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敵対的生成ネットワーク(GAN)の真の可能性とは
2022/02/09 ブログ, The Insight 
by kohei 

敵対的生成ネットワーク(GAN)の真の可能性とは

進む開発と宮崎駿監督の激怒から見える普及への壁

今週のテーマ:商品開発、キャラクターデザイン、スタイルデザイン

パロアルトインサイトの嶋崎です。画像を使って「教師あり学習」モデルを作りたいと思っている方へご質問です。教師データとしての画像の量が足りなくて困っていませんか?本日ご紹介するGANという技術を使って新しく画像データを生成ことが可能になるかもしれません。どのようにして精度の高い画像をAIモデルは生成するのか、画像を生成することでビジネスの現場ではどのような活用方法があるか、「GAN」についてご紹介します。

シリコンバレーから現役データサイエンティストのインサイトをお届けする「The Insight」。今回は、活発に研究が進められているAIの一つ「GAN」についてご紹介します。

論文データ:
今回のディスカッション対象の論文をご紹介します。

タイトル:Generative Adversarial Nets
著者:Ian J. Goodfellow, Jean Pouget-Abadie, Mehdi Mirza, Bing Xu, David Warde-Farley, Sherjil Ozair, Aaron Courville, Yoshua Bengio
掲載サイト:arXiv
発行日:2014年6月10日
引用数:
URL:https://arxiv.org/pdf/1406.2661.pdf

この記事から得られる3つのナレッジ

・GANの仕組みと開発がもたらした衝撃の大きさ
・GANの意義と研究の現状
・ビジネスへの活用の壁とリスク

目次

敵対的生成ネットワーク(GAN)とは何か

急速に研究が進み、派生系も次々誕生

宮崎駿監督のケースから見る普及の壁

GANの課題とリスク

GANの意義と活用への期待

精度を狂わす敵対的サンプルを判別

AIビジネスデザイナーのワンポイントアドバイス


 

2018年10月、アメリカの著名オークションハウス「クリスティーズ」で、AIが描いた絵画が43万2500ドル(約4900万円)で落札されました。この絵画の制作に使われたのが機械学習アルゴリズムの「GAN」です。

(参照: https://www.cnet.com/news/ai-made-portrait-sells-at-christies-auction-for-432500/

GANは近年急速に研究開発が進んでいますが、悪用のリスクも指摘されています。ビジネスへの活用はあまり進んでいないものの、複数のニューラルネットワークを駆使するという斬新なモデルはAI界へ衝撃を与え、教師あり学習のデータ不足を解消できるという大きな可能性を秘めたこのGANについて詳しく解説します。

敵対的生成ネットワーク(GAN)とは何か

GANとはGenerative Adversarial Networksの略で、「敵対的生成ネットワーク」と呼ばれるAIのことです。Generator(生成ネットワーク)とDiscriminator(識別ネットワーク)という二つのニューラルネットワークが競い合い、実在しないデータを作りだす生成モデルの一つです。主に画像生成の分野で活用されています。

仕組みは下の図のようになっています。Generatorはノイズと呼ばれる情報から、本物を似せたデータを生成します。Discriminatorはそれを本物のデータと比べて真偽を判定します。その結果を受けてGeneratorはより精度を高めたデータを作り、Discriminatorは再びそれを判定します。これを繰り返すことで、本物に近いデータを生み出すことができるのです。

(画像引用:「Generative Adversarial Networks」https://developers.google.com/machine-learning/gan/gan_structure

GANはよく「偽札を作る人」と「偽札を見破る人」の関係に例えられます。偽札を作る人は偽札とバレないように、一方で見破る人は高精度な偽札でもきちんと判定できるように、お互いに競い合い技術を高めます。それにより本物と見分けがつかないようなお札が作り出せるのです。

GANの登場以前ももちろん、AIによる画像生成は行われていました。ですがGANはより鮮明で高画質な画像を生み出すことができます。また「教師なし学習」であるため、学習のために大量のデータを用意する必要はありません。むしろGANで生成したデータを使うことで「教師あり学習」における学習データ不足の解消につながると期待されています。

急速に研究が進み、派生系も次々誕生

GANはイアン・グッドフェロー氏らにより、2014年に初めて論文発表されました。グッドフェロー氏はGoogle の人工知能研究チームであるGoogle Brain の元研究者であり、論文発表後に機械学習の教科書とも言われる『深層学習(Deep Learning)』という書籍を執筆したことでも知られています。

論文は発表されるとすぐに注目を集めました。AI研究の第一人者でチューリング賞も受賞したユヨシュア・ベンジオ氏がNeural Information Processing Systems(NIPS)という世界的なAI国際会議で注目論文として挙げたほか、同じく同賞を受賞したFacebook副社長のヤン・ルカン氏も「機械学習で最も面白いアイディア」と評しています。

GANは急速に研究が進んでおり、生成される画像の質も飛躍的に向上しています。より高画質な画像が生成できる「DCGAN」「StyleGAN」のほか、画像間の特徴を変換する「pix2pix」「CycleGAN」、文章から画像を作る「StackGAN」など派生系も多数生み出されています。

GANは基本的には画像生成を目的としているため、現段階ではビジネスにおける活用範囲は限定されます。ただ近年は派生研究により、動画や音声、テキストの作成ができるモデルも開発されているため、今後は画像以外の分野で使われるようになると期待できます。

宮崎駿監督のケースから見る普及の壁

写真やアニメーションなどクリエイティブの世界でもAIの活用は進んでいます。GANを使って新しいキャラクターデザインをするなどが可能になるため、クリエイターの作業効率化などが期待されます。

しかし、人間の感覚や手作業による作品づくりが重んじられる風土は根強く、アートとAIが融合した協業フローがビジネスの現場でクリエイターにより積極的に使われるようになるには、真の意味でクリエイターの作業効率化を実現する技術になる必要があります。

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パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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