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ネットフリックスはABテストの効果検証では満足しない – ビジネスインサイダー寄稿

2019/05/14 メディア掲載実績, ビジネスインサイダー 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

ネットフリックスはABテストの効果検証では満足しない – ビジネスインサイダー寄稿

ネットフリックスはABテストの効果検証では満足しない —— 「Quasi Experiment」とは何か

撮影:小林優多郎

こんにちは。パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナーの石角友愛です。今回はネットフリックスでも活用している「Quasi Experiment」(クアジー・エクスペリメント=準実験。擬似実験とも呼ばれる)に関してご紹介します。データネイティブカンパニーがいかにABテストの枠を超えてあらゆる効果検証をしているか、そのこだわりと徹底ぶりを紹介します。

皆さんがご存知のABテストは、インターネット業界でよく使われる効果検証の手法の一つです。例えば、サイトのランディングページのデザインを変えて、クリック率や登録数などのコンバージョンにどう影響を及ぼすか見たいとき、デザインAとデザインBを完全無作為に選んだユーザーグループに見せて、その効果を検証します。

「ABテストが万能ではない」理由

Shutterstock

このABテストですが、ビッグデータを扱い何億人ものユーザーをかかえる会社になると、検証したい事柄によっては不向きな点があるのをご存知でしょうか。

例えば、ネットフリックスで、こんな課題を抱えていたとします。

「新しいビデオのプロモーションをネットフリックス上で行うと同時に屋外広告(ビルボードなどを含む。いわゆるOOH=Out of Homeの広告)で行った場合、それぞれのプロモーションの効果は相加的なものなのか、それともカニバリをするものなのか?」

どうしてこの課題の場合、ABテストでは不向きなのでしょうか。

まず一つが、

(1)個人レベルで誰がビルボード広告を見るかを無作為に選ぶことが不可能

そして、

(2)無作為に選べて二つのグループに分けられたとしても、そのグループがどんな経験をするか(口コミを聞く、CMを目にする、またはネットフリックス独自のランキングシステムで違う結果が表示される可能性など)をコントロールできないので、因果関係が分からなくなるというものがあります。

ネットフリックスがニューヨークで実施した屋外ビルボードの様子。データネイティブ企業があえて旧来的なマーケティング手法を使うのには、もちろん理由がある。
Shutterstock

先ほどの課題に対して、例えば、新しいビデオの屋外広告を見る人と見ない人を無作為にグループ分けすることはできません。誰がどこにいるか、広告を目にするかはコントロールできないからです。

でも、どの地域で屋外広告を見せるかをコントロールすることはできます。そして、屋外広告を出した街とそうでない街で「登録率」などにどんな変化があるのか見る手法を、準実験と呼びます。

もともと、準実験は医療や心理学の実験などで多く用いられる手法です。データネイティブな会社であるネットフリックスが、ABテストにこだわらず医学や行動科学の世界の実験手法も活用していることは面白い事実です。

※写真はイメージです
Shutterstock

「効果測定がしにくい」と懸念されがちなビルボード広告なども、準実験という手法を取り入れ過去のデータを活用して解析すれば、相関性を検証するのに近いところまで到達できるということなのです。

また、ネットフリックスは独自のCDN(Content Delivery Network、Open Connectというストリーミングを可能にするネットワーク)を開発、運用しています。

そのCDNに改善を加えたときの効果測定にも、ABテストではなく準実験を使うそうです。ユーザーレベルでランダムに改善点に触れる人とそうでない人を選ぶより、「このサーバーには改善点を実装して、このサーバーには実装しない」というグループ分けをして効果測定をするのです。

ネットフリックスが組織する「実験チーム」の姿

撮影:小林優多郎
https://www.paloaltoinsight.com/membership-checkout/?level=4
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パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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