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物流の「ラストマイル」問題をAIで解決できるか?-ITmedia ビジネスオンライン寄稿記事 掲載/石角友愛とめぐる、米国リテール最前線:物流業を苦しめる「ラストワンマイル問題」、米国ではどう解決? 4つの先進企業

2021/04/26 メディア掲載実績 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

物流業を苦しめる「ラストワンマイル問題」、米国ではどう解決? 4つの先進企業

画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

ラストワンマイル問題とは、配送の最終拠点から顧客の家までの区間(ラストワンマイル)に生じるさまざまな問題を指すものです。ECサイトの拡大によって宅配サービスの取扱量が増大しているにもかかわらず、ラストワンマイルの配送を行う人手が圧倒的に足りず対応しきれない、また競争力強化のために各社が行う送料無料や再配送というサービスに配送料が釣り合っていないなどが代表的な問題です。

このラストワンマイル問題を解決する、米国の先進企業をご紹介します。

(1)ギグエコノミーサービス

2011年に設立されたポストメイツ(Postmates)は、サンフランシスコに本社を置き、米国の400都市で事業を展開しているラストワンマイルデリバリー業者です。現在、25万以上の加盟店がリアルタイムで配送を行っています。

顧客は同社のアプリを通じて都市内のあらゆる店舗やレストランから商品を購入し、地元の宅配業者から1時間以内という短時間でその商品の配送を受けられます。このサービスは24時間利用可能で、利用料金は都度払いか、月額7.99ドル(約860円、1年契約の場合)というから驚きです。

なぜこのようなオンデマンドな即時配達が可能なのかというと、ポストメイツの運営元が米国で圧倒的なシェア及び浸透率を誇る配車サービスのウーバー(Uber)だからです。

ポストメイツではウーバーと同様にGPSを利用した需要と供給のマッチングを行っています。配達員はスマートフォンで近くの顧客からの注文通知を受け取り、その顧客が希望する商品を購入して届けるため、無駄な移動時間がかかりません。

また、同社は20年、加盟店がアプリ上に設けたデジタルストアから顧客へのローカル配送を提供できる新機能を導入しました。この機能は、地元の小売業者のオンラインでの売り上げ増加を目的としています。

同社によると、このソリューションはオープンAPIを介して広くピックアップやデリバリーを提供することで、地元の小売店などの企業がイーベイ(eBay)やアマゾンなどの大企業に対抗する力を与えるとのことです。

(2)ドローン宅配

時間、コスト、エネルギーの面で優れている、ドローン宅配(提供:ゲッティイメージズ)

ドローンを使ったラストワンマイルソリューションも多く出てきています。中でも、11年に設立されたマッターネット(Matternet)は、カリフォルニア州に拠点を置き、ドローン技術を用いたラストワンマイル配達を行う企業として注目されています。

マッターネットがエンド・ツー・エンドで展開するサービスは、以下の3つの要素から成り立っています。

Matternet Cloud Platform(マッターネット・クラウド・プラットフォーム)
顧客からの依頼を受けルート決定・モニタリングを行い、全てのオペレーションを指揮・管理するための独自のソフトウェアプラットフォーム

Matternet Station(マッターネット・ステーション)
24時間いつでも荷物の送受信が可能な使いやすいインタフェース

M2 Drone(M2ドローン)
最大で2キロ・4リットルまでの荷物を半径20キロ以内に輸送できるドローン

このドローン技術は、配送業社に対して「現在の輸送手段と比較して、時間、コスト、エネルギーのいずれも大幅に削減する」「空を介したオンデマンドなドローン・ロジスティクス・ネットワークの構築及び運用を可能にする」といったソリューションを提供しており、現在はヘルスケア、eコマース、物流などの分野の企業に採用されています。

その中でも特に期待が寄せられているのが、ヘルスケアの分野です。なぜなら、ドローンを利用することで、配送のためのインフラ(道路や鉄道等)が十分に整っていないような地域でも、医薬品を迅速に届けられるからです。

(3)トラック共同配車

14年に設立されたローディ(Roadie)は、ジョージア州アトランタを拠点とする企業で、配達を希望する顧客と、その顧客がいる方面に向かっているドライバーを結び付ける、即時配達プラットフォームを展開しています。

