 「トイレの落書き」というと、真偽不明のうわさ話ということでしょうか。

大澤 そうだと思います。これには僕も社員も、さすがに傷つきました。私たちはOpenWorkに集まる口コミこそ、大事な情報だと信じています。これまでの人材紹介マーケットは経験や勘に基づいていて、マッチングの部分はブラックボックス化していました。OpenWorkの口コミを活用することでそこから脱却し、企業にとってもユーザーにとっても納得度の高い、価値あるマッチングが実現できると思っています。

低評価企業を象徴する言葉は「昭和」や「アナログ」

石角 OpenWorkには企業の社員や元社員の口コミが大量に蓄積されています。御社ではそのデータの分析を進めているそうですが、DXに関して何か傾向はあるのでしょうか。

大澤 約3400社の上場企業のうち、OpenWork上での評価スコア上位5%と下位5%の企業の口コミを分析し、その内容をクラスター化して図にしたところ、評価スコア下位5%の企業の傾向として「昭和」「アナログ」「旧態依然」「紙」「オーナー」「一族経営」などのワードが上位に上がっており、DXとの関連がうかがえました。

OpenWorkの口コミを分析したクラスター図。上が評価スコア上位5%、下が下位5%の企業のもの

 

石角 面白いですね、DXとは真逆な印象の言葉ばかりです。

大澤 それぞれのワードが出てくる口コミを読んだところ、やはりDX化が進んでいないことに対する不満が書かれていました。特にインフラ系で業績が好調な企業では、事業がうまくいっているがゆえに、経営者が「もうかっているのだから、わざわざDXなんてしなくていい」と考えているようです。

石角 そういった思考は確かにあると思います。とはいえ現場はDXが進まないことに不満を抱いているのですね。

大澤 ええ。もうかっている・いないに関わらず、みんなアナログで意味のない業務はやりたくないですからね。それにITツールの導入が進まず、紙で管理しているような職場で働いていると、転職活動をする際に相手企業から「アナログな仕事しかできないのでは」と思われ、不利になるのではという不安もあるようです。今やDXが進んでいないことは、従業員にとってキャリアの合理性が低く、転職検討理由の一つになっているのです。

石角 なるほど、DXと転職にはそういったつながりがあるのですね。DXを進めなければ、意識の高い優秀な社員がどんどんいなくなってしまうとなると、企業にとっては大きな問題だと思います。

若手にとってAI導入やDXは「不安」ではなく「チャンス」

石角 OpenWorkに口コミを投稿するのは、どの年齢層の方が多いのですか。

大澤 ユーザーは20代後半から30代前半が多いですね。まさにこれから会社の中核になっていく方々です。

石角 AI導入やDXが進むことについて、「いつか自分の仕事を奪われてしまうのではないか」と心配している方が少なくありません。それに私がメディアから取材を受けると、必ずといっていいほど「ChatGPT(チャットGPT)の登場で消える仕事は何ですか」と聞かれます。「AI脅威論」がストーリーの前提になっているんです。

ところがこの分析結果を見てみると、20代後半から30代前半の人はAIやDXを不安視しておらず、むしろ期待していることが分かる。AIやDXは自分たちの仕事を奪うのではなく、むしろ紙の処理や会社の電話番など誰にでもできる仕事から解放してくれて、自分にしかできない経験を積むキャリアアップのチャンスをつくってくれる存在と考えているのではないでしょうか。

大澤 核心を突いた見解だと思います。口コミを見ていると、現場の方々は不安を感じつつも、本心では他社で通用するスキルが身につかない仕事はやりたくないし、今後のキャリアを考えるとDXを推進している会社でスキルを磨き、ITリテラシーを身につけていく方がいいと考えているのだと感じます。

石角 評価スコア下位の企業の口コミには「オーナー」「一族経営」などのワードもありますが、現場の方々はDXが進まない背景にはこういった経営者の理解がないことも影響していると考えているのでしょうか。

大澤 一族経営だからDXが進まないというわけではないと思いますが、ほかにも「顔色」「精神論」「イエスマン」といったワードが挙がっていることを考えると、一族経営かつ顔色伺いが当たり前になっている職場は、従業員が声を上げにくく変化が起こらないため、DXも進みにくいのだと思います。

変化を許容しない会社は、たとえ経営状態が良くても、人が去ってしまうのではないでしょうか。

石角 業績がいいときは、社員の不満や変化の必要性に気づくのが遅れやすいですからね。ご指摘いただいた部分は非常に大事なポイントだと思います。

厳しくても成長できる職場がいい

石角 評価スコア上位5%の企業については、DXと関連のありそうなワードとしてどういったものがありましたか。

大澤 「フラット」「自由闊達」「価値」「裁量権」といったワードが多かったですね。口コミには「DXは手段であって、価値を出すためにはどう変化するかが大事だ」といった内容が書かれていました。上位企業は変化に柔軟な姿勢があることが、高評価につながっているようです。

