ニューラリンク社の技術がもたらすメリットとは
パロアルトインサイトの長谷川です。2022年11月30日にニューラリンク社が新たな発表を行いました。約3時間に及んだ「Show and Tell」と呼ばれるその発表はライブ中継され、新たな技術の発表や施術デモンストレーション、人体移植に向けた今後の流れなどを発表し話題となりました。前編の今回は、新たな発表とニューラリンク社の技術のメリットを解説します。
💡 この記事から得られる3つのナレッジ
・ニューラリンクの技術
・「Show and Tell」での発表内容
・ニューラリンクのメリット
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ニューラリンク社の新たなアップデートと、メリットそして課題をお伝えするため
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電気自動車メーカーのテスラや、ロケット会社のスペースX、ソーシャルメディアのツイッターも経営するマスク氏は、火星の植民地化や人類の救済といった高邁な目標を掲げることで知られています。彼が2016年に立ち上げたNeuralink(ニューラリンク)の野望も、同じように壮大なスケールで語られています。
そんなニューラリンク社が、2022年11月30日に新たな発表を行ったことが話題となりました。今回のThe Insightでは、その新たな発表についてご紹介いたします。
ニューラリンク社についてはThe Insight の記事で以前に取り上げました。Neuralinkの開発背景や、技術の概要について改めて詳しく確認したい方は、過去の記事「イーロン・マスクの発言が話題「Neuralink(ニューラリンク)」を是非ご確認ください。
ブレインコンピューターインターフェイス(BCI)とは、脳内に設置されたチップの小さな電極を使って、近くの神経細胞から信号を読み取るシステムを指します。今回の発表で、イーロン・マスク氏は、障害を持つ患者が再びコミュニケーションを取れるようにするためのN1 インプラント(以下、N1)というブレインチップインターフェイスを開発していることを明言しました。
N1は、コインほどの大きさで、遠隔で充電も可能。さらに脳内に電極を敷き詰めた糸と一緒に使用するということです。また今回ニューラリンク社の発表では、血管を避けながらBCIシステムを埋め込むようにプログラムされたR1ロボットも公開されています。
このN1デバイスの最初の人体移植は、今後6カ月以内に予定しているとCEOのマスク氏は発表で語っており、ニューラリンク社の関係者は、その後同社が最終的な承認に向けてFDAと協力しており、最初の人体内臨床試験を開始することに期待していると述べています。https://www.massdevice.com/neuralink-first-in-human-brain-computer-interface-6-months/
このように、FDA承認や人体への移植に関してスピーディーに動いていることを強調したものの、同時に、ニューラリンク社が開発した技術について、人体に入れる前に注意が必要であることも強調しました。
今回の発表では、ブレイン・コンピューター・インターフェースの移植手術を行うロボット技術も発表されました。このロボット技術は、N1チップの技術と同じくらいすごい技術革新だと言われています。ニューラリンク社のチームは、脳の代わりとなるゼラチン状の材料を詰めたダミーを使って、手術ロボットが電極の糸を挿入する様子を実演しました。この電極の糸は、脳を刺激すると同時に、発信される信号を受信します。インプラント担当副社長のD・J・ソ氏は「赤血球数個分の幅しかない小さな糸を操り、動いている脳に血管を避けながら確実に挿入することができます」と語りました。発表会では、ロボットがダミーに64本の糸を植え付ける様子が実演され、それにかかった時間は約15分という短い時間でした。
この技術について、ニューラリンク社とは無関係の南フロリダ大学コンピューター科学・工学部のマーヴィン・アンドウハル助教授は「脳に何千もの電極を埋め込むという状況で、ロボットアームが電極の挿入をいかに正確に、素早く行えるかという点で、これまでで最大の進歩です。」と語っています。
(画像引用:R1ロボットの部品開発を行なっているCard79 https://card79.com/portfolio/neuralink-robot/)
https://www.wired.com/story/all-the-actually-important-stuff-neuralink-just-announced/
AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。
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