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DX推進のために必要なDX戦略と5つのステージ – 技術情報協会「月刊・研究開発リーダー11月号」寄稿記事 掲載/DXの5ステージとマイクロソフトのアプローチ

2021/11/20 メディア掲載実績 
by PALO ALTO INSIGHT, LLC. STAFF 

DX推進のために必要なDX戦略と5つのステージ

1 はじめに

出典:Why Digital Transformation Fail by Tony Saldanhaより著者訳出

そもそもDXとは何か。DXとAI導入は,どう違うのか。そして,これらは互いにどう関係するのか。
DXの5ステージとマイクロソフトの例をもとに紐解いてゆきたい。
※本記事は,『いまこそ知りたいDX戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)からの抜粋です。

2 DX5つのステージ

図1は,トニー・サルダナの近著『Why Digital Transformations Fail』(邦訳『なぜ,DXは失敗するのか?』東洋経済新報社,2021)に紹介されていたチャートを私が日本語に訳出し,さらに,デジタイゼーション,デジタライゼーション,DX の定義とAIの関係性を加えたものである。ツール導入による局所的プロセスの自動化や省人化はデジタイゼーション(ステージ1)であり,ステージ2から4がデジタライゼーションに当てはまる。DXのゴールは,デジタル化したプロセスとビジネスモデルを恒久的に回しながらイノベーションを起こし続ける状態や,そのような組織体制の構築である。つまり,会社のDNAとしてデジタルが常に浸透しきったステージ5の状態であることがDXの最終ゴールなのだ。

2.1 第1ステージ(基礎ステージ)

この5ステージにあてはめると,多くの日本企業は,まずこの1ステージ目の基礎ステージからスタートすることになるだろう。基礎ステージでは,部署内のプロセスの中の一部を自動化,または省人化していく。実はこの基礎ステージの中に,デジタル化する前に行わなければいけないタスクがある。それは既存のアナログプロセスを見直して,無駄がある工程はどこかについて明確にする「ビジネスプロセスエンジニアリング」と呼ばれる過程だ。既に無駄や欠陥が判明しているアナログのプロセスをデジタル化したところで,無駄の多いITシステムができあがることにしかならない。アナログプロセスを検討する時点で,デジタライゼーションをゴールにしたプロセス設計を考えることが実は大事なのだ。

2.2 第2ステージ(サイロ(縦割り)ステージ

そこから1ステップ進んだ2つめのステージは,縦割りされた部署で,デジタルを使った変革的なビジネスモデルや商品開発がスタートする状態だ。日本企業の多くは縦に事業部を区切っているが,ここでは事業部ごとに垂直的ななにかしらのサービスや商品開発が行われている状態をイメージしてもらえばいいだろう。

2.3 第3ステージ(部分的統合ステージ)

3つめのステージは,垂直ではなく,会社横断的な組織構成として,さまざまな部署が協力してDXを進めている状態を指す。この「協力」というのがキーポイントで,部分的統合ステージが第3ステージである。

2.4 第4ステージ(全社的統合ステージ)

第4ステージは,全社的統合ステージだ。プロセスやプロダクト開発,ビジネスモデルを根本からデジタル化していくことになる。これが完成すると第4ステージといえる。著者のサルダナは,この1~4までのステージを飛行機の滑走と離陸にたとえている。

2.5 第5ステージ(デジタル化した会社のDNA)

最後のステージはデジタル運営が会社のDNAレベルで浸透しているステージを指す。飛行機にたとえるならば,離陸後にまっすぐ安定的に飛んでいる状況がこのステージだ。この5つのステージを見ると,DXとは先の長い取り組みであることがわかるだろう。私がこれを示したのは,多くの人が,「どこかの部署内の,何かひとつの業務プロセスにRPA(ロボティックプロセスオートメーション)を導入して省人化すれば,それがDXである」と勘違いしているからだ。しかし,そうではない。DXというのは少しずつ積み上げていく長期戦なのである。

そして,AIはこのDXジャーニーにおいて,それぞれのステップを実現させ,次のステップに進むために必要不可欠なツール,すなわち「DXのビルディングブロック」であると私は考えている。

3 サイロ化 (縦割り構造) はなぜ問題か-マイクロソフトの事例

先ほど紹介した5つのステージのうち,第2ステージから第3ステージに移るフェーズ,つまり縦割りから全社取り組みに移行する段について,もう少し解説していこう。ここでつまずく企業が多いからだ。マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラは,2014年にCEOに就任した際に「会社組織の根底に,データを成長の軸とする文化をつくりあげなければならない」と発表した1)

後に,ナデラは自身の著書『HitRefresh』(邦訳『HitRefresh』(ヒットリフレッシュ)マイクロソフト再興とテクノロジーの未来』日経BP,2017)で「AIは今後,我々のあらゆる行動を形づくっていく歯車のようなものである」と述べている。ナデラが発表した「AIファースト宣言」というDXへの取り組みとマイクロソフトの組織編成は密接にかかわりがある。たとえば,2002年には7つの事業部に分かれて,それぞれがPLの責任をもって運営していたが,組織体制の変更をくり返し,2019年には以下の4つのエンジニアリンググループに統合した2,3)

①Cloud+AIGroup(クラウドサービスAzure関連)
②Experiences+Devices(マイクロソフトオフィス,スカイプ,SurfaceやXBoxなどのデバイス関連プロダクト)
③ArtificialIntelligenceandResearch(Bing関連プロダクト,AIリサーチ)
④CoreServicesEngineering&Operations(社内インフラとITオペレーション)

