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インクルーシブデザインとは?
2020/08/21 ブログ 
by ユカ リビングストン 

インクルーシブデザインとユニバーサルデザインの違い

みなさんこんにちは。UXデザイナーのリビングストンです。

インクルーシブデザイン (Inclusive design)というコンセプトをご存知でしょうか。近年一般的になってきた考え方ですので、耳にしたことがある方も多いと思います。

インクルーシブデザインは積極的にマイノリティを考慮してデザインする手法

インクルード(include)=「含む」という意味で、インクルーシブデザインは、これまでデザインのメインターゲットからエクスクルード(排除)されてきたユーザー、例えば、高齢者、障がい者、外国人、母子家庭といったユーザーを、積極的に製品やサービスの開発において早い段階からデザインプロセスに巻き込んでいくというデザイン手法です。1990年代にイギリスを中心に新たなデザインコンセプトとして提唱されました。

インクルーシブデザインとは対象にユニバーサルデザインがあります。これは1980年代後半にアメリカで提唱されたもので、万人のためのデザインという意味で、障がい者用や高年齢者用と隔てることなく、多くの人たちが平等に利用できる製品をめざすものとされています。ユニバーサルデザインの代表的な例として、子どもから高齢者、そして車いすに乗っている人が利用することができる自動ドアが挙げられます。

ユニバーサルデザインは皆が平等に使いやすいことを目指す手法

どちらの手法も最終的には「より多くの人が使える、アクセスしやすい」ということを目指していますが、手法は大きく違います。ユニバーサルデザインは「誰でも/みんな」という点に重きを置きます。それに対して、インクルーシブデザインは特別なユーザー、つまりリードユーザー(障がい者、高齢者など従来のデザインプロセスにおいて対象とされなかった人たち)に重心を置きます。

インクルーシブデザインで大切なこととは

インクルーシブデザインで大切なことは、リードユーザー(特別な配慮が必要なユーザー)が製品やサービスを利用している様子を観察したり、車椅子などを使って実際にリードユーザーの感覚を体験することです。それによって今まで気付かなかった問題点を発見することができます。例えば車椅子で動くと、ところどころ歩道が傾いていることに気付きます。普通に歩いているときには気づかない歩道の問題を体験できるため、リードユーザーのニーズの認識や理解が深まります。様々なリードユーザーの⽇常⽣活で直面している困難な状況を観察することで、普段、⾒過ごしている問題・価値、ユーザーのニーズが明らかになります。そして、そこから社会課題が見えてきて、問題定義をすることができるのです。

従来のデザインでは対象とされにくい、またはされてなかった方にデザインのプロセスに参加してもらうことで、新たな気付きを得ることができます。また、一般大衆に向けたデザイン開発では見えてこない潜在的、かつ先進的なニーズを掘り起こすことが可能になります。結果的にインクルーシブデザインを行うことで、よりアクセシビリティの高いサービスやプロダクトを作ることに繋がります。つまりリードユーザーのアクセシビリティの向上に取り組むことは、一般大衆のユーザビリティの向上にも繋がり、UXを考える上では大変に意義のあることだと感じています。

インクルーシブデザイン事例:自分の肌の色に合わないバンドエイドを使い続けてきた黒人男性がやっと自分の肌の色に合うバンドエイドを見つけて感動したというツイート。とても話題になりました。

大企業の中では、マイクロソフトはインクルーシブデザインに力を入れていると思います。ゲーム界では、まだまだリードユーザー(特別な配慮が必要なユーザー)へのアクセシビリティ が普及していませんでした。マイクロソフトのXbox Adaptive Controller(XAC)は通常のゲームパッドを使うことができないゲーマーのニーズに答える形で開発されました。身体的な障害でゲームが遊べない、楽しみづらいプレーヤーのために、それぞれの必要に応じた入力環境を安価に作れるよう「誰でも使える」を実現するため設計された製品だそうです。

マイクロソフトの取り組みはこちらから見れます。

AIとインクルーシブデザイン

AIプロダクトにインクルーシブデザインが組み込まれている事例もあります。例えば、NECは、AIを活用して、簡単な動作で子供から大人、障害者でも誰でも演奏が可能なインクルーシブ楽器を開発しました。AI技術を活用し、画像認識技術によりユーザーの身体の動きを認識し、その動きに合わせて音を発し、音楽を奏でるというものです。この楽器の開発には、実際に障がいのある人がインクルーシブアドバイザーとして参加したそうです。NECは人の能力や創造性を広げ、人々の役に立つ「人と協調するAI」によって、各人が人間性を発揮する社会の実現を目指しているそうです。

NEXのインクルーシブ楽器の取り組みはこちらから見れます。

各自の特性をデザインプロセスに入れ込んでいくことは、すべてのユーザーにもメリットが生まれると思います。「各人の個性に対応するインクルーシブなデザイン」という考えはこれからさらに発展・普及していくことでしょう。

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。東急ホテルズ&リゾーツ株式会社が擁する3名のDXアドバイザーの一員として中長期DX戦略について助言を行う。

AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。

毎日新聞、日経xTREND、ITmediaなど大手メディアでの連載を持ち、 DXの重要性を伝える毎週配信ポッドキャスト「Level 5」のMCや、NHKラジオ第1「マイあさ!」内「マイ!Biz」コーナーにレギュラー出演中。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP)『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

実践型教育AIプログラム「AIと私」:https://www.aitowatashi.com/
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com

 

※石角友愛の著書一覧

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