2025年4月初旬、米中間の貿易戦争が再燃し、世界の金融市場に大きな動揺が走りました。トランプ大統領が発表した大規模な関税引き上げに対し、中国が対抗措置として同率の関税を課すと発表。これによりS&P500は6%の下落を記録し、パンデミック初期の2020年3月以来の最大の週間下落幅となりました。このような事態は投資家や経済関係者にとって単なる短期的ショックではなく、グローバルな景気後退を予感させるものとして強く受け止められています。
同日発表された米国の雇用統計は予想を上回る好結果となりましたが、それすらもこの株価下落を食い止めることはできませんでした。雇用の強さは依然として米経済を支える要因のひとつではありますが、投資家が注目しているのは「これから起きること」であり、過去のデータでは安心材料にならない状況です。
また一部のメディアでは、トランプ大統領の草の根支持者の多くが「経済ナショナリズム」として、アメリカの製造業強化のために役に立つと伝えています。しかし、今回の関税引き上げはあまりにも急な出来事だったので、一部からはその対応に対して疑問を抱いているでしょう。
一方、トランプ大統領はこの混乱を意に介さない様子で、「今は金持ちになる最高のタイミングだ」とSNSで発信し、フロリダの自らのゴルフコースに向かいました。また、中国の対応に対して「パニックを起こした」と非難しつつ、ベトナムが関税撤廃に前向きだとの希望的観測も述べています。こうした楽観的な姿勢と市場の悲観的な空気とのギャップは、政策の持続性や信頼性に対する疑問を投資家に抱かせています。
今回の市場の急落は、政策の不確実性がいかに世界経済に大きな影響を与えるかを如実に示しています。米中の関税合戦は単なる外交戦略にとどまらず、グローバル市場に連鎖的なショックをもたらしました。特に、原材料価格や企業の収益性、消費者物価への波及が懸念され、今後の投資判断においてはより広範なマクロ経済の見通しが必要です。
記事元:https://time.com/7274757/trump-tariffs-stocks-shock-global-markets-level-unseen-since-pandemic/
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