OpenAIは、Appleの元チーフデザイナーであるジョニー・アイブ氏が共同設立したAIデバイススタートアップ「io」を、過去最大規模となる約65億ドル相当の株式取引で買収することを発表しました。この動きは、ソフトウェア主導のAI企業であるOpenAIが、ハードウェアという新たなフロンティアへ本格的に進出する意思を明確に示すものといえるでしょう。
ジョニー・アイブ氏は、「ここ30年間で学んできたすべてが、この瞬間に向かって導いてきた」と語り、OpenAIのCEOサム・アルトマン氏と共に、全く新しいタイプの消費者向けデバイスを創出することを目指しています。そしてこの提携は、AppleでiPhone、iPod、Apple Watchなどの象徴的な製品を生み出したデザイナーたちを再集結させて、AI時代にふさわしい製品群の設計に挑戦するということです。既に2年間にわたりコンセプトの探求が進められており、初の製品は2026年のリリースが予定されています。
これによりOpenAIも、AIを活用した新たなハードウェアの領域に一気に踏み込みます。市場には既にMetaのRay-Banスマートグラスのような製品も存在しますが、アイブ氏は「これまでのAI製品は失敗作ばかり。新たな発想が欠けていた」と語り、同氏の関与によって品質と革新性の面でこれまでにない製品が登場する可能性が高いといえるでしょう。
ただし、ハードウェアとソフトウェアを掛け合わせて大成功した例は非常に限られています。このようにハードルの高い計画になると予想される中で、AIとデバイスがどのように融合し、我々の生活やビジネスを変革していくのか。また、この取り組みは単なるデバイス開発にとどまらず、企業がどのようにAIをユーザーに届けるかという本質的な問いに対する答えを模索する試みといえるかもしれません。
記事元:https://archive.is/2025.05.21-170129/https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-05-21/openai-to-buy-apple-veteran-jony-ive-s-ai-device-startup-in-6-5-billion-deal#selection-2089.0-2133.82
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