パロアルトインサイト/ PALO ALTO INSIGHT, LLC.

「ダイナミックプラインシングモデルをどうやって改善したか」
〜オンライン薬局みんなのお薬の次なるAI活用〜2019/12/18

パロアルトインサイト
CEO・AIビジネスデザイナー/データサイエンティスト
石角友愛/辻智範
株式会社eLcrews
CTO
渡部嘉之様
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〜オンライン薬局みんなのお薬の次なるAI活用〜

Amazonで医師の処方箋を必要としない医薬品を販売しているeLcrews社。

過去にフェーズ1、フェーズ2と、パロアルトインサイト社の「AI診断」によって既存の流線モデルの課題を2週間で見える化し、技術的課題を抽出。実際にそれらを解決する機械学習技術を使った最新のモデルを実際に2ヶ月ほどで導入したころ、実際にAmazon上での商品の売上も利益率も2倍以上アップしました。そのプロジェクトの詳細が日経クロストレンド、日経新聞で取り上げられました。

今回は、フェーズ3としてプロジェクトを行うにあたってどのような課題が感じていたのか、結果どのような形に収まったのかお話を伺いました。

石角:eLcrewsさんの「みんなのお薬」プロジェクトは、弊社がお手伝いしている中でもとても分かりやすい成功事例ですが、今回はフェーズ2までの背景と、フェーズ3がやりたいと思った理由をお伺いしたいと思います。

今まで私たちと一緒にお仕事してかなりの精度でフェーズ2が終えることができました。数値でいうと75(%)くらいで、とにかくすごくいいものができて、一回終わったと。

それでちょうど1年後がたって、何故このタイミングでフェーズ3をやろうとなったのか背景を教えて頂いてもいいですか?

渡部:やはり時代が進むにつれて、アルゴリズムに変更があるというのが大きな原因です。それには人間がどんどん反応して突き詰めないといけないところで、1年前のアルゴリズムと今のアルゴリズムがだいぶ変わってきました。また、入力するデータの数が足りないというのも致命的で、そこを突き詰めていって、精度を上げていくという行為をしないといけません。

それから今は、価格調整はもちろんですが、マーケティングの分野でもこのシステムを使っています。そうすると新しく仕入れるものの卸値とかもこのAIに委ねているので、今まで以上により精度が必要で、それこそ売れないものを仕入れてしまうのは非常に致命的かなといった背景があります。

AIの納品だけでは根本的な解決はできない

渡部:ちょっと面白い話で、前にプロジェクトが完了したじゃないですか。

実は完了した3日後にAmazonのアルゴリズムが変わったのですね。細かく言うと昼と夜で収束する値段が変わる仕様になりました。

それに伴って、入力欄には時間軸も必要になりました。日々こんな変更があるので、AIのプログラムはずっと人間がインプット与えないと動き続けないだろうなという思いを実感しました。

学習データもすごい古いものから取ってくるとずっと正解率が悪かったので、その変更する以前のものは拾わないようになど試行錯誤をして、なんとかまた60~70%に戻すことができました。

石角:Amazonがアルゴリズムを変えるというのは知らなかったのですか?

渡部:特に予告も何もなかったです。「なんでこんなに数字が悪くなってるんだろう」と思って調べてみてようやく気づきました。

石角・なるほど。だから日々変わるAmazonのアルゴリズムに合わせてモデルを変えていかないといけないというわけですね

渡部:多分全く知らない人がやったらパロアルトインサイトから納品されたAIは失敗品だったという形になりかねないと思いますね。Amazonのアルゴリズムが変わったというその原因がわかるレベルの人がみていないといけないです。

石角:渡部さんはわかったのは、日ごろからこのAIに密に触れていただいているからですね。

eLcrews社がフェーズ3で感じた勝因

石角:フェーズ3でKNNに大きな改良を加えずに、ゼロから作り直さずにデータを転出したという風に聞ききましたが、何がフェーズ3の勝因だと思いますか。

辻:大量のデータを使ってはいたのですけれども、本当に必要な部分だけのデータをよりよく抽出するロジックにしました。すると少ないデータで、且つはやくデータをひっぱってきて答えを出すということが可能になりました。これに関しては今までの1年間プロジェクトした経験値を基にしています。

