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放送作家を辞める鈴木おさむ氏 尊敬する人が戒めた安易な「常識」– 日経クロストレンド連載

放送作家を辞める鈴木おさむ氏 

尊敬する人が戒めた安易な「常識」

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00959/00001/
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生成AI(人工知能)などのテクノロジーが民主化され、個々のキャリア形成や企業経営に大きなパラダイムシフトが起きている。この変化の大きい「AI時代」を生き抜いていくためには何が必要なのか。米シリコンバレー発のAI企業パロアルトインサイトCEO(最高経営責任者)の石角友愛氏が、ビジネスの第一線で活躍する経営者や専門家との対談を通して「AI時代を生き抜く人材」のヒントを提示する。今回の対談相手は2024年3月31日で放送作家を辞めることを宣言している鈴木おさむ氏。書籍『仕事の辞め方』(幻冬舎)を執筆した理由や、「辞める」ことの重要性などについて議論した。(対談は24年1月19日)

 

辞めた後のことは辞めてから考えていい

石角友愛氏(以下、石角) 鈴木さんの著書『仕事の辞め方』は、「辞める」を深掘りした本です。「辞めた後に何をするか」を扱った本はよく見かけますが、辞めること自体をテーマにした本は非常に珍しいと感じました。私も米ハーバード・ビジネス・スクールを卒業するとき教授にいただいた「Quit often、Quite early(なるべく早く、たくさん辞めよう)」という言葉を、キャリアの中で大事にしてきました。辞めることの重要性は強く認識しています。ぜひ本を書いた背景を教えてください。

鈴木おさむ氏(以下、鈴木) 昨今、特に40代以降で「仕事を辞めたい」という人が増えていると感じます。僕が最初に放送作家を辞めようと考えたのも、まさにその40代である48歳のときでした。日本ではかつて、定年まで一つの会社で勤め上げるのが当たり前でした。昔は仕事に違和感があっても我慢すべきという空気もあった。でも最近は大企業に勤務している人でも転職するのが当たり前になってきています。

石角 そうですね。新型コロナウイルス禍で働き方を見直す動きが広がったことも、少なからず影響していると感じます。

鈴木 とはいえ、まだまだ会社を辞めることに抵抗感を持っている人は多い。転職が一般的になってきて「自分はこのままでいいのか」と考えても、仕事に対するモチベーションを高めることで、その迷いを吹っ切ろうとしています。この本を出すことで、そういう人たちに「辞める選択肢を思い浮かべていいんだ」と気づいてほしいですね。

石角 「辞める」という言葉には、なんとなく「逃げる」や「恥」といったネガティブイメージがあります。一方で「転職」には「次のステップに進む」や「挑戦」といったポジティブイメージがある。だから仕事を辞めるのであれば、ただ辞めるのではなく、事前に辞めた後に何をするのかを決めておかなければいけないと思っているのかもしれません。

でも私はこの本を読んで「目的やプランを持たずに仕事を辞めてもいい。辞めた後にやりたいことを見つけてもいい」という鈴木さんからのメッセージを感じました。

鈴木 まさにそれが伝えたかったことなんです。実際、僕は放送作家を辞めると決めてから、次に取り組むことを決めました。辞めた後のことを先に決めておかなければいけないと考えると、辞めた後にやることがミニマムになってしまう気がしたんです。

誰にでも「辞める」オプションはある

石角 そもそもの話になりますが、鈴木さんはなぜ放送作家を辞める選択をしたのですか。

鈴木 仕事に対して前のようにわくわくしなくなったからですね。でもいざ決断してみると、放送作家は自分の天職だったことに気づきました。

石角 決断した後でも天職なのであれば、撤回して放送作家を続けるという選択もできた気がします。この決断に不安や葛藤などはなかったのですか。

鈴木 それはまったくありませんでしたね。天職だからこそだらだらと続けずに「やりきれた」と思えるうちに辞めたかったのです。それに天職だと思える仕事をしている間は、きっとほかにやりたいことは見つかりません。実際、辞めると決めたことで急に視界が広がって、見える景色が変わっていきました。

石角 その決断力に憧れる人は多いと思います。企業で働いている人が、収入など現実的な心配は置いておいて、まず辞めることを決断するには何が必要なのでしょうか。

鈴木 まず今いる組織や仕事で自分が活躍できているかどうかを考えることが大事だと思います。あとは年齢も考慮すべきですね。50歳になってみて思うのは、5年や10年なんてあっという間に過ぎていきます。30代でまだ若いからといろんなことに挑戦していると、気づいたら40代に突入している。だからこそ「定年までに、自分はあと何回チャレンジができるのか」を考えてみてほしいですね。

もちろん、仕事や家庭などのバランスを考慮して今の仕事がベストであれば辞める必要はありません。ですが、今何かしらのもやもやを感じているのであれば、一度、仕事を辞めることを想像してみることから始めてみるといいのではないでしょうか。

石角 なるほど、仕事を辞めるというオプションがあること自体、気づいていない人が多いのかもしれません。想像してみるだけでもいろんな変化が起きる気がします。

鈴木 実際、僕の周りにも組織で活躍できていなかったり、自己評価が低かったりして「会社を辞めたらもっと輝けるのに」と感じる人は結構います。でもみんな辞めるのは怖いんでしょうね。

