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ものづくり産業の衰退 – アメリカはいかにして製造業を復活させるか
2023/03/06 ブログ 
by kawakamitakuro 

ものづくり産業の衰退 – アメリカはいかにして製造業を復活させるか

今回取り上げるニュースは、アメリカにおいて優秀な人材がソフトウェアに流れていく中で、どのように製造業を立て直していくのかという内容になります。日本ではあまり報道されていませんが、アメリカのオハイオ州イーストパレスチナで鉄道の脱線事故がおきました。これにより、塩化ビニルを含む危険化学物質を詰んだ38台の列車が脱線しており、環境への悪影響が予想されています。

こういった事件が起こる背景には、アメリカのものづくり産業衰退という問題があるかもしれません。アメリカではソフトウェア産業に優秀な人材が流れすぎて、製造業に人材が集まらないという問題が深刻化しています。そこで今後、アメリカの製造業は今後どうなるのか、いかにして立て直していくのかというテーマについて議論しました。

 

人材不足は質の低下に繋がる

長谷川は今回の事件を受けて、コインベースの元CTOであるバラジ・スリニバサン氏のツイートを紹介しています。彼はツイートで、「アメリカにおいて、優秀な人材の多くがソフトウェアやソフトウェアエンジニアに流れており、ものづくり・建築・電気系といった人材が減少している。それにより、メンテナンスの質が低下したり、インフラが劣化している」と話していました。

優秀な人材が不足することは、ただインフラ劣化が加速するだけではありません。優秀な人材が製造業に流れないことによって、メンテナンスの質自体が低下してしまうのです。実際石角も、アメリカに住んでいると何年も工事を続けている場所が数多くあるといいます。このように、人材不足はメンテナンスの質低下に直結するのかもしれません。

 

アジアはものづくり産業のレベルが高い

長谷川は、ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツが出したブログ記事も紹介しています。この記事は新型コロナウイルスが蔓延し始めた時期に公開されたものですが、非常に鋭い問題提起がされていました。

その内容は「新型コロナウイルスの蔓延により、病院のベットが足りなくなり、簡単なマスクを作ることも困難であることがわかった。この状況をみて、アメリカのものづくり産業は非常に危機的な状況にある」といったものでした。つまり、ものづくり産業の衰退は今回の列車脱線事故に始まったことではなく、数年前からすでに顕在化していた問題だったことがわかります。

そこでアジアに目を向けてみると、中国や日本におけるものづくりのクオリティの高さを感じます。中国においては、一晩で鉄道の駅を作ってしまうほどにものづくりのレベルが高いです。これは、将来的には大きな格差になるのではないでしょうか。アメリカも早急に、ソフトウェアとものづくり産業のギャップを埋める必要がありそうです。

 

ソフトウェアと製造業の融合

石角は、製造業とソフトウェアを融合することによって、製造業を再び盛り上げる必要があるといいます。一昔前までアメリカのデトロイト州は車の製造で世界No.1のシェアを誇っていました。そのため、元々ものづくりに関するポテンシャルは大いにあるはずです。しかし、今の時代に従来通りのやり方で製造業を復活させることは難しいでしょう。

そこで、優秀な人材が集中しているソフトウェア産業のノウハウを、製造業に活かすことができるかもしれません。テスラでは、AIを活用することで車の製造を自動化しています。このように、ソフトウェア技術そのものを製造業に活かすことも可能ですし、ソフトウェアで培ったノウハウを抽出して製造業に活かすこともできるのではないでしょうか。それにより給料を上げることができれば、より優秀な人材が製造業に集まりそうです。

 

新しい建設ビジネスの形

最後に長谷川は、注目している1つの企業を紹介しています。元々Airbnbの創業者だった人が立ち上げた会社で、プレハブ建設をメインとした事業を展開している会社です。自分の家の庭にもう1つプレハブが建てられるサービスで、最短3ヶ月で家を建設できるようです。価格も3,000万円とリーズナブルで、ソーラーパネルも標準で付いています。このように、建設業でも新しいビジネスの形が模索できるかもしれません。

こうして建てた家をAirbnbで貸し出すことも可能ですし、アメリカではプレハブの利用が盛んに行われています。こういった新しい建設ビジネスの形は、衰退している製造業において1つの可能性になるでしょう。元々起業家精神の強いアメリカ人だからこそ、新しいアイデアで製造業を復活できるかもしれません。今後も、アメリカのものづくり産業について注目していきたいと思います。

 

今週のおすすめコンテンツ「The Ministry for the Future」

今週のおすすめコンテンツは、長谷川の紹介する「The Ministry for the Future」です。

こちらのコンテンツは、元アメリカ大統領であるバラク・オバマ氏が必ず読むべきだと絶賛した一冊になります。地球温暖化など環境系の制作に関するアイデアがたくさん紹介されていて、なおかつSFとして読み応えのあるコンテンツとなっております。気になった方は是非読んでみてください。

 

Level 5 #57の実際の音源はこちらからご視聴いただけます。

 

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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