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パタゴニア創業者が環境団体へ全株式譲渡 – その意図とは
2022/10/12 ブログ 
by kawakamitakuro 

パタゴニア創業者が環境団体へ全株式譲渡 – その意図とは

DXを通した産業改革の重要性を伝える音声番組「Level 5 by Palo Alto Insight」

各回の内容を文字でもお伝えすべく、文章でまとめた記事を投稿しております。ポッドキャスト内容の概要を読みたい方はこちらの記事をお読みください。詳しい内容は音声ページよりお楽しみください。

パタゴニア創業者環境団体へ全株式譲渡 – その意図とは

今回の放送も、視聴者の方からいただいたコメントに回答するところからスタートしました。いつも沢山の質問をいただき、ありがとうございます。

いつも学ばせていただいております。CloudKitchensの回も試聴しました。飲食店の開業ハードルをぐっと抑えるアイデアや、そこに着眼して実際にスタートアップを立ち上げるという行動力に、大変感銘を受けました。

スタートアップは、世の中のニーズでまだ開拓されていないところに着眼点を見出す点で、人々のニーズを知ったりトレンドをキャッチする上でも非常に重要だと感じます。そこで、出演者の方々はどのような機会から情報を得ているのか気になりました。また、どのような視点からスタートアップ企業の評価をしているのかも、合わせて教えてもらえると嬉しいです。

 

友人のエンジニアから得る情報

出演者の長谷川は、友人のエンジニアがどの会社に就職しようとしているのかを見て、新しい企業の情報を得ていると話します。やはり、勢いのあるスタートアップ企業や面白い会社に就職しようとする人が多いため、そこで初めて会社の情報を得ているようです。

以前の放送でも紹介した「Roblox」は、まさに友人が就職すると聞いて初めて名前を知りました。このように、エンジニアがどの企業に興味を持っているかということから、新しい会社の情報を得ることも一つの手です。

 

SNSには情報が転がっている

山崎は、ベンチャーキャピタル系の知り合いのSNSから情報を得ていると話します。ベンチャーキャピタル系の人は情報発信をしている頻度が多く、常にトレンドをキャッチできるため、非常におすすめです。

また石角は、おすすめのメディアとして「CrunchBase」を挙げています。1ヶ月前に創業したばかりのスタートアップから、すでに有名企業となったベンチャーまで網羅的にデータベースを公開しているメディアなので、情報収集という観点から非常におすすめです。このように、SNSやメディアを駆使しながら、会社を見ていくのがいいのではないでしょうか。

今後も引き続き、「Level 5 by Palo Alto Insight」ではコメントを募集しております。

ぜひお気軽にご質問ください。

 

パタゴニア創業者の環境団体へ全株式譲渡の意図とは

第38回で取り上げる「今週のホットニュース」はPATAGONIA’S NEXT CHAPTER: EARTH IS NOW OUR ONLY SHAREHOLDERです。

ニュースの概要

このニュースは、パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナード氏が、自身の持つ全株式を環境団体へ譲渡したという内容になります。株式の総資産は約4,300億円にも及ぶと言われており、非常にスケールの大きな出来事として話題になりました。またイヴォン氏は「地球が唯一の株主であり、私はこの地球を救うことに尽力するつもり」とも語っており、環境保護や気候変動対策に対する本気度が伺えます。

 

これまでのやり方と異なる点

今回の株式譲渡が話題になったのは、スケールの大きさだけではありません。会社の価値を維持したまま、環境保全に対してより多くの資金をダイレクトに投入する方法を見つけたことが、注目される理由になっているのです。

これまでのやり方であれば、パタゴニアの株式を全て売却して全財産を寄付したり、会社を上場させるという方法がありました。しかしこれらは、パタゴニアの価値を下げてしまう可能性があることや、短期的な利益に走って本来の目的から外れてしまうリスクがあったのです。また税金などの関係から、イヴォン氏が望まない方法で資金が使われてしまう可能性もあったため、それらのリスクをできるだけ最小限にするやり方として注目されています。

環境保護に徹底しているNPO団体に株式を譲渡しつつ、会社の価値を維持するために、今回のやり方が実行されたのかもしれません。まさに、本気で環境保護に向き合おうとするイヴォン氏の大きな挑戦と言えるでしょう。

 

パタゴニアの存在意義

このニュースに対する反応として、税金を逃れるためにこのような行動を起こしたのではないかという意見もあります。しかし石角は、これまでのパタゴニアの歴史を遡っていくと、そういう意図ではないということがはっきり分かると話します。

パタゴニアは元々、ロッククライミング道具の製造からスタートしました。ロッククライミングをする際に、どうしても岩を傷つけてしまうことから、環境に配慮したロッククライミング道具を作ろうと思ったのがきっかけなのです。つまり最初から、自社の存在意義を「地球を救うこと」にフォーカスしていたということになります。

今でも一貫して同じ目的を持っていることから、単なる税金逃れで今回の行動を起こしたわけでは無いことは明らかです。本気で向き合っているからこそ、今回の株式譲渡に至ったのでしょう。

 

日本に対する影響

このニュースは、日本にどのような影響を与えるのでしょうか。実は、過去1年間でサステイナブル商品を購入した経験はあるかというアンケートを見ると、アメリカが57%の割合で商品を買ったと答えたのに対し、日本ではわずか24%しか購入者がいなかったというデータがあります。そのため、日本のマーケットではそこまで環境問題に関心があるとは言えません。

しかし山崎は、今の学校教育において環境問題について考える機会が増えてきていることから、現状では環境への関心度が低くとも、長期的にみるとパタゴニアのような会社に入りたいと思う人は増えるのではないかと分析しています。そういった採用側の目線から見ても、今回のニュースはポジティブなインパクトを与えられたのかもしれません。

 

このニュースから学ぶべきこと

今回取り上げたニュースから、アメリカと日本のNPO団体における違いについても議論しています。

まず、日本におけるNPO団体の現状として、収益性の低さが挙げられます。どれだけ環境問題に対して熱心に取り組んでいたとしても、給料が高くなければ優秀な人材はなかなか集まりません。そのため、アメリカのNPOと同じようにしっかりとした収益性を確保することが必要になるでしょう。

また今回のケースは、直接的に環境保護につながるプロダクトを製造するのではなく、環境保護に使うためのエンジンをしっかり作って、そこにお金が流れるような仕組みを構築していったと言えます。つまり、最終的にはお金を流したNPO次第になるということです。

そのため、そのお金がどのような形で使われるのかというのをしっかりと見ておかなければなりません。今回のニュースはパタゴニアにとってあくまでも出発点であり、重要なのは今後の取り組みなのです。

Level 5でも引き続き、パタゴニアの今後の動向に注目していきたいと思います。

 

今週のおすすめコンテンツ「THE DAWN WALL」

「今週のおすすめコンテンツ」は、石角の紹介する「THE DAWN WALL」です。

こちらのコンテンツは、トミー・コールドウェル氏とケヴィン・ジョーグソン氏がヨセミテ・エルキャピタンという大きな岩のロッククライミングに挑戦するというドキュメンタリー作品です。19日間も垂直の壁の中で過ごすという過酷なチャレンジに密着した本作は、非常に感動的な作品となっておりますので、ぜひ興味のある方は観てください。

 

それでは、次回の放送もお楽しみに!

#38の実際の音源はこちらからお楽しみください。

 

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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