このサービスは全米で展開されており、これまで、同社のプラットフォームを利用して米国内の2万以上の郵便番号の地域へ配達が行われています。

ドライバーは、ローディのプラットフォームを利用することで自分の旅行や移動のついでに配達を行って収入を得られます。都市間だけではなく、国を跨ぐ移動でも利用できます。

ローディの配送ソリューションは、以下の3つの規模で展開されています。

企業向けソリューション
自社の商品を即時配送できる地域を、米国の約90%もの家庭に拡張できる。同社は現在、自動車部品やタイヤ、食料品、ホームセンター、航空会社の手荷物、オムニチャネル・リテールなどの業界にこのサービスを提供している

小規模ビジネス向けソリューション
半径約160キロ以内の地域へ当日配送が行える。ホームデコレーション、自動車、美術品、Eコマース、重機、職人手づくりの食品などを専門とするビジネスが対象

個人向けソリューション
緊急性やサイズに関わらず、ある場所から別の場所へ商品を輸送したい個人が対象

(4)AI搭載型自動運転トラック

私が一番期待しているのが、AFN(Autonomous Freight Network、自律型貨物輸送ネットワーク)を開発し自動運転のトラックを物流業界で展開しているトゥーシンプル(TuSimple、図森未来)です。中国のスタートアップ企業で、21年4月に米ナスダック市場に上場し、注目を集めています。

AFNというのは、商業配送用のトラックが、デジタルマップ上のルートに沿って安全かつ確実に拠点間を自律走行することをサポートする技術です。既存の物流ネットワークや輸送管理システムを取り入れることで、米国内で幅広く展開されています。

以下はトゥーシンプルの、米国におけるAFNの展開図です。黄色い点(アリゾナ、テキサスの都市部)がフェーズ1、20~21年にかけて展開予定の地域です。白い拠点(アトランタやフロリダの南部)が22~23年に展開予定の地域、そして緑色の点(サンフランシスコ、シアトル、ボストン、ニューヨークなどの沿岸部)が23~24年までに目指す地域となっています。

米国におけるAFNの展開図/出典:「TuSimple launches first autonomous freight network」、Fleet Owner

このように、広範囲にわたる長距離自律走行を可能にするAFNですが、それを支える高度なシステムは、AIやその他の先端技術によって成り立っています。

知覚技術の面では、トラックに搭載されたHDカメラ、LiDAR、レーダーなどにより、車両全体を360度検知できます。そのため、どんな走行状況でも車両を安全にナビゲートします。AIによる大量のデータのシミュレーションにより、夜間であってもこういった位置関係が把握できます。

また、それぞれのカメラは撮影範囲としてHDが1000メートル、LiDARが200メートル、レーダーが300メートルをカバーしているため、高速走行時でも30秒先まで見通すことが可能で、これによりシステムは瞬時に危険を回避できるといいます。

加えて、同システムは優れた情報処理能力を持ち、演算であれば1秒間に600兆回もの量を行えるそうです。これにより、人間よりはるかに早く状況を把握し、問題の検知と対処を行えます。

トゥーシンプルのシステムでは、人間より早く、状況を把握できるという(提供:ゲッティイメージズ)

また、運転の基礎的な部分である「トラックが車線の中央を走行するのを維持する」「スロットルをコントロールする」「燃料効率を考えた走行を行う」といった操作を人間のドライバーよりも正確かつ効果的に実行します。

同社はこういった技術を展開することで、ドライバーによる移動中のスマホ操作や疲労による居眠りで起こる事故など、長距離輸送トラックに付いて回る問題を克服し、輸送における安全性と効率を向上させることが目的とのことです。

以上、4つの異なるラストワンマイル問題解決ソリューションを挙げましたが、ドローンや自動運転トラックなど、実現に向けては法整備や規制の見直しなどの努力が必要な事例が多いことが分かります。交通・物流業界は規制が強い業界の一つです。ギグエコノミーを例にすると、ポストメイツドライバーが1時間以内に荷物を運んでくれるようにするためには、それを可能にする規制緩和が必要です。

自動運転に関しては、早い段階から試験段階のソリューションが試運転できる州としてアリゾナ州などに多くの自動運転スタートアップや企業が集まっています。今後も増え続けるEコマースの需要と成長を支えるのは物流の力でもあります。

“物流のアキレス腱”であったラストワンマイル問題を解決できれば、環境保護の観点からも、コストの観点からも良い結果をもたらすと期待できます。日本でも包括的な議論が必要になるでしょう。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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