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日経クロストレンド 石角友愛×松尾豊東大教授対談連載 第1回 「AIポテンシャルが高い会社になる3条件」

2020/03/05 メディア掲載実績, 日経クロストレンド 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

松尾豊・石角友愛対談 AIポテンシャルが高い会社になる3条件

米シリコンバレーを拠点に企業のAI(人工知能)活用・導入を支援するパロアルトインサイトの石角友愛CEO(最高経営責任者)と、ディープラーニング(深層学習)分野で日本をリードする東京大学大学院工学系研究科・松尾豊教授との新対談企画。第1回は、「AIポテンシャルが高い会社」に共通する持つ3つの条件について語る。

パロアルトインサイトの石角友愛CEO(最高経営責任者、左)と東京大学大学院工学系研究科・松尾豊教授(右)との新対談企画。第1回のテーマは「AIポテンシャル」。

石角 まず初めにAIポテンシャルという単語ですが、あまり使われてはいませんが、私はすごく面白いと思い、今日はこの切り口でお話をしたいと思います。

例えば、現状はとても複雑なAIやいろんなモデルを使って何かしら収益を出す、人員削減などに落とし込めていなくても、ポテンシャルとしてその基盤が社内に整っている会社って、すごく伸びしろがあると思うんですね。

メディアを通してさまざまなAIプロジェクトや取り組みをGAFAやその他大手IT企業のように宣伝していない会社でも、実は水面下で着々と準備している。データパイプラインなどを自分たちで構築して社内でAIファクトリーを作っている会社っていっぱいあると思うんです。そういう会社は日本にも多いのかということと、AIポテンシャルの条件、それをどう定義づけるかについて、先生にご意見を伺いたいと思います。

松尾 大企業の中でもAIの取り組みを始めて、社内の知識レベルがだんだん上がってきているなと感じています。そういうところはいろんな取り組みをやっているし、社内にAIチームをつくったり、割と上の人もちゃんと勉強していたり、全体的に力が上がってきている会社は何社かあると思います。

石角 それはどのような業界が多いですか。

松尾 色々ですね。最近は金融系の企業が多いかな。

石角 矢野経済研究所のデータでも、日本の金融業界でのAI導入率がすでに12%です。他のサービス業や小売業では導入率が2%や3%なのに、金融はすごく導入が進んでいるんですよね。金融ってデータが豊富にあるし、フィードバックがしやすい、検証しやすいというのが利点ですね。あと、データサイエンティストやエンジニアが多い業界なので、すごく親和性が高いですよね。

松尾 保険業界も多いですね。商社も最近、わりと一生懸命やっていると思います。

 

商社のAIポテンシャルが高い理由

石角 商社は面白いですね。歴史をさかのぼるとビジネススキームを作ってたくさんの事業を作り上げて利益を得てきたから、AIビジネスの波に、乗り遅れないようにどうするかという、良い意味の焦りやシフトが感じられますね。

石角友愛氏
パロアルトインサイト CEO/AIビジネスデザイナー
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAIプロジェクトをリードし、HRテックとリテールAIベンチャーを経て、17年にPalo Alto Insightを起業。シリコンバレー発で日本企業に対してAI活用の提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入など一貫した支援を提供する。AIビジネス、IT企業やイノベーション、AI時代の新しい働き方や女性活用などで言論活動を積極的に行う。著書に『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数

 

松尾 そういう意味で商社はAIに関して、なんで何にもやらないんだろうと思っていたんですけど、最近はかなり本気でやろうとしている。彼らの面白いのは、やろうとするといきなり本気モードでやるところですね。

石角 AIエンジニアなどはあまりいないですよね、商社には。けれども壮大なAIのプラットフォームを作っていて、それを自分の関連会社に売れないかなど、そういうスキームを考えている方がすごく商社に多いと思うのです。先生は今後、商社の位置づけはAIビジネスを構築する上でどう変わると思いますか。

AIポテンシャルの条件① 人、技術、データのアービトラージがある

松尾 AIに関しては前から思っているのですが、人とか技術とかのアービトラージの余地が非常に大きいというか、偏っているので、ちゃんとつなげてあげると価値が出るところってすごくたくさんある。そこを本当は商社がつながないといけないんだけど、これまでやってこなかったところを最近やり始めようとしていますね。おっしゃる通り商社は、いろんな事業を持っているので、いろんなやり方がある。

どちらかというと金融的な知識を使うなど、そういう手法でいろいろな事業をくっつけたりしてきましたが、これからはIT、AIの技術というのも、リテラシーの1つとして、とても重要になってくるのではと思っています。

