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トヨタが進める実験都市などスマートシティの競争戦略について議論
2022/05/20 ブログ 
by kawakamitakuro 

DXを通した産業改革の重要性を伝える音声番組「Level 5 by Palo Alto Insight」

各回の内容を文字でもお伝えすべく、文章でまとめた記事を投稿しております。ポッドキャスト内容の概要を読みたい方はこちらの記事をお読みください。詳しい内容は音声ページよりお楽しみください。

トヨタが進める実験都市などスマートシティの競争戦略について議論

今回の放送では、冒頭にリスナーの方からいただいたコメントをご紹介しました。その中にあった「おすすめコンテンツのセクションがすごく楽しみで、マトリックスや進撃の巨人を紹介していた時に、とても親近感がわきました」というコメントから派生して、石角が最近気に入っているコンテンツについて、いくつか紹介していきました。

1つめに紹介したのが「WeCrashed ~スタートアップ狂騒曲~」という作品です。この作品はApple TV+で配信されており、スタートアップ企業として有名なWeWorkにスポットした内容となっています。実際の出来事から、その中心にあるラブストーリーにインスパイアされた物語となっており、470億ドルの価値を持つ世界的ブランドから、400億円の損失を生むまでの過程を映し出しています。

2つめに紹介したのが「Super Pumped: The Battle for Uber」という作品です。これはニューヨークタイムズのジャーナリストが書いたものが原作となっています。カラニック元CEOのもと、配車アプリが大成功を収めた中、世間からの激しい反発を受けて最終的に解任されるまでの軌跡を描く物語となっています。

そして最後に紹介した作品は「The Dropout」という作品です。こちらはHuluで配信されており、あのビルゲイツ氏が「一回手に取ったら止められない」とコメントするほど、非常に高い評価を受けています。

これらを見ると、スタートアップ企業の実話をもとにした作品が注目されていることが分かります。また、2つめに紹介した「Super Pumped: The Battle for Uber」では、シリコンバレーのビッグネームが役者として作品に登場したことでも話題になりました。本人が登場することにより、さらにリアリティの増した作品となっているため、非常に見応えがあるでしょう。

今後も引き続き、「Level 5 by Palo Alto Insight」ではコメントを募集しております。

ぜひお気軽にご質問ください。

 

スマートシティからクリプトシティへ

第14回で取り上げる「今週のホットニュース」は「A New City, Built Upon Data, Takes Shape in South Korea」です。

ニュースの概要

こちらは、先日New York Timesに掲載された韓国釜山のスマートシティに関するニュースになります。本プロジェクトは、エコデルタスマートビレッジとして韓国最大の加工地域湿地帯に建設されており、現在は開発ステージの第1段階が行われているようです。また、このプロジェクトには約6兆6,000億ウォンが投じられていて、これは日本円にして約6,600億円にも及びます。

まさに官民共同で進められている本プロジェクトの最大の特徴は、「家賃がタダ」であることでしょう。抽選で当たった人が住民となり、家賃無料で滞在することができます。それと引き換えに、24時間サムスン社のスマートウォッチをつけることが必須となり、そこで得られたデータを提供することで、3年間家賃が無料になるのです。

世界各国で注目されるスマートシティですが、これまでの実証例では見たことのない要素も多く盛り込まれているため、非常に注目されています。

 

これまでのスマートシティと比較して

ヨーロッパやアメリカ、中国などでもスマートシティの動きは活発化していますが、今回のケースは何が違うのでしょうか。その1つに「ゼロベースで都市を作り上げていくこと」が挙げられます。

今回のスマートシティ計画の背景には、「持続可能性」と「韓国企業の支援」があることがこの記事にも書かれています。ソウル大学の都市デザイン建築学教授であるキム先生のお話によると、「韓国がエネルギーの多くを輸入しなければならないことを考えると、これらスマートシティの実証プロジェクトの成功は非常に重要であり、かつ急務である」としているのです。

