米国の大手テクノロジー企業の中でも、多様性、公平性、包括性(DEI)に積極的に取り組んできたGoogleが、採用に関するDEI目標の一部を撤廃すると発表しました。この動きは、ドナルド・トランプ大統領が政府契約企業に対するDEIプログラムの制約を強めたことを受けたものと見られます。
Googleはこれまで多様性を促進し、より包括的な職場環境を築くための取り組みを強化してきました。特に2020年、ジョージ・フロイド氏の死を契機とした社会的な変革の波を受け、GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏は、2025年までに経営層の「代表性」を30%向上させるという目標を掲げました。しかし、2024年になり、同社はこの方針を見直す決定を下しました。
その背景には、トランプ大統領が発表した新たな大統領令があります。この大統領令は、政府契約を結ぶ企業のDEIプログラムを「違法」とみなす可能性があるとし、違反した場合には1863年に制定された「False Claims Act(虚偽請求法)」に基づき、巨額の損害賠償が科されるリスクを警告しています。また、政府機関に対し、企業のDEIポリシーが「違法な差別または優遇措置」に当たるかどうかを調査するよう求めています。
Googleだけでなく、他のテクノロジー企業や主要企業もDEIプログラムの縮小または撤廃を進めています。例えば、Meta(旧Facebook)は2024年1月にDEIプログラムを完全に廃止しました。Amazonも2023年12月に一部のDEIプログラムを停止し、AppleやTeslaなどの企業も、DEIの取り組みを控えめにする方向にシフトしています。
Googleのような大手テクノロジー企業がDEI目標を縮小することは、企業文化の変化を促すだけでなく、業界全体のトレンドにも影響を与える可能性があります。特に、政府契約を持つ企業や公開企業にとっては、法的リスクと社会的責任のバランスをどのように取るかが重要な経営課題となるでしょう。一方で、多様性を重視する求職者や投資家からのプレッシャーが続く中、企業が完全にDEI施策を撤廃するのは難しいかもしれません。今後、企業はより慎重なアプローチを取りながら、多様性を推進する方法を模索する必要があるでしょう。
記事元:https://time.com/7213195/google-diversity-hiring-targets-trump-dei/ |