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OpenAIは最新の旗艦AIモデル「GPT-5」を発表し、ChatGPTを利用する数億人に提供を開始しました。CEOサム・アルトマン氏によると、GPT-5は速度・精度・信頼性のすべてにおいて前モデルを大きく上回り、「あらゆる分野の博士レベルの専門家」と話しているような体験を提供するといいます。特筆すべきは、無料版ChatGPTにも初めて「推論モデル」を搭載した点です。このモデルは複雑な問題に対して即答せず、思考プロセスを経てから回答を生成するため、より論理的かつ人間らしい応答が可能となりました。
OpenAIのニック・ターリー副社長は「多くのユーザーにとって、これが初めての推論体験になる」と述べています。実際、あるエンジニアがフランス語学習アプリの開発を指示したところ、GPT-5は数分で完成版を生成しました。このように高速かつ高精度な開発支援能力は、ビジネスのリードタイム短縮に直結します。また、会話だけでなくプログラム生成や学術研究支援にも適用可能であり、汎用性の高さが際立っています。
この発表は、GoogleやMeta・Anthropic・中国のDeepSeekなど競合が次々と高度なAIを投入する中で行われました。OpenAIは今回、研究者や企業が自由に利用できるAIモデルをオープンソース化する戦略も採用し、エコシステム拡大を狙っています。一方で、高性能版や商用APIを有料提供することで収益化も強化。2025年に400億ドルの資金調達と、年内200億ドルの売上達成を見込むなど、事業成長にも本腰を入れています。
アルトマン氏はGPT-5を「AGI(汎用人工知能)への重要な一歩」と位置づけていますが、倫理的課題や誤情報対策、計算資源の効率化など、解決すべき問題は依然多く残ります。それでも、GPT-5はAIを単なる情報提供ツールから高度な思考パートナーへと進化させる転換点となるでしょう。ビジネスや教育、創作分野での応用が広がれば、人間の知的活動を加速させる存在として、その真価が試されることになります。
記事元:https://www.nytimes.com/2025/08/07/technology/openai-chatgpt-gpt-5.html
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