石角 私たちはこれまでの人生で様々な変化を経験してきたはずなのに、なぜか今の状態が続くと考えて、未来に起きる変化をなかなか具体的には想像しません。辞めることは、自分が変わることです。お話を聞いて、自分の変化を受け入れることが最初の一歩なのだと感じました。

大事なのは「常識を疑う」こと

石角 鈴木さんが放送作家を辞めると聞いて、はっとした人は多いと思います。身の回りで影響を受けた方もいるのではないですか。

鈴木 実は、マネジャーは20年以上この所属事務所で働いてきたのですが、僕が放送作家を辞めるタイミングで彼女も事務所を去るんです。この話をするとみんな、僕が新しく会社を立ち上げて、彼女もそこで一緒に働くというイメージを持たれるのですが、実態は違います。

実は僕のほうから「自分で会社をつくったら?」と提案したんです。彼女はこれまでのマネジャー生活の中で人脈をつくり、いろんな経験を積んできました。だったら自分で会社を立ち上げたほうがこれからの仕事の選択肢は広がります。面白いことに彼女はその提案を聞いて、起業を決断しました。

石角 マネジャーさんも辞める選択をして起業されるとは驚きました。当たり前のように鈴木さんと働き続けるのではなく、辞めることを決断したことで起業という新しい選択肢が提示され、別の道を見つけたのですね。望む・望まないに関係なく、人生に変化はつきものですが、その変化を最大限活用するという考え方は大事ですね。

鈴木 僕が辞めると決めて、選択肢を提示しなければ、彼女もきっとそのまま定年まで働き続けていたと思います。みんな同僚が会社を辞めてもどこか他人事で、自分が辞めるという発想になかなか結びつかない。それってすごくもったいないことだと思うのです。

石角 本当にもったいないですね。そこで自分ごとに落とし込むためには、どのようにマインドセットをしていけばいいのでしょうか。

鈴木 大事なのは「常識を疑うこと」だと思います。僕が尊敬しているテレビ局の方は、息子が小学生になるタイミングで「ランドセルをプレゼントする」と言ってくれたんです。ありがたい話だったのですが、すでにランドセルは予約していたので断りました。そうしたら「何でランドセルが2つあったらいけないんだ。この業界で仕事をしているなら、常識を疑ったほうがいい」と言われました。

石角 言われてみればそうですね。ランドセルは1つだけなんて決まりはない。米国ではランドセルを使わないのでみんないろんな種類のかばんを使っています。ランドセルもその日の気分で変えてもいいはずです。

鈴木 「祖父母が孫にランドセルを買う。孫はそのランドセルを毎日使わなければいけない」。日本にはこのような「発想が自由にならない文化」が結構あるんですよね。それが仕事を辞めてはいけないという発想にもつながっている気がします。

石角 そうですね、常識に縛られているから、他人の変化を自分ごとに落とし込めないんですね。

「どうせ片手間でしょ」と思われたくない

石角 今の仕事や生活がうまくいっていると、このままでいいと考えて、変化を想像できない人は多いと思います。

鈴木 調子がいいときって、調子が悪いときのことはなかなか想像しないんですよね。でも絶好調のときにこそ仕事は辞めてもいいはずです。例えば、“出世の鬼”だった人が、50歳を過ぎて出世競争に敗れた途端、急にマラソンを始めるということがよくあります。ようやく自分のために時間を使うようになったんです。でも正直、これでは「時すでに遅し」だと思います。

僕は調子がいいときこそ「今辞めたらもったいない」ではなく、「今辞めたらどうなるのか」「ほかにできることはないか」を考えてみるべきだと思います。

石角 とても共感します。調子が良いときこそ、調子が悪いときの備えをしておくことが大事ですよね。飢饉(ききん)になってから慌てて動いても備えはないし、時間やお金に制約があると、選択肢が限られて視野も狭くなる。だから余裕があるときに今後のために準備をして、種をまいておくことが必須だと思います。

一つ気になっていたことがあるのですが、鈴木さんの場合、一般的な会社員とは違うため、仕事を辞めることは、放送作家としてのキャリアそのものを捨てることを意味します。でも放送作家としての地位が確立しているので、公式に「辞める」と宣言しなくても別の仕事を始めることはできたのではないでしょうか。

鈴木 それもできたと思います。しかし、それでは本気度が伝わりません。例えば人気俳優が会社を立ち上げて別のビジネスを始めても、俳優の肩書のままでは本気でビジネスに取り組んでいるとは思ってもらえないでしょう。

僕の場合も放送作家を続けながらでは、新しいビジネスの仲間から「どうせ片手間でしょ」「自己プロデュースの一環じゃないのか」と思われてしまう可能性が高かった。でも「辞める」と宣言した後であれば、それに懸けているのだと分かってもらえるし、話も通じやすい。

石角 確かに、32年続けてきた放送作家のキャリアを捨ててまでやるとなると、それくらい本気なんだということが伝わりますね。

(写真提供/幻冬舎、パロアルトインサイト)

(後編に続く)

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00959/00001/

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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