NHKラジオ「マイあさ」石角友愛レギュラー出演初回
「AIをビジネスに活かすためには？」

パロアルトインサイトCEO石角友愛が、4月からNHKラジオ第一放送・朝の情報報道番組「マイあさ！」内、朝6:44～55頃に放送されるビジネスコーナー「マイ！Biz」にレギュラーコメンテーターを務めております。8週間に一度、水曜日に出演しています。

今回は、そのレギュラー担当の初回放送である4/26出演回「AIをビジネスに活かすためには？」の内容を振り返って紹介したいと思います。当日に音源を聴くことができなかった方も、聞いていただいた方も振り返りながらぜひご覧ください。

司会：
そもそもAIを使うことでどんなビジネスが可能になるのですか？

石角：
日本では、AI＝人工知能と訳されますが、特にビジネスにおいては色々な課題を解決するための「手法」の一つです。マシンラーニング（機械学習）というコンピュータに学習させ、データを分析したり、分類、未知のデータの予測をすることも可能になります。

身近な例で言うと、携帯電話の予測変換や、スマートスピーカーのアシスタント機能や、ECサイトのおすすめ商品表示にもAIが活用されています。もはや、ビジネスには不可欠なインフラとして捉えられていることが多いです。

AIを導入する数少ない芸能界事務所「ホリプロ」との協業

司会：
では、ビジネスにおいては必要不可欠なものになっているAIにはどんな事例がありますか？

石角：
芸能大手のホリプロでは、所属タレントのSNSの感情分析のためにAIを導入しています。ホリプロは業界でも大手なので、数多くの芸能人を抱えていますが、タレントのSNSや、インターネットの情報をマネージャー単位で確認するのが非常に困難でした。それをAIを使って、各タレントに対して書かれているコメントから読み取れる感情をAIを用いて解析して、どのような反応があるのかというのを見える化することで、次のチャンスを取りに行くためのツールとして提供しています。

司会：
AIがタレントの活動、今後の活動、ブランディングなど重大な判断にもAIが影響を及ぼすということですか？

石角：
その通りです。一般的にAIというと業務効率化や、人件費削減といった部分にばかり注目が集まりますが、有効な活用方はそれだけではないというのがとても大事なポイントです。タレントの可能性を最大限に活かす方向性はどこにあるのかといったところを分析し、そのデータをもとにマネージャーの営業活動に活かしてもらったりと、さまざまな重要な意思決定を支援する補助ツールとして使うことができます。

司会：
他に経営戦略として、多くの企業が抱えるような課題を抱えている企業さんはいらっしゃいますか？

石角：
例えば、お菓子メーカーの不二家では、あえて当時赤字だった洋菓子事業部からAI導入を実施しました。生菓子の材料や、配合、天気といったデータを活用し、データを分析し、特定の商品を工場からどのくらい出荷すれば良いのかという出荷量予測というサービスも提供しています。このAI導入がすべてのきっかけというわけではないですが、当時は赤字だった洋菓子事業が結果として黒字化することができているので、非常に注目度の高いプロジェクトになっています。

また、別の会社で長崎ちゃんぽんのリンガーハットの事例もあります。リンガーハットのような店舗経営をされる飲食店事業者の方々は、コロナで営業時間が大幅に変わる中で、一気にお客さんの入り方が変わるなど非常に苦労されていました。そこで我々と一緒に、緊急事態対応型の需要予測モデルというものを開発しました。

これにより、緊急事態中に突然変化したお客さんの行動様式のデータを学習させて、緊急事態のピンポイントに合わせた需要を予測するというシステムを作りました。将来的には、在庫の最適化や、適切な流通をするために活用いただくことで食品ロス軽減につながり、予測をもとに適切な人員配置を行うことで飲食店経営の課題である人材不足解消にもつながるツールになることができると考えています。

司会：
企業が解決したい課題や、要望に合わせて独自のシステムを開発するという業態ということですね。

石角：
その通りです。特に会社の中に、AIエンジニアやデータサイエンティスト、CTOのような高度なITスキルを持った人材がいなくても大丈夫で、そういう方がいないからこそ誰でも使えるツールをより身近なところに感じてもらえるよう、痒いとところに手が届く形のAIサービスを提供しています。

「文系でもAI人材になれる」AIを身近に感じるためのアドバイス

司会：
AIというと、どうしても今から技術を身につけることが難しいので、どうしても自分とは関係ないと思ってしまいがちだと思います。

石角：
そう思われる方も多いと思います。しかし、AI開発・DX推進プロジェクトというのは技術者だけでなく、同じだけビジネスサイドの人材の役割が重要になっています。AI人材と言っても、AIを開発するAIエンジニアやプログラマーだけではなく、「AIを用いて新しいビジネスを作りだす」とか、「AIでお客さんの課題をどう解決できるか考えて提案する」といった役割ができる人材を弊社では、AIビジネスデザイナーと呼んでいます。
実は世間にはこのようなAIビジネスデザイナー的役割をできる人材が非常に足りておらず、人材育成が急務だと言われています。

もし、AIに興味があるけど、自分は理系じゃないから、プログラミングができないから、とAIは関われないと思われている方はそうではなく、今いる場所でどんなAI活用ができるのか、どんな課題解決ができるのかをまず考えることから一歩を踏み出していただきたいなと思います。
技術をもっていなくてもAIビジネスデザイナーとして、AIの活用方法を発想力を持つことが重要です。AIに仕事を奪われる論もありますが、AIを私の仕事を奪う恐ろしいツールとしてではなく、私がより人間らしい高付加価値な仕事をできるようになるためのツールとして使えるとよりキャリアの視野が広がっていくでしょう。