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SDGs(持続可能な開発目標)をビジネスに活かすAI活用事例3選
2022/06/30 ブログ 
by kohei 

SDGsをビジネスに活かしたAI活用事例3社ご紹介

AI とSDGs

世界では、SDGs(持続可能な開発目標)の領域での AI の活用が注目を集めております。その理由として、持続可能な開発するためにはAI は必要不可欠であり、達成を評価するのにAI が大きな役割を果たすのです。生物科学、健康科学、物理学、化学、地球科学のさまざまな分野の研究を掲載するNature でも、「SDGsの達成に向けたAIの役割」という論文が掲載され、その中では、
SDGsのターゲットのうち134のターゲットがAIによってよい影響を与えられ、59のターゲットがAIによってに悪影響がある。
とされています。

(引用:https://www.nature.com/articles/s41467-019-14108-y)

SDGs エネルギー分野でのAI 活用事例

エネルギー分野はAIは親和性が高く、モニタリングがしやすいため、効率的な活用が期待できます。大きく分けて2つの種類にAI の活用が期待されています。

  1. 電力の需要予測: 電力を供給する側が、電力利用を予測し効率的に発電したり、必要な場所や時間帯にエネルギーを届けるためにAIを利用
  2. 効率的な電力活用: 工場や店舗、データセンターなど大規模施設を中心に、AIを用いて余剰エネルギーの消費を削減

 

エネルギー×AI活用事例1.:データセンター

Google傘下の「DeepMind」では、専門のエネルギー事業部を立ち上げる(※現在は独立した部署ではなくGoogleのAI応用部門と連携)など、2018年ごろからエネルギー分野でのAI活用に力を入れるようになりました。

DeepMindが行ったのは、データセンターの節電です。このプロジェクトの目的は、データセンター内のエネルギー効率向上でした。

データセンターには膨大なサーバーラックがあり、サーバーの稼働中は放熱量が多く、冷却装置を常に稼働させていましたが、無駄が多かったり、電気代のコストもかかり頭を悩ませていたのです。

そこでDeepMindは、データセンター内に何千ものセンサーを設置し、そこから温度や湿度、気圧など必要なデータを取得しました。そのデータをもとにアンサンブルディープニューラルネットワーク(※複数のAIの学習結果を組み合わせて、より確からしい結果を導き出す深層学習の手法)の結果を組み合わせ、1時間後のデータセンターの温度と気圧の予測を試みました。

それによって、予測された1時間後の温度や気圧に合わせた空調設定や冷却装置の稼働が可能になりました。また、「どのサーバラックが最も熱くなるか」という予測と室温予測を掛け合わせ、冷却装置を起動する仕組み作りができるようになりました。その結果、最大で40%もの電力削減に成功したのです。

DeepMind 社の省エネの詳細はこちら

エネルギー×AI活用事例2.:米国大手スーパーマーケット

アメリカの大手スーパーマーケット「ウォルマート」では、デマンドレスポンスシステム(※電力の需給バランスを調整するシステム)を活用したエネルギー消費の削減に成功しました。

ウォルマートでは、コロナ禍で営業時間や顧客の行動が変わる中、店舗内の空調設備や冷蔵庫の温度を適切にコントロールし、効率的に対処する必要がありました。

温度を適切にコントロールするためには細かな温度のデータを取る必要があったため、コントローラーと呼ばれるデバイスに接続されたセンサーを冷蔵庫に設置するなど、店舗内にIoTの仕組みを整備することで、店舗担当者はコントローラーを通じて利用状況を把握できるようになったのです。それにより、各商品の冷蔵棚についているセンサーから情報を吸い上げ、品質が低下しないように温度調節ができるというわけです。

また、コントローラーによって得られたデータを使用し、本社が店舗の温度調整をAI で行う仕組みを整備したことで、複数店舗の機器の稼働スケジューリングが同時に行えるようになりました。それにより、電力消費の削減だけでなく、スタッフの作業時間を効率よく生み出すことにも成功しています。

その余剰時間をサービス向上施策にあて、店員の接客の質を改善したり、顧客のショッピング体験向上に取り組むことも可能になりました。

ウォルマートのIoT 活用の詳細はこちら

 

エネルギー×AI活用事例3 :リンガーハット

最後はパロアルトインサイトが手掛けた、日本の「リンガーハット」の事例です。

リンガーハットではコロナ以前より店舗ごとに需要予測モデルを活用していましたが、コロナ禍で店舗の営業時間や消費者の動向が変わったことで、通常時の売上に基づく需要予測モデルが機能しなくなっていました。

そこで、コロナ禍のようなパンデミックや災害に対応できる需要予測モデルを作ることになり、当社と共同開発を行いました。

パンデミック対応型の需要予測AI の開発のポイントは基になるデータの期間です。

従来は過去3年間分の売上データをAIに学習させていましたが、パンデミック対応型のAIでは、直近数日分の売上データを基に需要予測ができるようチューニングを加えた結果、テストでは、通常モデルと比べ、80%以上高い精度で需要予測ができるようになりました。

需要予測AIで注目すべきエネルギーとの関連性は、正しい需要予測が与える影響の範囲です。店舗での最適な人員配置ができるだけでなく、サプライチェーン全体のエネルギー最適化にもつなががるのです。サプライチェーンでは、上流の企業が発注をし、それに基づきサプライヤーがモノを生産し、物流に載せて納品するため、全工程で電力はもちろん、梱包などに使うプラスチックも含めたCO2が発生しています。過剰生産は、食品ロスや廃棄の問題だけでなく、エネルギーの消費やCO2発生にも大きく影響があるのです。

意思決定のピラミットのトップにいる大企業が、データに基づいて需要予測をし、最適な発注ができれば、サプライチェーン全体を通したさまざまな無駄の削減につながってきます。

リンガーハット 社のパンデミック対応型需要予測の詳細はこちら

電力削減が求められるこの時代、企業として対応する際はAI を活用し効率よく削減実施することがポイントです。

 

AI導入の無料相談
電力削減でAI導入をご検討中の場合は無料で相談に応じます。

 

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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