パロアルトインサイト/ PALO ALTO INSIGHT, LLC.

メディア掲載実績MEDIA ACHIEVEMENTS

パロアルトインサイト/PALO ALTO INSIGHT, LLC. > メディア掲載実績 > ダイヤモンドオンライン 記事掲載/不二家があえて赤字の洋菓子部門からDXを始めるワケ

ダイヤモンドオンライン 記事掲載/不二家があえて赤字の洋菓子部門からDXを始めるワケ

2021/09/13 メディア掲載実績 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

不二家があえて赤字の洋菓子部門からDXを始めるワケ

Photo:PIXTA

組織でDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進させるには、超えるべき壁がいくつかあります。しかし、一気に行うのではなく、どの部署・どんな事業から最初に取り掛かるか見極めることが重要です。製菓業の不二家はどう判断したでしょうか。ハーバードMBA卒、元Google本社勤務で現在、シリコンバレーでAI開発会社を経営する石角友愛氏の著書『いまこそ知りたいDX戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から抜粋してお届けします。

DXには5つのステージがある

「デジタルトランスフォーメーション5つのステージ」と題した次の図をまず紹介したい。トニー・サルダナの近著『Why Digital Transformations Fail』(邦訳『なぜ、DXは失敗するのか?』東洋経済新報社、2021)に紹介されていたチャートを私が日本語訳し、さらに、デジタイゼーション(アナログからデジタルへの移行)、デジタライゼーション(デジタル化されたデータを使用して作業の進め方やビジネスモデルを変革すること)、DXの定義と、AIの関係性を加えたものである。

この5ステージにあてはめると、多くの日本企業は、まずこの1ステージの基礎ステージからスタートすることになるだろう。

製菓業の不二家のケースを見ながら、どうDXにどう向き合って企業経営していくべきなのか見ていきたい。

もしあなたが不二家の経営者だったら
洋菓子事業と菓子事業、どちらからDXを始めるか

数ある事業のうち、どの部門でDXを進めるのが最も経営インパクトがあるのか。ここでひとつクライアントの事例を紹介したい。製菓業の不二家のケースだ。

不二家の事業は、大きく2つの事業に分かれる。洋菓子事業と菓子事業だ。洋菓子事業 は、店舗でケーキなどを売る事業。一方、菓子事業は、コンビニやスーパーで売っている カントリーマアムやミルキーなどを作る製菓業である。

この2つの事業の売上高構成比を見ると、洋菓子事業が全体の約2割。菓子事業は全体の7割である。決算書を見ると、この洋菓子事業は長年赤字で、会社の利益を支えているのは菓子事業になっている。

さて、ここでみなさんにも考えてほしい。もしあなたが不二家の経営者だったとしたら、 どちらの部門でAI導入するだろうか。

結論からいうと、不二家は、あえて赤字事業の洋菓子部門でAI導入をすることに決めた。言うなれば、守りのAI投資だ。

もちろん、成長事業に対して強化型AIを導入するという考え方をするのもいいだろう。しかし、赤字事業にあえてAIを導入するのには、いくつかのメリットがある。

まず、いくら売上が伸びても赤字事業が改善しなければ、黒字事業の努力が増える。赤字の出血をおさえることができれば、これを防ぐことができる。そして、赤字事業はリスクが少ない。赤字事業は、少しの改善でも大きな成果が得られるケースが多いからだ。

これは見逃されがちな視点なのだが、とくに大企業になればなるほど、最初のAIプロ ジェクトは失敗するわけにはいかない。そのプロジェクトの成否が、今後企業でDXが好意的に進められるかどうかの鍵を握るからだ。

すでに98%うまくいっている黒字部門で、成果を99%にするAI導入は、あまりインパ クトをもたらせない。しかも、黒字部門は会社の生命線なので、失敗したときのリスクも大きい。 それよりは、赤字部門で改善を目指すAI導入は、最初のプロジェクトとしてリスクが少ないし、うまくいった場合のインパクトも大きい。

アフターコロナにおけるDX成功の鍵のひとつとして、「赤字事業や危機的事業にAI 投資せよ」という考え方がある。

赤字事業を黒字化することで出血を止め、体を健康な状態にしたうえで、さらに成長していくといった考え方だ。その点で、この不二家の決断は非常に先鋭的だ。

洋菓子が売れ残ると廃棄ロス、AI導入で解決!?

もちろん、洋菓子事業でAI導入をすると決めたのは、ただ赤字部門だったからというだけではない。このときも、先ほどから紹介しているFOME診断(AI診断のひとつ)で、(1)実現可能性、(2)応用性、(3)検証性、(4)倫理性を検証したうえで導入を決めた。

事業部の人たちにヒアリングを重ね、経営陣とも議論を重ねた結果、具体的にどのようなAI導入をしたかを説明しよう。

不二家はショートケーキやアップルパイ、プリンといった定番商品のほかに、実は毎月多くの新商品を開発している。

夏の時期にはメロンやスイカを使った期間限定のケーキが登場し、クリスマスになれば ショートケーキのさまざまなバリエーションがショーケースに並ぶ。3月には雛祭りのスペシャルケーキ……というように、常に新商品を売り出している。

この場合、製造個数が多すぎて売れ残ると廃棄ロスになってしまう。逆に製造個数が少ないと売り切れてしまい、機会損失を招く。これをなんとかしたいというのが課題だった。また、製造のラインが多岐に分かれているのも特徴だった。工場は複数あり、解析すべき対象材料は、なんと2000種もあった。これらの材料を効率的に配置するだけでも、コストは下がる。

こういった事情を踏まえ、われわれは同社の新商品の売上予測をするためにAI導入をすることにした。現在、これら2000種の材料のデータを解析し、出荷量を予想するモデルを設計しているところだ。これは、会社にとって非常に有益な投資になっていくと思われる。

会社にとってどの事業へのAI投資がレバレッジポイントになるのかを見極めることは重要だ。


いまこそ知りたいDX戦略

『いまこそ知りたいDX戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

なぜ、あなたの会社のDXはうまくいかないのか? シリコンバレーに学ぶDX戦略の最先端
自社のDXを成功させたい経営者とリーダー必読の一冊!

ハーバードMBA卒、元Google本社勤務
ベストセラー『いまこそ知りたいAIビジネス』著者の最新刊
シリコンバレーに学ぶ DX戦略の最先端

現在、日本では空前のDXブームが起こっています。
皆さんの中にも、社内にDX推進部ができたとか、DXを進めるよう社長から指示があったという方は多いでしょう。
とくにコロナの影響でリモートワークが急速に進んだ企業では、DX推進が最優先課題になっているという話もよく聞きます。

しかし、実際にDX推進に向けて動き出した企業の担当者の話を聞くと、
「何から手をつけていいのか、わからない」
「見積もりをとってDXプロジェクトが動き出したが、途中で頓挫した」etc…

なぜ、日本企業のDXが失敗するのか。
そこには大小いくつもの理由がありますが、最大の原因は「DXとはいったい何を指すのか」について、経営者やDX担当者が共通言語を持っていないことにあるのではないでしょうか。

本書ではDXの定義から始まり、欧米や日本の数多くの企業の事例を紹介しながら、皆さんの会社のDXを推進するための考え方やフレームワークについてお伝えしていきます。

BACK TO MEDIA
PAGE TOP