アメリカ最新AI情報満載!セミナーや講演情報など交えて毎週水曜配信 無料ニュースレター 下記へメールアドレスを入力し無料で登録
CLOSE
パロアルトインサイト/ PALO ALTO INSIGHT, LLC.
ニュースレターNEWSLETTER
パロアルトインサイト/PALO ALTO INSIGHT, LLC. > ニュースレター「Moonshot」 > 出血量を測るAI – 医療現場のAI活用

出血量を測るAI – 医療現場のAI活用

2019/04/29 ニュースレター「Moonshot」 
by 関口 
こんにちは、石角友愛です。

最近、医療現場でのAI活用に関して依頼を受けることが多くなっています。画像診断などがよく挙げられますが今日はシリコンバレー発の、手術現場で使われる出血量を検知するAIソフトウェアをご紹介します。

帝王切開で出産する人は増加傾向にあると言われています。
米国では30%の人が帝王切開で出産をしていて、1970年代の5%から飛躍的な増加と言えます。

中には合併症などを発症してしまうケースもあり、
その理由の多くは帝王切開の際の出血量に気がつかないことが多いためと言われています。
医師は通常、目視や血液を吸引したキャニスターやスポンジから計量するのですが、
羊水など別のものも混ざってしまうため正しい出血量が測れないそうです。
そこでシリコンバレーのロスアルトス市に本社を置くGauss Surgical社は、Triton(トライトン)というiPadアプリ+プラットフォームを開発しました。

手術室で、医師が血液を吸ったスポンジやキャニスターをiPadにかざすとAIで数秒で正確に出血量を計測できるというものです。その使い方はこのビデオをご覧ください。(血液ガーゼの写真が出てくるので苦手な方はご注意)

Tritonを使って出血量の計測をしているビデオ
2781人の帝王切開の患者で実験を行なったところ、外科医の目視よりトライトンの方が約6%ほど頻繁に失血(1000ml以上の出血)を検知したということです。結果的にトライトンありの患者はより少ない量の血液製剤を使用されたということです。因果関係などはこれから立証されるようですが、米国FDAと欧州のECマークの認可をすでに受けており、ソフトバンクベンチャーズなどから$51Mの投資を受けており今後の展開が期待されます。

シームレスなデザインがより一層大事になる

Gauss SurgicalのTritonは2018年にApple Design Awardを受賞しました。アプリのUIや実際の手術現場での使い方を見るととてもシームレスに見えます。

今後、AIアプリケーションは医療業界だけに関わらず、いかに現場のワークフローにシームレスに落とし込めるかが勝負となってくると感じます。機械学習の精度とスピードはもちろんのこと、それをどう落とし込むかのデザイン性がないと、導入の壁と定着の壁を超えられないからです。同時に、Tritonのようなアプリケーションを病院に売り込むには近道はなく、通常Medical AI系のスタートアップでは機械学習モデルを作る技術チームと、営業&事業開発チームが同じ人数だけ在籍することが多いです。

先日私が出演したNHKクローズアップ現代では「AIに負けない人材をどう育成するか」がテーマでしたが(ダイジェストはこちらオンデマンド配信はこちら)、今後より大事になるスキルは「デザインする力」や「営業する力」も含まれるなあと感じます。

それでは良い一週間をお過ごし下さい。

石角友愛

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

NEWSLETTERパロアルトインサイトの
無料ニュースレター

毎週水曜日、アメリカの最新AI情報が満載の
ニュースレターを無料でお届け!
その他講演情報やAI導入事例紹介、
ニュースレター登録者対象の
無料オンラインセミナーのご案内などを送ります。

BACK TO NEWSLETTER
« »
PAGE TOP