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日経クロストレンド 石角友愛×松尾豊東大教授対談連載 第6回「AIバイリンガルの作り方 松尾研もアントレプレナー育成に本腰」

2020/07/28 メディア掲載実績 
by 関口 美和 

日経クロストレンド 石角友愛×松尾豊東大教授対談連載 
第6回「AIバイリンガルの作り方 松尾研もアントレプレナー育成に本腰」

パロアルトインサイトの石角友愛CEO(最高経営責任者)と、東京大学大学院工学系研究科・松尾豊教授のエドテックを題材にした対談の後編をお送りする。コロナ禍で急速に広がったオンライン教育のメリットとデメリットや、AIと専門分野の両方を持つ「AIバイリンガル」の育て方などについて議論を深める。

石角 前回は大学のオンラインコンテンツが標準化されていくことで、「どこのコンテンツを使うか」で世界中の大学が系列化されていくのでは、というお話でした。スタンフォード大やハーバード大、マサチューセッツ工科大(MIT)、といった系列に東大がどう関わっていくか興味がありますね。

松尾 そう。いずれ世界的にはそういうふうに統合されていくんだろうなと思うと、 東大も、ぼくの講義も、付加価値をしっかり考える必要ありますよね。今でもスタンフォード大の講義は、少なくともコンピュータサイエンスに関しては東大よりも圧倒的にいい。5年ぐらい常に先を行っているように思います。

石角 その違いは何でしょうか?

松尾 両方ともレベルは高いですが。とにかく、社会に必要なものをタイムリーに提供していこうと常に意識を持っているのがスタンフォード大。逆に、東大は日本の法律と一緒で、1回はじめると引き返せないという意識が強く、慎重です。スタンフォードでは、ディープラーニングの講義がすでに10種類近くある。例えば、AI・イン・ ヘルスケアなどの領域に特化したAIの講義もあります。

石角 ありますね。スタンフォード大でもスペシャルエデュケーションにとても力を入れています。例えば、スタンフォード大は「コーセラ」(スタンフォード大の教授 によって創立された教育技術の営利団体)などに授業を提供していましたし。オンライン学校の「ウダシティ」もスタンフォード大が深く関わっていました。

松尾 いわゆる「テクノロジーの力で教育環境を変えていく」というエドテック系は 米国などで15年ぐらいから流行り出して、いったん落ち着いていませんでした?

石角 はい。一時期は「エドテックは稼げない、マネタイズできない」といわれ、投資家のお金がソーシャルメディアなどに流れましたが。米国でもコロナ禍で再注目されています。コーセラは、2カ月で10ミリオンニューユーザーズになりました。それは昨年の同時期と比べて7倍です。コーセラをはじめウダシティもマネタイズがうまくなりました。例えば、ウダシティは自動的に課金されるようなサブスク(サブスクリプション)がうまく機能し、キャンセルもオンライン上ではできないような仕組みになっています。そこまでビジネスモデルも追いついてきて、かつ今回のコロナでユ ーザー数が爆発的に伸びているので、エドテック系のムーク(オンラインの大規模な 講義のこと)が再注目されているんです。今後さらにオンライン化が進んで、これらのコーセラやウダシティなどが大学ビジネスに介入していく、というのもおかしくない流れですよね。

松尾 そうですね。

石角 日本でもムークが再注目されていますが、流行りそうでしょうか?

