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愛知経協 掲載/本当の意味でのDX(デジタルトランスフォーメーション)とは〜本質的なビジネスモデルとコア部分の変革〜

2021/10/08 メディア掲載実績 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

本当の意味でのDX(デジタルトランスフォーメーション)とは
〜本質的なビジネスモデルとコア部分の変革〜

日本のメディアでは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」について連日報道され、その言葉を聞かない日はないくらいの言葉になってきているかと思います。
その効果もあってか、今後の経営に「DX」が不可避との認識は、どの業界でも定着してきたのではないでしょうか。

しかし、実際に私の元に届く声には「DXを進めたいのだが、何から始めればいいのか?」「仮説検証をくり返しているのだが、事業化に至らない」「プロジェクトをスタートしたが、社員が協力してくれない」といったネガティブなものも少なくありません。

そこで、この記事をお読みいただくことによって、「AI/DX」について、"上手く使うことで便利なものになり、みなさんのキャリア形成にもプラスになる"というポジティブなイメージを持っていただければと思います。

まずは、みなさんの会社や組織の中でDXを進めるための方法をお伝えしていきたいと思いますが、その前にひとつ前提を共有しておきたいと思います。

企業におけるDXとは何を指すのか

私は、DXとは、例えば、はんこをデジタル化するというような、特定の作業を自動化するITツールの導入を行うといった局所的なIT導入のことではなく、「デジタル技術を採用し、業務改革を行った結果、組織におこる根本的なビジネスモデルや組織文化の変換、変革を指すこと」だと考えています。

新製品が世に出た場合、その製品が市場を獲得するために超えなければならない一線のことを示す"キャズム理論"について提唱したジェフリー・ムーアが執筆した『Dealing with Darwin(邦題:ライフサイクルイノベーション)』に書かれている、「会社は、コア(すなわち核となる事業)とコンテクスト(すなわち核から派生する事業)に分けて考えなくてはならない」という考え方が参考になると思います。

バスケットボール選手であったマイケル・ジョーダンを使ってもっとわかりやすく例えたいと思います。
マイケル・ジョーダンにとっての「コア」は、バスケットボールです。
一方、「コンテクスト」は、マーケティングやプロモーション、商品化などを指します。

一時期人気を博したスニーカーの「エア・ジョーダン」のような商品はコンテクストですし、最近ではネットフリックスで「ラストダンス」という、マイケル・ジョーダンのドキュメンタリー映画が制作されましたが、これもやはりコンテクストです。
マイケル・ジョーダンの周辺にはたくさんのコンテクストがあるのですが、彼のコアは、どこまでいってもバスケットボールです。
バスケットボールがなければ、コンテクストのマーケティングビジネスも、商品プロモーションも成立しません。

これを、会社に置きかえて考えてみてください。

会社にとって本当の意味でのDXとは、このコアの部分をデジタル化することを指します。

マイケル・ジョーダンにとってのバスケットボールにあたるものをデジタル化し、結果としてビジネスモデルや企業文化、体制を変革することが、本当の意味でのデジタルトランスフォーメーションだということになります。

私が、「DXとは、作業工程の一部をデジタル化することや、デジタルツールを導入することではない」とお伝えした理由をわかっていただけたでしょうか。

さらに、本当の意味でのDXについて理解を深めていただくために、デジタイゼーション(Digitization)や、デジタライゼーション(Digitalization)についても説明したいと思います。

DXの3つの段階

日本では、
1. デジタイゼーション、
2. デジタライゼーション、
3. デジタルトランスフォメーション(DX)
を混同している人が多い印象があります。

というよりも、この3つをすべてまとめてDXと言ってしまっているのが実情です。

そこでまずは、このつの段階の概念を明確にすることで、DXの本質を理解することに役立てていただければと思います。

①デジタイゼーション

まず、デジタイゼーションとは、「アナログからデジタルへの移行」を指します。

IT業界で著名なアナリストであるジェイソン・ブルームバーグは、デジタイゼーションについて以下のように述べています。

「デジタイゼーションとは、アナログ情報を取得して0と1にエンコードし、コンピューターがそのような情報を保存、処理、および送信できるようにすることだ。たとえば、手書きまたはタイプで書かれたテキストをデジタル形式に変換することは、デジタイゼーションの例であり、LPまたはビデオやVHSテープから音楽を変換することも同様である」

ここでもわかるとおり、デジタイゼーションとは、ツール導入による手作業の自動化やペーパーレス化などを指します。
ちなみに日本で議論されてきた「ハンコのデジタル化」などは、このデジタイゼーションの段階に入ります。

デジタイゼーションを導入する対象は、主に社内の作業工程(会計、営業、カスタマーサポートなど)が当てはまります。

ただし、このデジタイゼーションでは、省人化、最適化することによるコスト削減がメリットになり、今までに存在しなかったシナジー効果などを期待できる段階ではまだありません。

②デジタライゼーション

デジタイゼーションが「アナログからデジタルへの変換」だとしたら、デジタイゼーションは、「デジタル化されたデータを使用して、作業の進め方やビジネスモデルを変革する」ことを指します。

世界有数のIT分野を中心としたリサーチ&アドバイザリ企業であるガートナーの定義によると、「デジタイゼーションされた情報やデジタル技術を活用し、作業の進め方を変え、顧客や企業の関与と相互作用の方法を変革し、新しいデジタル収益源を生み出すこと」となります。

