パロアルトインサイト/ PALO ALTO INSIGHT, LLC.

メディア掲載実績MEDIA ACHIEVEMENTS

パロアルトインサイト/PALO ALTO INSIGHT, LLC. > メディア掲載実績 > 毎日新聞・経済プレミア 「石角友愛のシリコンバレー通信」
新CEOジャシー氏の経歴から読み解くアマゾンの将来

毎日新聞・経済プレミア 「石角友愛のシリコンバレー通信」
新CEOジャシー氏の経歴から読み解くアマゾンの将来

2021/02/15 メディア掲載実績 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

新CEOジャシー氏の経歴から読み解くアマゾンの将来

アマゾン最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏が2月2日(米国時間)、6月末で現職を退任することを発表した。2020年、米議会に呼び出され、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)違反の可能性に関して何回も質問を浴びせられたことは記憶に新しい。バイデン政権になり、今後は巨大IT企業に対する規制がより強化され、反トラスト法に関する訴訟も増えると予想される中、この決断は理解できると考える人も多い。

後任ジャシー氏の興味深い職歴

注目すべきは、後任として白羽の矢が立ったアンディ・ジャシー氏である。彼は03年にベゾス氏とゼロからクラウドサービス「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」を立ち上げ、16年にAWSのCEOになった。

そして今や、AWSをアマゾン全体の利益の52%を稼ぎ出すまでに成長させた。非常に名の知れた経営者の一人である彼の職歴は、とても興味深い。

ジャシー氏はハーバード大学を卒業した後にMBIという収集品を扱う会社で数年働き、のちにハーバードビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得。1997年にアマゾンに入社した。

当初はマーケティングマネジャーとして入社したが、その後、03年にベゾス氏とAWSの構想を練り始め、06年に共にAWSをスタートさせてからは、その運営を担ってきた。

原点は社内システムの構築

AWSの前身となる社内システムの構築は2000年代に始まった。

当時、ベゾス氏は米小売り大手ターゲットや英小売り大手マークス&スペンサーのような第三者の小売企業が、アマゾンのシステム上にオンラインショッピングサイトを構築するのを支援する「マーチャント・コム」というサービスを始めたいと考えていた。

しかし、ベゾス氏のチーフ・オブ・スタッフ(参謀長)だったジャシー氏は、計画を実現するために必要な社内基盤がないことを問題視した。具体的には、社内でのアプリ開発工程に無駄が多いことなどだ。社内で縦割りになった部署が独自にデータベースを作るのに何カ月もかかり、各プロジェクトのためにインフラ構築をしていたため、非効率的だった。

そこでジャシー氏は、誰もがアクセスできる共通のインフラを作るプロジェクトに着手したのである。

社内の問題解決が一大事業に成長

プロジェクトの過程で、各チームはデータベースやストレージ(データを保管しておくための記憶装置)などのインフラサービスを一元化して運用するノウハウを培った。また、セキュリティーの面でも、安全で費用対効果の高いデータセンターを拡張性が高い形で設計、運用する手法を培っていった。

アマゾンの電子商取引サービスのように利益率の低いビジネスでは、システム設計を可能な限り無駄なく効率的にするやり方が求められたためだ。

そして、社内の問題を解決するために始まったこのプロジェクトこそが、企業にクラウドのインフラサービスを提供するという現在のAWSのビジネスモデルのアイデアの礎となったのである。

アマゾンの今後の軸はAWSか

その後のAWSの成功は皆さんがご存じの通りだが、現在、クラウドサービス事業での世界シェアは45%であり、マイクロソフトやグーグルなどの競合他社を抜いてトップを誇っている。

私が経営する人工知能(AI)開発会社であるパロアルトインサイトでも、AWSをあらゆる面で活用しており、ソフトウエアやAIの開発において必要不可欠な存在になっている。

ジャシー氏のような技術畑出身ではない人が巨大IT企業の経営陣になることは珍しくはない。フェイスブック最高執行責任者(COO)のシェリル・サンドバーグ氏は、グーグルで広告ビジネスのオペレーションと営業基盤を築いた人物だ。アップルCEOのティム・クック氏はサプライチェーン(製品が消費者に届くまでの部品調達や生産、販売などのプロセス)のプロである。

フェイスブックの強みは広告であり、アップルの強みはグローバルサプライチェーンを知り尽くしていることであることを考えると、アマゾンの今後のフォーカスもAWSに置かれるのかもしれない。ジャシー氏が率いる今後のアマゾンに更なる期待がかかる。

BACK TO MEDIA
PAGE TOP