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デジタル庁が狙う行政のDXとは?平井卓也大臣対談前編-ダイバージェンス時代のDX戦略 第1回

2021/09/03 メディア掲載実績, 日経クロストレンド 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

デジタル庁が狙う行政のDXとは?平井卓也大臣対談前編-ダイバージェンス時代のDX戦略 第1回

デジタル庁発足!平井大臣を直撃 DXで行政サービスは変わるか

ポストコロナを迎える今、各業界をリードするイノベーターたちはDX(デジタルトランスフォーメーション)をどう考えているのか。人工知能(AI)開発と実装を現場で見ているAIビジネスデザイナーの石角友愛氏がトップ経営者や専門家と、具体的かつグローバルな議論を展開する。その第1弾として、日本におけるDXの進め方や乗り越えなければならない課題などについて、9月1日に発足したデジタル庁の平井卓也大臣と議論した。

石角友愛氏(以下、石角) デジタル庁が9月に発足するということで、今も(注1)デジタル庁のホームページで民間人材採用の第3弾として、幹部クラスの募集をされていましたが、採用の状況はいかがですか? 第1弾の民間人材採用では40倍ほどの倍率だったと伺っています。

(注1)対談日は21年6月24日

平井卓也大臣(以下、平井大臣) 今回は、デジタル社会共通機能グループのグループ長など責任あるポジションの採用で、第1弾より倍率としては下がっていますが、著名な方に多く手を挙げていただいております。そういう意味では、とても心強いです。おそらく、このまま日本が国家としてDXに取り組まなければ大変だと懸念されて手を挙げていただいたのでしょうね。自分たちのこれまでのスキルや経験などを生かしたいという方々に本当に多く応募いただきました。それにはデジタル庁への期待を感じます。

石角 そうですね。大臣が以前講演されたビデオを拝見したのですが、その中で大臣が「行政サービスが使いにくいとほとんどの人が当たり前に思っていること自体がまず間違っている。そこは当たり前に思わないで、UI/UXの改善がそこに必要だと多くの人がいい意味での怒りを感じることがまず大事だ」とおっしゃっていたことが印象的でした。

平井大臣 今までの「行政サービスは使いにくいのが当たり前」だと思っていたことを疑うところから始めないといけません。新しい取り組みをするときは現状否定から入らないと、今のままでいいと思ってしまったら、何の改善策も打ち出せないですよね。

石角 どこを改善すべきかどうかというところで、大臣の場合は、UX/UIにかなり重きを置いていらっしゃるのでしょうか?

平井大臣 そこが一番の評価軸だと思います。結局、システムが動いているというよりも、使った人に本当に便利で良くなったと感じてもらえることが重要です。既に宣言をしていますが、マイナンバーカードの電子証明書機能をスマートフォンに搭載できるように法整備を行うとともに、最終的にはスマートフォンで全ての行政手続きが60秒以内に完結することを目指しています。

石角 それが実現できたら、すごいことですよね。

平井大臣 そこを目標に何をしたらいいのかを常に逆算して考えています。仕事のやり方を見直すBPR(Business Process Re-engineering)だけじゃなくて、アーキテクチャー、つまり基本的なシステム構造まで作り直さなければならない状況です。

官僚の考え方や価値観を変える

石角 デジタル庁発足に向けて、今一番大変な課題はなんでしょうか?

平井大臣 課題は、官僚の皆さんの考え方や価値観を変えていくこと。まずデジタル庁というのは、これまでの役所の在り方とは全く違って、官僚の皆さんと今回民間から採用する皆さんとで一緒に組織を運営していきます。今までは民間の方をアドバイザー的な立場で登用してきたことはありましたが、今回はデジタル化の意思決定プロセスにも積極的に参入していただきます。これは初めての試みです。ただ、そういった仕事のやり方は、今いる官僚の皆さんは経験がないと思います。ですから、組織として、まずマインドセットを変えていかなければなりません。そこが一番の課題です。

また、今回採用する方々は、既に民間企業で働いている方々も少なくありません。兼業だったり、非常勤だったりします。テレワークも積極的に使って働いていただきます。とはいえ、民間の人であっても、非常勤で入ったとしても、公務員という立場になります。例えば利益相反のような問題など、仕事に対するコンプライアンスは他よりも厳しくしなければなりません。ということで、事前にコンプライアンスの問題を、例えばこういうケースはダメ、こういうケースはOKという細かい基準を作る必要があります。実はこれが一番大変なことだと思います。

石角 それは非常に大事なポイントですね。例えば米国では、バイデン政権のテクノロジーアドバイザリーチームにFacebook関連企業やUberのエグゼクティブがたくさん入っています。さらに米国防総省のクラウドコンピューティングシステム構築のプロジェクト「JEDI(Joint Enterprise Defense Infrastructure)」などを立ち上げた際に、国防省のデータをどこのベンダーが扱うかということも、アマゾン、マイクロソフト、グーグルなどの間で争っています。そういった米国の事例も踏まえると、やはりIT企業など民間の知識というのは不可欠だと思います。それこそ政府のイニシアチブにかかっていますよね。

平井大臣 その通りです。

石角 そこで“我田引水”などと言われないように、線引きと個々のユースケースを全て細かく定義づけていくことで、おそらく官僚の皆さんのマインドセット、意識醸成にもつながると思います。

平井大臣 もちろんです。民間から来た方々が思い切って仕事ができないというのも困ります。さらにデジタル庁は小規模な組織ですので、官僚的なヒエラルキ ーを持ち込んでしまったら身動きが取れなくなります。意思決定を早くするためにフラットな組織にし、プロジェクトベースでどのように運営するかにかかっているのです。そうしたことから、我々は「Government as a Startup」というスローガンを掲げています。デジタル庁は役所ではありますが、これからどんどん形も変わっていくはず。こうした組織文化は、長い霞が関の歴史の中で初めてのことです。我々としては、フラットな組織にしてプロジェクトベースで運営していくことが一番重要だと感じます。

石角 プロジェクトベースで運営する際には、評価指数や基準を示すKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)やOKR(Objectives and Key Results)については、ゼロから作っていかなければならいということでしょうか?

平井大臣 そうです。最終的にはゴールがあって、ビジョンのようなもの、KPIも作っていきます。例えば、60秒以内に全ての行政手続きができるというのを、 KPIとして定めるとしたら、それからブレイクダウンして、設定していこうかなと考えています。そういう意味では大変チャレンジングな取り組みです。

※後編に続きます。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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