ツール導入などの表面的な話ではなく、より複合的で本質的なビジネスモデルとコアのデジタルによる変革を示すことがデジタライゼーションなのです。

ここまで読んだ皆さんは、このデジタライゼーションの定義を聞き、「それこそがDX(デジタルトランスフォーメーション)なのでは?」と思ったかもしれません。

実際に、アメリカでも少なくない数の経営者がデジタライゼーションのことをDXの文脈で話すことも多いのです。

しかし、両者には決定的な違いがあります。

③デジタルトランスフォーメーション(DX)

デジタイゼーションとデジタライゼーションが「技術」に関する変革を指すのに対し、デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、主に「人や組織」に関する変革を指すのです。

デジタライゼーションにより実現された新たなビジネスモデルとコアビジネスのデジタル変革を恒久的なものへと変えるためには、人の変化が必要不可欠になります。
この場合の「人」には、顧客、エンドユーザー、消費者、協力会社、社員などが当てはまります。そのため、DXを進めるには、KPIや評価制度の見直し、抜本的な組織変更と役割変更や、その変更に伴う人の管理も必要になってきます。

デジタイゼーションやデジタライゼーションが主に情報システム部や経営企画部、調達部や事業部単体での仕事だとしたら、DXは経営者が自ら舵を切って会社の文化や体制を変えていくことで初めて実現される抜本的構造改革のことなのです。

つまり、企業のDXとは、「DX室」などといった表面的な横断的少人数DXチームが行う単一プロジェクトで終了するものではないのです。

私がこれらの言葉の定義を示したのは、このデジタイゼーションとデジタライゼーション、DXの概念を理解していないと、電子ハンコの採用やマイナンバーの導入がDXであるというような勘違いをして、目的と手段が混乱してしまうリスクが大いにあるからです。

ここで強調しなければいけないのは、ITツールの導入というデジタイゼーションは、将来のデジタライゼーション、その先にあるデジタルトランスフォメーションの実現にとって必要条件のひとつにすぎない、ということです。
ただし、十分条件ではないし、同義語でもありません。そして、その過程は長く時間がかかるものであるとの認識も忘れてはいけません。ここまでが、本質的な話です。

組織内でのDXの進め方

ここからは、実際に組織内でDXを進めていくという話になった時、どうしたらよいかをお話ししたいと思います。

まずは、自社にAI開発をするデータサイエンティストのような人材がいない場合を考えてみましょう。

もちろん、まずはパッケージとして売られているソフトウェアや、誰でもできる簡単なチャットボットの導入など、なるべく安価なものを、試しに使ってみるという手もあると思います。

しかし、DXの一環としてのAI導入と考えた時は、システム開発会社に発注して、仕様書通りに納品してもらい、検収し、プロジェクトが終了する、といった考え方とは、根本的に違います。

「AI導入を含めたDXは仕様書を作りそれ通りに作っていくタイプのプロジェクトではない」という発想の切り替えは最も重要になってきます。

よく「見積もりを出してください」と問い合わせをいただきます。しかし、見積もりを出すためには、データを見なくてはならないし、現場を見なくてはなりません。

どれくらい使えるデータがそろっているのか。AIを作ったあとにどのようにビジネスの現場に定着させるのか。その予想が立てられないと、見積もりは出せないものなのです。

次に、社内にデータサイエンティストのような人材がいる場合について考えたいと思います。

この場合には、前述したような「DXを進めたいのだが、何から始めればいいのか?」といった問題は起こりづらいといえます。

また、一概には言えませんが、日本企業では、外部から連れてきたITの経験などがある人をDXチームのトップに配属させ社内での合意をとらせるよりも、内部の事情を知り尽くしていて、人脈も豊富、信頼も厚い事業部上がりのマネジャーや子会社の経営陣などをDXチームのトップにおくほうがスムーズに進むケースが多いのも事実です。

もう一つ、先日ある日本企業のDX推進室の方から聞いた話ですが、そこでは推進室のメンバーは数人であるにも関わらず、社内の課題を聞き出すことに成功したとのことです。どうやってやったのかと聞いたところ、各事業部に「AI推進担当者」という存在の人を約半年かけて育て上げ、その人が中心となり事業部ごとの課題を抽出していったそうです。

ここからわかるのは、DXチームは何かしらの形で事業部との太い連携パイプラインを作る必要があるということです。

このような連携パイプラインを構築する過程で、社内でAI人材がどんどん育つような基盤を作ることができます。

不足するAI人材

AI人材に関しては、世界では現在、70万人のAI人材が不足していると言われています。
ここ何十年は売り手市場になっていくことは疑いようのないことです。
とある日本の企業では、優れた技術者には年収2000万以上で処遇し、年収3000万円になる可能性もあるとしています。国税庁の調べで日本人の平均給与は年間441万円ということですから、世間でどれだけAI人材が求められているかがわかっていただけるかと思います。

ちなみに、AI人材の中には、AI開発をするエンジニアやデータサイエンティストなどの技術職もあれば、技術者と連携してビジネスを創造し実装するAIビジネスデザイナーのような職種もあります。

また、IT業界にいない方でもAI人材になれる手段もあります。今の会社を辞める必要はありません。自分の職種にAIを掛け合わせて大きな付加価値を生み出す人材を『AIシナジスト』と私は呼んでいます。
多くの会社がDX推進を進めていく中、社内でAIを使ったビジネス課題解決について知見があるAIシナジスとを育てることは急務であり、これから需要が増えていくと私は考えています。

私自身、今でこそ日本企業にAI戦略からAI開発までお手伝いしていますが、大学時の専攻は心理学でした。

何が言いたかったかというと、決してAIに携わる人間、DXを推進していく人間がエンジニアのような理系の人間だけというわけではないのです。
外部からAIやDXの担当を招聘するだけでなく、社内でそういった「AI人材」を育てていただくことも、今後重要になっていくのではないでしょうか。

 

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