松尾 どうでしょう。ただ、日本語になると母集団が少ないので、英語圏ほどうまくいかないように思います。むしろ、日本語のキャプション等をつけて英語圏のコンテ ンツを利用するほうが可能性があるのかもしれません。日本ディープラーニング協会でも、英語圏の方を対象に英語で試験を実施できないか、そのために海外のムークと連携できないかということを検討しています。

というのも、ディープラーニング協会では試験の英語版を作ろうという話がもともとありまして、コーセラを作ったスタンフォード大のアンドリュー・エン教授と議論してきました。

なぜ日本は試験が多いのか

松尾 その中で、我々自身も大きな気づきになったのが、なぜ日本は試験が多いのかということです。やはり日本は試験がやりやすいんですよね。今回コロナで会場が使えなくなり試験は中止となりましたが、オンラインで試験をやるとなると、パソコンの前にいるのが本人であることを確認するための本人認証が必要となってきます。本人認証をオンラインでちゃんとやろうとすると、本当に大変です。それに比べると、 会場に人を集める方が効率はいい。世界的に見ると日本は小さい島国で、例えば、鹿児島から福岡に試験のために出るというと大変なことのように感じますが、世界的な感覚では「近い」ということになるんですよね。したがって、これだけ気軽にオフラインの「会場試験」を実施できるというのは、国土が狭く、公共交通の発達した日本に特有の“技”なのだと思います。

そうですね。アメリカなど海外は本人確認についてはうるさくありません。特にAIやデータサイエンス系は資格も今インフレ状態というか、レジュメにコーセラや ウダシティなどで「このクラス取りました」と主張しても珍しくない。だから、これらの授業を取ったからといって就活で有利になるとは言い難いです。

最近よく聞くのが、「ラムダスクール」出身の方です。将来の就職を見越して、未来の給料の前借りだけで無料で通える大学ですが、通っている間は学費がタダなので学生がたくさん集まっているという。授業は全てオンラインです。このようにスキル系は100%オンラインになると思います。

松尾 オンラインで得られるスキルや知識についてはそうですね。ただ物理化学の実験や、動物を使って行う実験などは、オンラインで実施するのは難しいですね。

石角 実験が伴うラボラトリー系はそこの壁をどう越えられるかですよね。あとはハ ードウエア系の授業もVRでできるようにならないと、オンラインは困難でしょう。

さらに、ソクラティックメソッドやディスカッション重視の授業は、まだZoomのAR化、VR化が遅れているので、これもまたオフラインに頼っている面が否めませ ん。

松尾 この前に面白い話を聞いたのですが、オンラインではディスカッションができない。いや、普通に研究のミーティングや企業との会議は問題なくできるのですが、 この前、WTO(世界貿易機関)に出向している方が、コロナで交渉が止まっているというんですよね。オンラインでやらないのかと聞いたら、オンラインで情報共有は やるんだけど、交渉はできないらしいんですよ。本当に重要な交渉は、フェイストゥフェイスでオフラインで、相手のちょっとした表情や挙動を見ながらやらないとできないということなんでしょうかね。

石角 私も同じようなことを聞きました。先日クライアント企業が新しいビジネスの開拓について「こういう話はフェイストゥフェイスじゃないと上手く行かないから」 と話していて。これは「その人と会ってみて分かる」といった対面主義からなのでしょうか?

松尾 本当に重要な交渉や空気感を共有したディスカッションは、オフラインのほうがいいのかもしれないですね。

石角 ハーバード大などのディスカッションやソクラティックメソッドは、モデレーターがいればZoomなどのオンラインも可能かと。ただ、クラスルームの体験はなかなか今のZoomでは再現できないなとは思います。一方、日本の場合はディスカッションをあまりしない。誰もしゃべらないので、それならオンラインのほうがいい。オンラインのほうが逆にみんな集中できますしね。

AI人材育成のため、アントレプレナーシップを育む教育が必要

石角 続いて、大学のAI教育についてですが、アメリカだとスタンフォード大やカーネギーメロン大でAIカレッジを作ったり、AIバイリンガルの人材育成に取り組んだりしています。例えば、データサイエンスの学部生に哲学の授業を取らせたり、逆に哲学部の学生にデータサイエンスの授業を取らせたりするなど、学問の垣根を越えた考え方ができる人材を育てる動きがあります。こういったAI教育に対して、松尾先生のお考えや東大ではどのような動きがあるのかを教えてもらえますか?