石角 よく「最近の若者は変化を好まない」「内向きの傾向がある」といったメディアの記事を目にしますが、今のお話を聞いて、実はそうではないのかもしれないという気がしてきました。

大澤 同意見ですね。オープンワークでは23年4月に、新卒で入社した若い世代の口コミを分析した「コロナ時代の新入社員が選ぶ『働きがいのある企業ランキング』」を発表しました。このリポートを見ると、若い世代は昭和的な、がむしゃらな働き方は好まないものの、成長できる環境を求めている傾向があることが分かりました。

物価はどんどん上がるのに、給料は上がらない。そんな日本の現状を見て、目の前の上司や会社への不満よりも、将来への不安の方が大きくなっているのだと思います。

オープンワークがまとめた「コロナ時代の新入社員が選ぶ『働きがいのある企業ランキング』」

 

石角 上位にランクインしている会社を見ると、人気企業ランキングでよく見かける商社やメーカーは少ないですね。

大澤 そうなんです。しかもトップのP&Gジャパンの口コミは「フィードバックが厳しい」「自分で勉強しないと仕事についていけない」など、シビアな職場をイメージさせるものが多い。ただし、その分成長できるため、「ビジネスパーソンとしての市場価値が高くなる」と満足度が高いようです。今の若い世代が仕事は厳しくても成長できる環境を求めているというのは、意外でしたね。

石角 自己成長できる好機と捉えているのでしょうね。上位にコンサル会社が多いのも同じ理由だと考えると納得できます。

大澤 こういった企業はDXも進んでいるので、最新のデジタルツールを使ってお客さんに価値を提供していく経験ができるという点でも支持されているようです。

石角 転職の際にも有利になりますからね。若い世代はもう定年まで1社で勤め上げることは想定していないのでしょうね。

大澤 それは私も採用の現場で感じています。採用面接の際、求職者からオープンワークに入社した方たちのセカンドキャリアを聞かれたことがありました。本人にはまったく悪気はなく、純粋に情報として知りたかったようですが、やめた後のことを気にしている方は増えていますね。

エンジニアの解雇が続く米国、DX人材のニーズが高い日本

石角 最近米国のIT業界では解雇が続いていて、例えば、23年5月にはリンクトインが700人以上の人員削減を発表しました。リンクトインは景気が悪いときは求職者から月額利用料を、景気が良いときは企業からプラットフォームの利用料や広告料を取るビジネスモデルで、リスクヘッジがしやすいといわれていたので、大量解雇には驚きました。

大澤 解雇の波がきているのは、米国の景気が後退しているからでしょうか。

石角 私はChatGPT時代に突入したからだと考えています。新型コロナウイルス感染症が流行し始めたころ、IT業界は非常に好調で、米メタなどが大量にエンジニアを採用しました。それらの企業が今になって採用しすぎたことに気づいた。さらに生成AIの登場により、AIを活用すれば同じ作業をより少ない人数でできる可能性があると分かりました。そこで組織をスリムにし、AIを使って人に依存するビジネスモデルからの脱却を試みているのだと思います。

シリコンバレーでは、少し前までエンジニアは「歩く金」と呼ばれて重宝されていました。そのエンジニアが次々解雇されるとは、これまでのシリコンバレーでは考えられない状況です。

米国では生成AIの登場が雇用にも影響し始めていると分析する石角氏

大澤 日本でもIT系の外資系企業で、外国本社からの指示により、採用を控えるところが出てきています。一方で、日本企業には面白い動きが見られます。23年に人的資本情報の開示が義務化されたことをきっかけに、企業がさまざまな情報を公開するようになりました。その流れの中で、キャリア採用比率を公開することで、「外部からDX人材を採用してDXを進めています」というアピールをする企業が増えています。

石角 なるほど、キャリア採用を増やしていることをDX推進の証拠として活用しているんですね。

大澤 近年、優秀な人材が外資系企業に流れがちで、日本企業は悔しい思いをしてきました。外資系企業が採用を絞り始めた今、日本企業はこれをチャンスと捉え、報酬の見直しなどをしたうえでDX人材を確保しようと動き始めているんです。

石角 日本企業では具体的にどういった人材が求められているのですか。

大澤 国がDX推進人材として掲げる5職種(ビジネスアーキテクト/デザイナー/ソフトウエアエンジニア/サイバーセキュリティー/データサイエンティスト)のニーズは高いですね。特にエンジニアは、ある転職サイトの調査で23年5月の求人倍率が約10倍です。最近ある方がデザイナーを対象にした合同説明会の開催を企業に呼びかけたところ、募集から半日で30社の枠が埋まったそうです。まだまだエンジニアやデザイナーの採用には困っている企業が多いようです。

石角 日本ではまだまだDX人材のニーズは高いのですね。

(後編につづく)

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パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

※石角友愛の著書一覧

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