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HireVueと情報活用の透明化の必要性
2020/02/21 ブログ 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

アメリカでは、ゴールドマンサックス、デロイト、ヒルトン、ユニリーバといった100社を超える企業が、採用の初期段階でHireVue社のAIをもとにした採用システムを取り入れている。この採用システムは、ビデオ面接を通して候補者の顔の表情、体の動き、単語の選択、話し方、衣服の詳細といった非言語的要素をデータポイントとして収集し、これを独自に開発した機械学習アルゴリズムで処理することで「雇用適正スコア」算出する。HireVueは様々な企業の雇用慣行の改善に努めてきた有数の産業組織心理学者と共同でこのシステムを開発した。クライアント企業はHireVueの採用システムを利用することで、自社のビジネス目標を達成する上で最適な人材を特定することができるとされている。このビデオ面接が幅広く普及していることから、一部の大学ではアルゴリズムに良い印象を与えるための身だしなみや話し方をを教えていたりするのだという。

多くの採用希望者を抱える企業にとって、この採用システムは理想的な選抜手段といっていい。HireVueによると、ユニリーバは4〜6ヶ月の間で250,000人の応募者の中から800人を選ぶ必要がある中、HireVueを利用することで応募者を最大80%フィルター処理することができたという。これは、たった一年で100万ポンドのコスト削減と採用時間の90%の削減を意味するだけでなく、採用者のダイバーシティを16%増やした。また、HireVueを利用した応募者の80%が肯定的に評価し、採用プロセスが改善されたことで応募者の時間が50,000時間以上短縮されたという。このような効率性の観点から日本の大手企業でもHireVueの採用システムの普及が進んでいる。

一方で、候補者を不当に不利にしてしまう可能性や「雇用適正スコア」という評価基準において、偏りが隠されてしまう可能性を懸念する意見も多く存在する。ビデオ面接を受ける側からすれば、このようなAIをもとにした採用システムが入社の登竜門となり、評価方法が大きく変化するのだから、他人事ではいられない。HireVueの普及を受けて、イリノイ州では、今年一月から人工知能ビデオインタビュー法(AIVIA)が施行される。具体的には、採用候補者に対してビデオ面接がAIを利用した採用システムによって分析されることを明確に通知することや、企業側が特定の情報開示およびプライバシーのガイドラインに従うことを要求している。

私は現在大学3年生で経団連の就活ルールが廃止されてから初となる2021年卒予定の知り合いが周りに多くいるが、例年の就職活動スケジュールとあまり変わらない印象を受けた。しかしながら、「3月から大学3年生に対する説明会などの広報活動が解禁され、6月以降に大学4年生の選考を開始し、10月に内定をもらう」という同年代が一斉に同じ手順を踏んで新卒採用される暗黙の了解が撤廃されたことのもたらす影響は今後徐々に現れてくるのではないかと思う。学生一人一人が自分に合った就職活動を行い、採用側も学生側に対して柔軟に対応する通年採用を取り入れることができるようになったことは、就活ルール廃止の利点だと思う。一方で、ルールがなくなったことに危機感を感じ、就職活動を前倒しにしたり、より一層、大学を入社への通過地点のように捉える風潮が強くなってしまうことは非常に危うい。賛否両論あるなか既存の就職活動の方法が変わっていくと同時に、採用方法もHireVueのように機械学習を利用することで効率化されてゆく。この変化を受動的に快く受け入れるのではなく、HireVueのような採用システムが自分のキャリアに影響してくる可能性があることを頭の片隅に置いておくことは非常に重要だと思う。リクナビの個人情報漏洩問題が明るみになり、同意を取らずに情報が利用されることに対する危険性を理解した今だからこそ、自分の個人情報がどのように扱われ、それは信用できる使われ方なのか、どのような結果を生む可能性があるのか、利用者が理解していなければ、単に情報を利用されてしまう側になってしまう。企業サイドからしても、利用者に対する情報活用の透明化は、長期的にデータを蓄積し、利用者へ還元する上で必要不可欠だ。企業と利用者の透明な関係を構築する意識がなお一層必要とされているように思う。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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