KNNの機械学習の手法自体は変えず、データの切り口を今度変えて、それと同時にデータの次元を二次元、三次元も増やして使い、より正確にデータの質を上げました。

石角:やはりデータはなんでもかんでも多ければ多い方がいいというわけではないんですね

渡部:やっぱりビックデータが来てしまうと、このプロジェクトの場合ロジック側が変わってきちゃうから、使えないデータがどんどん増えてしまうという欠点がありました。

石角:フェーズ3のプロジェクト直後はどれくらいの精度がでましたっけ?確かカートを取れる商品の数が3倍で売り上げも約1億近く伸びたんですよね。

渡部:そうですね、1億円までいかないくらいで大幅に伸びました。

アメリカではAmazon検索結果の価値が高まっている

石角:昨日アメリカのポッドキャスト聴いていて、Web上で一番価格(価値)の高いのはどこかというと、Googleの検索結果の一番上じゃなくて、Amazonの検索結果で一番上に来るところが何よりも価値が高いという話を耳にしました。Amazonのアドグループは、GoogleやFacebookに迫る勢いですごく伸びてきています。クラウドサービスのAWSはすごい稼ぎ頭になっていて、Amazonでカートを取るというのもそうだし、出店している会社は日本にもたくさんいます。

これからは、Amazonでカートを取るというところに対して本気で技術投資、R&Dだけでなく投資しなければいけないと思います。渡部さんほど進んでいないにしても、その半分くらいの意識は持ってほしいとすごく思います。

ぜひ渡部さんから、今までAmazonでモノを売るだけだった人に対して、こういうところから始めた方がいいよなどアドバイスはありますか?

渡部:データ云々はあんまり関係なくて、結局その商品を入れたいと思ったらカートを取らなきゃいけないじゃないですか。カート取るためにどうしようかとなった時には、カート獲得率の指標というのをAmazonが出しているのでそれを見てみるといいでしょう。

そこでいますぐできることは、まずは価格を詰めることだと思います。

例えば価格を1円落として、1回やってカートを確認してそれを100回くらいやっていく。いくらだったらカートを取れるかということをまずは手動で行い、現場レベルで自分が手を動かさないと分からないんで、それで何をしたら勝てるかというのをプログラマーと相談してみて、ここは自動化したらもうちょっといけるんじゃないとか。やっていけばいいと思います。

石角:Amazonの全体のマーケットプレイスとして、プレイヤーがすごく増えたというのは感じますか?

渡部:弊社は医薬品販売ですし、参入ハードルが高いので、あまり増えているという実感はないですね。日用品の部分はちょっと増えてきたかなという感じです。

ECはすごく丸儲けできるというわけではないと思っております。大体ECに参入したいという人は、自社商品を持っていてブランディングをしてどうこうという頭なんでそういう人たちはあまり僕の話が参考にならないのかもしれませんね。

石角:でも、渡部さんもいつかはと考えているんですよね

渡部:自社ECは最終切り札として考えています。

石角:そこまでの道のりは今後どうお考えですか?

渡部:きちんとインデックスを貼ってお客様の症状から検索して、どういう疾患があるかまで検索できてから商品を探せるようにしたいです。具体的に言うと対話型で案内ができるようにしたいです。

厚労省がセルフメディケーションを進めているようにインターネットの中で対話型で出来るようにします。「症状を話してください」→「頭が痛いです」となった場合、二日酔いや風邪の症状でいたい場合もあるので、もう少し細かい病名を特定してそれに合ったものを判別できるようにしています。ドラックストアに足を運んだ時のような体験ができる等にします。

自社サイトは、実は風邪の症状ですといったときに、ひどければ薬じゃ治らないので現在地から一番近い病院を全部案内できるような形にもしています。

石角:これは単なる薬の販売ではなく、ウェルネスと向き合う新しいポータルになればいいですね。ぜひアプリ版の開発をお願いしたいです。

渡部:そこも視野に入れて開発に努めたいと思っております。

石角:では、今後はモデルフェーズ3で昼と夜の変更があったからそれに対応するかたちでまたチューニングして、様子見てですね。

渡部:そうですね、新カテゴリーで店舗の評価が見えるケースが何個かあるので、取り込んだものをやってよりよくしたいと思います。

石角:そうすると新カテゴリーでの展開もやりやすくなるし、そっちの方向でやれればいいなと思います。

こういうAIと会社のeLcrewsが成長していく中でAIモデルも一緒に成長していくという経営戦略の中のAIということですごくいいなと思いその成功事例として今日はお話をお伺いしました。ありがとうございました。

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