つまりこのプロジェクトを通して、水処理システムや最先端技術を育てていこうという狙いが伺えます。また、それらのエコシステムをどのように現場で動かしていくのか、実験的な側面も持ちつつ進められているということがわかるでしょう。

また、通常であればスマートシティは住人が反対するイメージがありますが、今回はその逆となっています。抽選には希望者が殺到し、むしろ需要の方が高まっているのです。これも、家賃が無料になることや、これまで住んでいた環境よりもいい場所で住めるという点で評価されているのかもしれません。いずれにせよ、地域別格差の緩和につながる可能性を秘めているでしょう。

 

プライバシーデータとの引き換えに対する疑問

長谷川は、「プライバシーデータと引き換えに家賃が3年間無料」という部分に疑問を感じると話します。

例えば、この住居に関する電気の使い方や、水の使用量についてデータを集めるのであれば、特に抵抗感はないでしょう。しかし、仮に自分のインターネットの動向が監視されるような仕組みが備わっていたらどうでしょうか。これに関しては、やはり嫌だなと思ってしまうかもしれません。そのため、どこまでプライバシーが守られているかという線引きは非常に重要であると話します。

またこれに関連して、目的を明確化することの重要性を石角は話します。というのも、とにかくデータを集めるだけではなく、目的によって集めるべきデータや頻度を見極める必要があるからです。そのため、それぞれのデータが、スマートシティの構築にどう役立っているのか、しっかりと説明した上で、透明性を保つことも大切になるでしょう。

 

日本におけるスマートシティの動きとは

日本でもスマートシティの動きが始まっています。その最たる例が、トヨタが進める実験都市である「ウーブン・シティ」です。

これは、2020年末に閉鎖されたトヨタ自動車東日本株式会社の工場跡地に建設されており、東京ドーム約15個分に及ぶ壮大な街づくりを進めています。同プロジェクトの目的は、ロボットやAI、自動運転といった先端技術を人々のリアルな生活環境の中に導入、検証出来る実験都市を新たに作り上げることです。

このスマートシティに関しても、韓国のケースと同様ゼロからのスタートとなります。そのため、何を目指しているのかという部分に関しては、まだ不明確なところがあるでしょう。しかし、モビリティの観点で新しいことをやる姿勢は、非常に興味深いです。

 

スマートシティの先にある、クリプトシティとは

これらの議論の中で感じるのは、「街づくり」が非常にハードルの高いプロジェクトであるということです。直接的に人間の行動を指示するのではなく、住みやすい環境構築を通して「住んでよかった」と意識的に思わせることが重要になります。そのため、データを有効活用し、より良い環境づくりを進めていくことが重要になるでしょう。

また長谷川は、スマートシティの先に「クリプトシティ」という考え方があるといいます。これは、行政に頼ることなく、クリプトのお金持ちが資金を募って街を作るという考え方を指します。移住しようと思っても、1人で引越した場合は周りに友達がいません。そこで、100人規模で一気に引っ越せばいいのではないか、といった考え方です。

このように、スマートシティの先にはクリプトシティという新しい概念が誕生しています。そのため、様々な街づくりが、今後も進められていくことでしょう。ぜひ、注目していきたいと思います。

 

今週のおすすめコンテンツ「ポートランド 世界で一番住みたい街をつくる」

「今週のおすすめコンテンツ」は、石角の紹介する「ポートランド 世界で一番住みたい街をつくる」です。

全米で一番住みたい都市に選ばれることも多い、オレゴン州のポートランドがテーマとなっています。コンパクトな街、サステイナブルな交通、クリエイティブな経済開発、人々が街に関わる仕組みなど、才能が集まり賢く成長する街のつくり方を、市開発局に勤務する著者が解説している一冊です。

石角も大好きだと語るポートランドですが、実は非常に戦略的に作られていたということが、この本を通して分かります。今回の放送でも取り上げた「スマートシティ」に関する示唆も盛り込まれているため、非常に面白いです。ご興味のある方は、ぜひ一度手にとって見てください。

 

それでは、次回の放送もお楽しみに!

#14の実際の音源はこちらからお楽しみください。

 

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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