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米国の大手テック企業である Meta Platforms が、移民・関税執行局(U.S. Immigration and Customs Enforcement:ICE)職員の位置情報共有を目的としていた Facebook グループを削除したと報じられています。グループは「ICE Sighting–Chicagoland」とされ、シカゴ地域を中心に8万人以上のメンバーを抱えていたようです。今回の削除は、米国司法省(United States Department of Justice:DOJ)からの「アウトリーチ(要請)」を受けて行われたもので、Meta はこのグループを「協調的な危害(coordinated harm)」に関する自社ポリシー違反として扱ったと明らかにしました。
削除の背景には、ICE職員の「ドックス(個人情報の暴露)および標的化」に関する懸念があると、米司法長官 Pam Bondi が発言しています。グループの累計メンバー数の多さや、ライブ位置情報を含む投稿が行われていたとの報道もあり、これに対してプラットフォーム企業として即応する必要性がありました。Meta は「当該グループが弊社の『協調的危害及び犯罪促進』ポリシーに違反していた」と説明しており、どのような投稿や行為が該当するかを規定する同社ポリシーの実効性が問われたといえるでしょう。
今回の件は、プラットフォーム企業のコンテンツ運営責任と、政府機関からの要請が交差する典型的なケースといえます。企業は自社ポリシーに基づきユーザー投稿やグループの運営を監視し、違反があれば削除等の対応を行いますが、一方で政府からの「協力要請」が入ると、言論の自由やプラットフォームの中立性に対する懸念も浮かび上がります。Meta の対応については「政府によるプラットフォームへのプレッシャー(jawboning)」の典型とも指摘されており、企業と政府の関係性・透明性・そしてユーザーの表現権という観点から議論が活発化しています。
この事例から、ビジネスおよび一般生活において留意すべきポイントが見えてきます。企業側には、ユーザー生成コンテンツを巡るリスク管理と説明責任が求められています。また、政府側がプラットフォームに介入する際のプロセスやルール整備も重要です。利用者側としても、情報共有が「公共の安全」なのか「法執行妨害」なのか、その境界を意識する必要があるといえるでしょう。プラットフォーム・政府・市民社会の三者が新たなルールを模索する中、今回の削除はその転換点の一つとなる可能性をはらんでいるかもしれません。
記事元:https://www.nytimes.com/2025/10/15/technology/meta-removes-ice-facebook-page.html
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