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クレームを勝機に活かせるか -「家具」EC業界についての考察
2020/02/17 ブログ 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

クレームを勝機に活かせるか -「家具」EC業界についての考察

「買った家具が部屋に合わないから返品したい」

こんな顧客の課題をオンラインで解決し全米で傑出した売上を出し続けている企業について、本記事では事例紹介したい。

 

Wayfairは2002年に創設、インハウスのECサイト上で家具や付随するインテリアを販売する。売上はオンラインショッピングの領域ではアマゾンに追随するとも言える6.779billion USD(2018年)で、同社2012年上場時売上の11倍以上である。

この企業のウェブでは、購入したい商品と部屋のイメージを組み合わせてシミュレーションできる。「3D Room Planner」を使うと、オンライン上、気になる点を試すことができる。

家具を購入するのは多くの場合、転居に伴う新しい部屋への設置や、既存のものからの買い替えがある。いずれの場合にも配置や、他の家具の色とのバランス感や、確認したいポイントは多い。

wayfair3d

自分の部屋に似ている間取り・色合い、ベッドの大きさを設定した。売れ行き商品の、模様付きクッションを買うか、赤いクッションを買うか試している。赤いクッションは、自分が想定していたよりも小さいことがわかったので、大き目のクッションを探そうと考えた。

写真のように、インハウスで優秀なエンジニアを採用し、またAI技術者も研究に取り組んでおり、研究成果についての技術ブログを読む限りもはやテック企業である。

日本でも実店舗を持たずに顧客から愛されるEC家具の企業がある。

FLYMeにはハイブランドの商品を並べているだけでなく、センスの良い写真が並ぶ。

VRでの家具同士の組み合わせを見ることはできないが、感度の高いカリモクのテーブルやDIESELの雑貨などを纏めてチェックしたり、複数の写真からイメージすることはできる。

IKEA等と比較すればハイエンドを対象にしている印象だ。

 

一方で実店舗を展開するIKEAでもECサイトから小物の購入が可能になり、実店舗販売との組み合わせで顧客が購入できるタイミングを漏れなく網羅するようになった。家具業界のEC化はアメリカにとどまらず、国内でも各社がこぞってEC強化しつつある印象だ。

昨年度の経済産業省の調査によると、日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、18.0兆円である。これに対して、

平成30年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は344.2兆円であり、EC化は、2C(消費者向け)ビジネスにとどまらない。

 

ネジやボルトなど生産財をネット通販で販売し、徹底的な業務効率化に取り組んだミスミは売り上げが2001年から2018年で6倍となっている。業界を変えたとも称されるミスミは、いわば部品販売の適正価格を把握できる商社機能をECによって獲得したと言っても過言ではないだろう。先んじてオンラインでの商品販売を手掛けていたモノタロウもまたECでの販売で利益を出し続けている。

 

 

顧客体験におけるペインポイントはプロダクトによって異なる。

オンライン家具を購入する時、一人の顧客として私はとても悩む。「買いたいけれど、本当に部屋に合うのかよくわからない。実際に部屋に置いたら印象と違ってしまわないか。」「サイズや奥行き、色の愛称は、画像を見るだけではわからない」。このとき、スキマ時間を使って事前に色合いなどを確認できるVRは大変便利だ。近年では提案型ECのような、コーディネーションの提案までオンラインで行うビジネスもあるようだが、これは「何を買うか決めきれない」顧客の悩み事をダイレクトに解決するかもしれない。

またミスミやモノタロウでの購入体験でいえば、即日発注で納期が短いこと、小ロットでの発注が可能なのでまとめ買いの必要がなくて保管場所に困らない、多様な部品の発注先を1本かできる、といったEC活用による利点が見られる。

いずれも従来は返品やクレームに繋がりやすいポイントでもあった。しかしクレームは、顧客の声でもある。ECやAIの活用は、顧客のペインポイントを取り除くだけでなく抜本的な収益構造を生み出すこともできる。もしかすると業界や企業に特化したユニークな問題にこそ、勝機のヒントがあるのかもしれない。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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