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MetaのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は、従来のAGI(汎用人工知能)とは異なるビジョン「パーソナル・スーパーインテリジェンス」を掲げています。これは、経済的生産性を重視するAIの方向性ではなく、個人の生活に寄り添い、創造性や人間関係、日常の楽しみにまで関与するAIの実現を目指すものです。Metaはこれを、スマートグラスなどの新しいデバイスを通じて実現しようとしており、ユーザーの日常体験そのものを強化する方向に進化させようとしています。
このビジョンの実現に向けて、Metaは数十億ドル規模の投資を行っています。現在建設中の巨大データセンター「Prometheus」や「Hyperion」は、AIトレーニングのための膨大な計算リソースを提供するインフラ基盤となります。特筆すべきは、これらの施設がコンクリート建築ではなく、全天候型のテント構造で短期間に構築されている点です。スピード感と柔軟性を重視するMetaの姿勢が色濃く表れています。
また、AI研究者の獲得においてもMetaは積極的です。報酬だけでなく「1人あたりの計算資源密度」が業界最高水準であることをアピールし、トップ人材の関心を引いています。ザッカーバーグ氏は「最小限のチームで最大の成果を出せる環境」が優秀な研究者にとって最も魅力的だと語っており、それがMetaの採用力の源になっています。
こうした取り組みから見えてくるのは、Metaが単なるSNS企業からAI時代のインフラ企業へと変貌を遂げつつあるという事実です。自社のキャッシュフローのみでインフラと人材の両面を強化できる財務体質は、他社にはない強みです。ザッカーバーグの描くAIは、生活のあらゆる局面に入り込み、人間の思考や行動を支援する“拡張された知能”として、新たな日常を創り出そうとしているでしょう。
記事元:https://www.theinformation.com/articles/inside-zuckerbergs-ai-playbook-billions-compute-talent-arms-race-new-vision-meta
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