DXを通した産業改革の重要性を伝える音声番組「Level 5 by Palo Alto Insight」
各回の内容を文字でもお伝えすべく、文章でまとめた記事を投稿しております。ポッドキャスト内容の概要を読みたい方はこちらの記事をお読みください。詳しい内容は音声ページよりお楽しみください。
今回は特別編ということで、今ニュースで話題となっているイーロンマスクのTwitter買収について議論しました。
ニュースの概要(日本時間 4月15日現在)
2022年2月、電動輸送機器およびクリーンエネルギー関連企業であるテスラCEOであるイーロン・マスク氏が、SNSサービス企業のTwitterの株式取得を開始しました。その後、2022年4月4日に13D※を米証券取引委員会(以下SEC)に提出し、その文書内でTwitterの株式のうち、約92%を取得していることが分かりました。次の日には、Twitterがマスク氏を取締役に招く考えを表明しましたが、9日後にはマスク氏がそのオファーを辞退しています。
そして、今回の収録を行っていた2022年4月14日、なんとマスク氏がTwitterを410億ドル(約5兆円)で買収する提案をSECに提出しました。この提案に対し、Twitterの取締役会はまだ何も返事を返していないという状況が続いています。
※ 13D(正式名称:Schedule 13D) … 上場企業の株式を5%以上取得する事業者がSECに提出する必要のある書類。企業買収が間近に迫っていることを示すシグナルと見なされている。Schedule 13Dは、提出者が出資比率5%に達した日から10日以内に提出する必要があり、13Dに記載される重要な情報には、買収に使用された資金の出所などが含まれる。
かねてから山崎は、Twitterを情報収集ツールとして活用していると話していました。そのため、マスク氏のTwitter上での動向も見てきたと言いますが、それを見る限り、おそらくマスク氏自身がTwitterのことを非常に気に入っているのではないかと考えています。
マスク氏の宣伝や個人的な発言の多くがTwitterから発信されていました。それに加えて、「Twitter経営陣には期待できない。しかし、Twitterには並々ならぬ可能性を感じるから、私がそれを解き放つ。」といった主旨のツイートも見られました。このことからも、マスク氏のTwitterに対する本気度が伺えます。
そのほかにも、編集ボタンを作ったり、Twitterの名前から「w」を抜くといった具体的な発言も見受けられました。このことからも、マスク氏自身がTwitterに対して高い関心を寄せていることが分かります。
マスク氏がTwitterの買収提案をした背景には、1つの目的があるとされています。それは「言論の自由」の実現です。
アメリカでは、SNSプラットフォームは単なるインターネットプラットフォームではなく、メディア会社であると言われています。なぜなら、アメリカ人の約60〜70%の人がテレビではなく、FacebookやTwitterからニュースを取得しているからです。こういった背景から、今Twitterを変えなければコンテンツのチェックが厳しくなり、言いたいことを言えないプラットフォームになってしまうのではないか、という懸念がこの決定を後押ししたのかもしれません。
実際にお金のためではなく、民主主義と言論の自由を守るためにも、Twitterというプラットフォームを守る必要性があるとマスク氏は発言しています。そのためにも、アルゴリズムの公開を進めていき、透明性を100%にすることを目指しているようです。
現状ではあくまでも買収の提案にすぎません。それでは、実際にこの提案は通るのでしょうか。
長谷川は、拒否する材料はいくつか存在すると話します。というのも、昨年のTwitterの株価を見てみると、一株あたり60〜70ドルを記録した時もありました。このことから、今回提案した一株あたり54.20ドルというのは少し安く見られるかもしれません。また、サウジアラビアの大株主からすると、Twitterのポテンシャルはもっと高いと評価している可能性もあるため、なかなか受け入れづらい現実があります。
しかし、結果次第でマスク氏の保有するTwitterの株を全て売却するとなったらどうでしょうか。そうなってしまうと、Twitterの株価は暴落するでしょう。このように、マスク氏もTwitterの株を保有しているという背景から、なかなかはっきりと断りづらいのではないかという予測もできます。
このように、最終的な判断がどちらに転ぶのかはまだ予測できないというのが、出演者3人の回答となりました。
ここまで買収の経緯や現状について議論してきましたが、最後に「仮に買収した場合、Twitterはどうなるのか」について予測していただきました。
長谷川が指摘したのは、これまでのビジネスのやり方です。実は、マスク氏はテスラの創業者ではありません。最初は投資家だったところから、どんどん会社に入り込んでいき、最終的にCEOになったという経緯があります。そのため、今回のケースでも同じような流れになる可能性があるかもしれません。
石角は、ビジネスモデルの変革が進むのではないかと指摘しています。これまでのTwitterは広告ビジネスでしたが、お金儲けに興味がないマスク氏が買収した際には、サブスクリプション型への変更なども可能性として挙げられるのではないかと話しています。
そしてTwitterユーザーの中には、この買収が成立したらTwitterをやめると発言している人もいるようです。そのため、まだまだ未知数な部分があるでしょう。
いずれにせよ、今後もマスク氏とTwitterの動きには目が離せません。
それでは、次回の放送もお楽しみに!
#15の実際の音源はこちらからお楽しみください。
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)
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2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事及び東京都AI戦略会議 専門家委員メンバーに就任。
AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。
毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。
著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。
実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
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※石角友愛の著書一覧
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