パロアルトインサイト/ PALO ALTO INSIGHT, LLC.

メディア掲載実績MEDIA ACHIEVEMENTS

パロアルトインサイト/PALO ALTO INSIGHT, LLC. > メディア掲載実績 > 日経クロストレンド 連載第2回「イーロン・マスクが描く自動運転の近未来 ロボタクシー構想も」記事掲載

日経クロストレンド 連載第2回「イーロン・マスクが描く自動運転の近未来 ロボタクシー構想も」記事掲載

2019/05/16 メディア掲載実績 
by 吉見知穂 

日経クロストレンド 連載第2回「イーロン・マスクが描く自動運転の近未来 ロボタクシー構想も」記事掲載

 

私がCTO(最高テクノロジー責任者)を務めるパロアルトインサイトの本社所在地である米パロアルトで4月下旬、テスラは投資家向けに「Autonomy Day」(自動運転説明会)を開催した。主な発表内容は次の4つだ。

(1)全自動運転を実現するためのコンピューター「FSD」(full self-driving computer)のハード

(2)機械学習のパイプラインと、なぜ「LiDAR」(レーザーレーダー)が不要かの説明

(3)自動運転をスケールで導入するためのインフラの説明

(4)ロボタクシー構想

自動運転の業界ではここ数年、LiDARの必要性が論点となっている。LiDARとは光のレーダーのようなもので、通常のレーダーが電波で物体との距離を検知しているのに対して、LiDARはレーザー光線を利用して物体との距離や対象の成分を検出できる。(米アルファベット傘下の自動運転技術開発会社)WaymoなどはLiDARを早くから導入しており、「LiDARを活用することによって人の写真と実際の人間を区別することができる」とブログ記事を通して説明している。また、悪天候の中で、物体や他の車との位置関係を知るのに必要だという主張もある。

(テスラのAI開発責任者である)アンドレイ・カルパシー氏は、LiDARが不要な理由として、「(現在イベントを開催している)この会場に皆様が運転してきたときは目からの映像のみを頼ってきたはずで、目からレーザー光線を打ち出して他の車両との遠近感を計りながら運転していた人間はいないはずだ」というジョークを交えながら、あくまでも画像処理の重要性を主張した。

そこでスライドに映し出されたのが、携帯電話を見ながら歩く女性の写真だ。人間が運転をしていてその女性を見かけたら、もしかしたら不注意で道に飛び出してくるかもしれないと注視しながら運転するだろう。それは画像を通して世界を解釈した場合のみ得られる情報で、LiDARからは点の集合があるだけで、そのような示唆を得ることは不可能だ。今後テスラが目指すAIは、そのような脇見をしながら歩く歩行者に注意するといった細かさを持ったAIだと発表した。自動運転の次の一手のカギはAIと人間との共存にあると思わされた。

ながらスマホをしながら歩道を歩いている人を見かけたら、人間の運転者なら「誤って車道に飛び出してくるかもしれない」などと想像することができる。だが現状のAIでは、そうした認識をするのは不可能だ(注:テスラがプレゼンテーションで使用した写真ではない)
ながらスマホをしながら歩道を歩いている人を見かけたら、人間の運転者なら「誤って車道に飛び出してくるかもしれない」などと想像することができる。だが現状のAIでは、そうした認識をするのは不可能だ(注:テスラがプレゼンテーションで使用した写真ではない)

 

人間との駆け引きは、まだ苦手

運転するという行為は機械でA地点からB地点に行くだけなのに、人間が自動車を操縦するため、かなり人間的・社会的な側面がある。例えば、割り込みをさせてくれたお礼にハザードランプをちょっと点灯させるといった行為は日本の運転マナー特有の事象だが、その行為に人間が集団となって運転しているという社会性が垣間見える。

後ろから猛スピードで暴走車両が迫ってきたら避けるといった、危機回避も必要だ。また混雑した車線へ車線変更や合流するときは、合流する車線との細やかな駆け引きが行われる。無理な割り込みは後ろの車両をイラつかせることになる。そうした細やかな人間との共存が次は必要になってくる。

私もテスラの自動運転を何度か体験しているが、そんな人間との駆け引きはまだ未熟な印象を受ける。特に混雑した車線への合流はほぼ失敗に終わるし、向こうから合流してくる場合はとにかく減速するというかなり気弱なAIが搭載されている。今後データが増えるに連れてもう少し自信を持って運転してくれるAIが実現されることを期待する。

長期的に全自動化が進むならば、そんな人間とのやりとりも不要になり、機械同士での通信で全てが調整され最適化されるだろう。

ロボタクシー構想はイーロン・マスク氏本人が発表していたが、「ロボタクシーに乗った人間がそのまま運転席に座って走り去って行ったらどうする」、「交通規制に違反して警官に止められたらどうする」、「事故の責任は誰にあるのか」、「価格設定はどうする」などの質問に明確な答えがなかったため、まだ構想段階のサービスだと推測する。

BACK TO MEDIA
PAGE TOP