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労働組合結成が加速する背景とは
2022/06/16 ブログ 
by kawakamitakuro 

DXを通した産業改革の重要性を伝える音声番組「Level 5 by Palo Alto Insight」

各回の内容を文字でもお伝えすべく、文章でまとめた記事を投稿しております。ポッドキャスト内容の概要を読みたい方はこちらの記事をお読みください。詳しい内容は音声ページよりお楽しみください。

労働組合結成が加速する背景とは

収録した時期がゴールデンウィーク直前ということで、コロナ禍でのマスク着用についての議論からスタートしました。

アメリカでは「マスク着用義務」が違法になる

アメリカはこの時期に、マスク規制の撤廃を発表しました。具体的には、「マスク着用義務が違法になる」ということです。出演者の石角も、実際にアメリカの街を歩いている時に、マスクをつけている人はほとんど見なくなったといいます。

しかし、レストランなどの飲食店でマスクをつけていない場合はどうでしょうか。料理を作りながら躊躇なく会話をしている姿を見て、やはり不安に思う方もいると思います。石角も、行きつけのメキシカンレストランでマスクをせずに料理を作る姿をみて、少し不安に思ったようです。

 

日本との文化的な違い

日本では未だに、多くの方がマスクをつけていると思います。あまりにもマスク着用が当たり前になった現代において、マスクがなくなる瞬間というのは想像しづらいのではないでしょうか。実際に日本の方と話をしてみると、「マスクを無くすきっかけ」がそもそも作りにくいと話すケースが多いようです。やはり、一度定着した文化を再度変えることは、日本人にとってハードルが高いのでしょうか。

しかし山崎は、日本でも少しずつ規制緩和が進められるのではないかと指摘します。例えば、外出時などの接触がほとんどない場合においてはマスクを外していいなど、状況に応じた規制緩和が進むのではないかと予測しています。

また長谷川は、アメリカ人の特徴として「違うと思うことに関して、強く反対する傾向がある」ことを指摘しています。マスク1つとっても、街頭に出て声高に反対する人も少なくありません。こういった文化的な違いからも、マスク着用義務の撤廃が進められたのではないかと分析していました。

今後も引き続き、「Level 5 by Palo Alto Insight」ではコメントを募集しております。

ぜひお気軽にご質問ください。

 

労働組合結成の試みが加速する背景とは

第16回で取り上げる「今週のホットニュース」はアマゾン初の労組 なぜ若者は結成を決意したのかです。

ニュースの概要

先日、アマゾンの倉庫で労働組合結成の賛否を問う投票が行われ、ニューヨーク州スタテン島で実施された投票では、勤務する労働者のうち55%の賛成を獲得し、組合結成への道を開きました。米国のアマゾンでは初となる労働組合が誕生することは、労働運動の大きな勝利といえる出来事として注目されています。

これらの影響から、スターバックス・REI・アップルなどの大手企業の小売店の従業員が、労働組合を結成する試みが進んでいるというニュースです。

 

新型コロナウイルスによる影響

アップルに所属していた長谷川は、アップルはリテールの会社であるため、リテールの社員から労働組合を作るというのは、非常にあり得る話だと分析します。

しかし、アップルの代表であるティム・クックは、リテール社員に対しても手厚くサポートしていた印象がありました。例えば、リテールの現場に足を運び、そこで販売員として働く社員と一緒にiPhoneを売っていたこともあったといいます。それ以外にもイベントを開催したり、リテールの社員にも自社株式をボーナスとして受け取れるような仕組みも作っていたようです。このように、リテールの社員に対しても平等に扱っていた印象があったため、労働組合の動きが加速していることには驚いたといいます。

そこで、労働組合が増加している背景の1つとして、新型コロナウイルスの影響があるのではないかと分析しています。というのも、このパンデミックによって消費者物価が大幅に上昇しており、希望する生活水準を確保するためにも労働組合が必要になったのではないでしょうか。

アップル以外にも、労働組合結成の試みが進んでいる企業は多くあります。例えばアマゾンでは、パンデミックで大幅に業績を伸ばす中、感染のリスクを背負いながら倉庫で働くことが背景となって、労働組合結成の流れが生まれているのです。このように、倉庫で働く人たちに対して利益が還元されていないところに対する不満が、労働組合結成の試みを加速させているのかもしれません。

 

社員に対する姿勢が投資の判断基準となっている

このような労働組合結成の話から、近年耳にする機会の増えた「SDGs」に関する話題も取り上げています。SDGsの達成目標の中には、工場での児童労働などもチェック項目として取り入れられており、日本にも概念的にはこのような話題が入ってきているのです。

その中で注目されているのが「B Corp」と呼ばれる認証制度です。これは、社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対する国際的な認証制度のことを指し、アメリカではSDGs以上に語られるケースが多いといいます。このように、社員や取引先に対して公明正大に扱う姿勢というのは、非常に重要視されているのです。

日本を代表する投資会社に所属する山崎も、投資先を選ぶ際にこの部分を基準として見るようになっていると言います。投資という観点で見ると、その企業が将来的に利益を出せるのかという部分を重視します。そのため、経営の中身や従業員に対するサポートなどを見ることで、その企業のビジネスモデルの良し悪しを判断する1つの基準としているようです。

 

労働者と仕事内容の未来

石角はこれらの議論を通して、AI時代における働き方の変化を推測しています。具体的には、エンジニアやデザイナーといった「ハイスキルジョブ」の仕事と、レストランの店員さんや清掃員など、高度なスキルを必要としなくとも重要な仕事となる「ロースキルジョブ」の2つが残っていくという考え方です。これにより、中間管理職として何かを管理したり、捌いたりする人がいなくなるのではないかと推測しています。

また以前、日経クロストレンドの連載でIGPIグループ会長である冨山和彦氏と対談した時に、「エッセンシャルワーカーの賃金を、何倍にも上げていかなければならない」という指摘をしていました。つまり、インフレの中でロースキルジョブの人達にしっかりと給料を出すことは、社会の構造として必要不可欠であるということです。

しかし、すぐに給料を何倍かに引き上げろと言われても、なかなか難しいでしょう。その分、サービスの年会費や価格を何倍にも引き上げる必要があるかもしれません。そうするとインフラに拍車がかかり、社会構造がいい方向に進むことはありません。

そこで、AIを利用することによって自動化したり、ロボットに代替させたりなど、オートメーション化のバランスを取る必要が出てくる可能性があります。このような、自動化とのバランスをとっていくことも、今後の重要な考え方になるのではないでしょうか。

今週のおすすめコンテンツ   「ノマドランド」

「今週のおすすめコンテンツ」は、石角の紹介する「ノマドランド」です。

この本は、リーマンショックのあおりを受けて、長年住んでいた家を失ってしまった60代の女性が主人公の物語となっています。キャンピングカーに乗って、アメリカ各地で季節労働をしながら旅をするノマド(遊牧民)生活をする姿を映しており、倉庫の日雇い労働など、描写が忠実に描かれている作品です。

長谷川もキャンピングカーに興味があると語っており、作中の美しい描写を観て非常に興味深いと話していました。ノマドならではの考え方にも触れられる作品となっておりますので、気になった方はぜひ観てみてください。

 

それでは、次回の放送もお楽しみに!

#16の実際の音源はこちらからお楽しみください。

 

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。東急ホテルズ&リゾーツのDXアドバイザーとして中長期DX戦略への助言を行うなど、多くの日本企業に対して最新のDX戦略提案からAI開発まで一貫したAI・DX支援を提供する。2024年より一般社団法人人工知能学会理事及び東京都AI戦略会議 専門家委員メンバーに就任。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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