1960年代から70年代に大きく商社が変化したように、IT、AIの技術をちゃんと使いこなすように変わっていかないといけない。逆に言えば、変わってくるとすごく面白いんじゃないかなと思います。

石角 すごく面白い指摘ですね。アービトラージの余地を一番持っているのは商社なので、あとはそれを可視化して、どう収益にするか。問題はデータのアービトラージが商社にあるかですよね。

会社Aと会社Bとをつなげてスキームを作れたとしても、データはAとBが持っていて、商社は持っていないというケースを聞いたことがあります。それに対して提案はできても、データがどこまで統一された形で社内管理できているか、AIファクトリー化ができているか。それがポテンシャルとして大事だと思うんです。

松尾 豊氏
東京大学大学院工学系研究科教授
東京大学工学部電子情報工学科卒業。2002年、同大学院博士課程修了。博士(工学)。同年より、産業技術総合研究所研究員。05年8月よりスタンフォード大学客員研究員を経て、07年より、東京大学大学院工学系研究科総合研究機構/知の構造化センター/技術経営戦略学専攻准教授。14年より、東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 グローバル消費インテリジェンス寄付講座 共同代表・特任准教授。専門分野は、人工知能、ウェブマイニング、ビッグデータ分析。人工知能学会からは論文賞(02年)、創立20周年記念事業賞(06年)、現場イノベーション賞(11年)、功労賞(13年)の各賞を受賞。人工知能学会 学生編集委員、編集委員を経て、10年から副編集委員長、12年から編集委員長・理事。14年より倫理委員長

サイロな状態から突然次の日にAIファクトリーにはなれない。少しずつ曲線を描いていって、まずは部署1と部署2のデータを統合しよう。その次にデータハブを作ろう、という風にどんどん進化していくと思うのですが、そこがやっぱり期待したいところですよね。

松尾 試行錯誤して乗り越えている例もあって、商社って本社機能が強いので本気を出すといろいろと使えるものがある。うまく設計すると事業をやっている人が同じ仕組みを入れるようになっていて、さすがだなと思います。

AIポテンシャルの条件② 本社機能が強い

石角 本社機能が強いのも、AIポテンシャルが高い会社の条件の1つかもしれないですね。確かにGAFAは本社中心主義が強いからトップが独断で決めているし、それは意思決定の速さにもつながるので大事なポイントですね。

松尾 データの話って、どこの部署が得するとかじゃなく、グループ全体の売り上げや利益に対してのポジティブな影響として返ってくる。そうすると、どこかの部門がAI、ITのフィーを持つ構造があまり良くなくて、そこはインフラ投資と考えて、いろんな事業部やグループ会社で使って、それが利益として返ってくる構造なのかなと思います。やっぱり本社機能が強いというのは大事ですね。

石角 プロジェクトをやっていると、どこの部署が予算を出すかといった議論になります。AI開発プロジェクトをやりたいと思っている人がいる部署が必ずしも予算を多く出せるとも限らず、特に大企業ならではの課題のようなものもあるのかなと感じています。

先生がおっしゃったように、「部署単体で売り上げがこれくらいになるから、この部署が予算を持て」というのではなく、「会社全体の売り上げがこう変わる」という話に持っていけたら、それこそ全社で動ける話になる。そういったマインドセットの変革はすごく大事ですよね。

AIポテンシャルの条件③ 経営陣がAI導入の価値を理解

松尾 本社の経営陣が、ある程度AI導入の価値などが分かって設計できるくらいになってないといけないと思います。事例が最近たくさん出てきているので、そこから入るのが分かりやすい。日本の事例とグローバルな事例って結構違うので、そうしたところも調べるといいと思います。

あと、全般には技術のことを多少勉強するとわかりやすいし、ごちゃごちゃ言うより、やってみた方が分かるっていうことが多いですよね。プログラムを書いてみると腹に落ちるというか、ちょっとやってみるといいかなと思います。

石角 本当にその通りですね。技術に懐疑的になるのではなく、とりあえずスモールスタートでもやってみる姿勢が大事ですね。その中でデータも集められますし。

企業の方と話していると、データを集めていないケースが意外に多くてびっくりします。パロアルトインサイトは中小企業の方とお仕事をすることも多いので、目の前でできることから始めることの重要性を実感しています。会社の規模に関係なくトップのビジョンが(プロジェクトの行方を)左右すると思います。

次回は松尾先生が注目しているAIポテンシャルが高い日本のスタートアップ2社と、私が注目する米国の3社を選び、議論したいと思います。

石角松尾 どうもありがとうございました!

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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