松尾 学校側もその考え方はとても大事だと思っています。実際、昨年度、私は「深層学習全学横断研究会」というのを作りました。ディープラーニングを勉強している東大の各学部・学科の学生たちがお互いの知見を共有しながらやりましょうという趣旨です。ただ、今はコロナで動きがいったん止まっています。今後、AI単独ではなく、AI・ディープラーニングとさまざまな分野のハイブリッドが重要になって、それぞれの分野でイノベーションを起こしていくと思います。ですから、専門分野とAIのバイリンガル的な教育を施していくことが重要だと思っています。

石角 二足の草鞋(わらじ)を履く研究者に対しての社会的な評価も、アメリカに比べると日本はないということですね。歴史学者でありながら、コンピューターサイエ ンティストとか、ミュージシャンでありながらプログラマーとか。アメリカでは、スタンフォード大にもアプリ開発に携わる起業家でありながら先生という方がいます。

一方、日本は「餅は餅屋」という考え方が文化的背景として根強く、二足の草鞋を履く研究者が生まれにくいのかもしれません。

松尾 確かに日本は、餅は餅屋の意識が強く、分野をつなぐ、領域をつなぐ人の評価は低いですね。そういう分野が次の時代には伝統ある分野になっていくだけなのですが。AIの技術で世の中にインパクトを出すためには、それぞれの産業分野との連携が 重要ですし、それが当該の産業をどう変えていくか、DX(デジタルトランスフォー メーション)をどう進めていくかという視点は大事ですね。やはり、AI単独ではなく、“合わせ技”が重要になっていくと思います。

石角 そうですね。やはり、日本の大学で新しい学部を作る必要があると思います。 もっと横断的なところで教える学部を。

松尾 そうなんですが、簡単ではないですね。文科省の国立大学改革に関する委員会に出ていますが、横断型の構想を実現するにはいろいろ難しい面はあります。例えば、教員のポストや学生定員が固定されており、それが多くの場合、縦型の部局にひもづいています。なので、横断型はどうしても継続的にやりにくい。兼担という形になります。

石角 なるほど。フルタイムジョブの方はいないんですね。MITなどはAIカレッジを作って、寄付金を募り本格的に取り組んでいます。確かに、全員がパートタイムだとなかなかそこに注力できないというジレンマはあるかもしれません。

松尾 そうなんですよね。

石角 最近は大学ではなく、中学校や高校から「AI人材育成をしたいから教えてほしい」というご依頼が増えています。単なるプログラミング教育ではなく、もっとホリスティック(全体的、包括的)なAI人材育成カリキュラムというのを求めているんです。今後AIバイリンガルを育てるためにも、中学・高校からできることはたくさんあると思いますから。そんなニーズが出てきているというのは、すごくいいサインじゃないかなと。

松尾 そうですね。AIバイリンガルを育てたいですし、そのなかからアントレプレナ ー(起業家)が増えるといいですよね。松尾研としてもアントレプレナーを輩出するため、教育やインキュベーションのさまざまな試みに取り組んでいます。東大の中にはアントレプレナーシップの講義がかなり前からありますし、私自身も19年度からひとつはじめています。なかなか難しいですが、面白いです。さらに本腰を入れていきたいです。

石角 松尾研でぜひやっていただきたいのが、アントレプレナーシップにおけるスプリントチャレンジです。それは、アントレプレナーシップでリーンスタートアップの手法を用いて、短期間でプロトタイピングを行うというもの。米グーグルの投資部門、GV(グーグル・ベンチャーズ)が生み出した考え方です。また、アントレプレナーシップは体系立てて教えられる教科ですから、そこにAIをかけ合わせる考え方や発想の仕方、ビジネスの検証方法などを加えていけば、AI人材育成にも一役を買うのではないでしょうか。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。また、毎日新聞「石角友愛のシリコンバレー通信」、ITメディア「石角友愛とめぐる、米国リテール最前線」など大手メディアでの寄稿連載を多く持ち、最新のIT業界に関する情報を発信している。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧

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