とりわけ,社内のDXを推進する役割として4つめのチームであるCoreServicesEngineering&Operations(通称CSEO)が重要な存在になった。それまではそれぞれの細かい事業部のITインフラやサービスチームが縦割り構造でデータを管理し,事業部の要請に沿った社内用のツール開発をしていたが,それでは会社全体を横断的に変革させることはできない。そこで,CSEOという形でプロダクトや事業部の垣根を超えた超巨大チームを社内につくったのだ。マイクロソフトの公式CSEOビデオ4)によると,2020年現在で5500人以上の従業員がCSEOに属している。

4 CSEO の目指しているゴール

CSEOで問題視されたのは,企業データが従来の縦割り構造のもとでサイロ化(分散)されている点だった。というのも,マイクロソフトでは過去何十年もかけて蓄積されたデータが,製品やチーム,機能ごとにばらばらに管理されていたため,本来であれば社内共通のリソースとして他のプロジェクトにも活用できたであろうデータの価値が損なわれてしまっていた。そこで,サイロ化されたこれらのデータを信頼のおけるソースのもとに一元化し,社内の誰でもアクセス可能にするためにDXを行うことにしたのだ。顧客や提携先,社員にとって深い洞察や知的な体験を得るための基盤となること。そして,予測値に基づき,施策などのアクションに落とし込みやすく,能動的な意思決定につなげること。これがCSEOの目指しているゴールである。

5 エンタープライズデータストラテジー戦略

そのゴールを達成するために,CSEOではエンタープライズデータストラテジーという戦略をまとめた。この戦略は,次の5つの目標を念頭に置いて構成されている5)

①高品質かつ安全で信頼できる一元化された企業のデータ基盤を構築すること
②データを統合することで,従来のサイクロ化されたアプローチでは成し得なかった方法でデータを活用する機会を創出すること
③組織全体で「責任あるデータの民主化」を推進すること
④データへのアクセスと利用に関するプロセスの効率化を推進すること
⑤卓越した製品や顧客体験の創造を可能とするマイクロソフトのパフォーマンスを損なうことなく,コンプライアンス及び規制に関する要件を満たす,または上回ること

ここから読み取れることは,DXとは社内の抜本的な組織編成を伴うものであり,決してひとつの事業部を担当している情報システム部や,トップ直下で動く少数の人で成り立つ「DX部」単体で実現できるものではないということである。

6 今後,経営に求められる力とは

マイクロソフトというと,すでにDXが進んでいる会社だと思われているが,そういった会社ですら抜本的な組織変革をしているわけだ。私が経営するパロアルトインサイトにもさまざまな企業の情報システム部から依頼がくるが,事業部と連携がとれていなかったり,予算を持っていなかったりする。主体的にDXを進めるには,この縦割り構造を見直す必要がある。

一例をあげよう。

あるホールディングス(持株会社)において,子会社Aの顧客が,子会社Bにとっての発注先であるケースがある。A社が切実に必要としているデータがB社に存在することも多々あるのだ。こういった場合,情報が一元管理されていれば大きな強みになるのだが,それができている企業はほとんどない。では,A社とB社に対してDXで情報管理しましょうとなっても,A社にはメリットがないために嫌がったりする。予算はどちらが持つべきか,という課題も出てくる。こういったケースでは,ホールディングスが全体利益と課題を明確にし,子会社すべてが互いに,定期的にデータを取りにいける仕組みをつくる必要がある(これはホールディングスに限った話ではなく,ひとつの会社の別部署でも同じことが起こりうる。実際問題,子会社のほうが事業に関する知識もデータも多く保有しているため,ホールディングスレベルでDXを推進するリーダーたちにおいては,発言力や統率力をどのように増やしていくべきかが共通課題となっている。)

今後経営者のリーダーシップに必要なのは,全社的な利益を考え,DXを進められる力と,それに伴う組織編成を行う実行力となるだろう。

参考文献
1)https://news.microsoft.com/id-id/2020/11/27/how-microsoftbecame-an-intelligence-driven-organization-and-how-yourbusiness-could-do-the-same/
2)https://customers.microsoft.com/en-us/story/839582-cseoprofessional-services-azure-arc
3)https://en.wikipedia.org/wiki/Microsoft_engineering_groups
4)https://www.microsoft.com/en-us/itshowcase/working-in-cseothe-heartbeat-of-microsoft
5)https://www.microsoft.com/en-us/itshowcase/powering-digitaltransformation-at-microsoft-with-modern-data-foundations
6)石角友愛,「いまこそ知りたいDX戦略自社のコアを再定義し,デジタル化する」,ディスカヴァー・トゥエンティワン,p.41~p.502021年4月23日発刊

パロアルトインサイトについて

AIの活用提案から、ビジネスモデルの構築、AI開発と導入まで一貫した支援を日本企業へ提供する、石角友愛氏(CEO)が2017年に創業したシリコンバレー発のAI企業。

社名 :パロアルトインサイトLLC
設立 :2017年
所在 :米国カリフォルニア州 (シリコンバレー)
メンバー数:17名(2021年9月現在)

石角友愛
<CEO 石角友愛(いしずみともえ)>

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。また、毎日新聞「石角友愛のシリコンバレー通信」、ITメディア「石角友愛とめぐる、米国リテール最前線」など大手メディアでの寄稿連載を多く持ち、最新のIT業界に関する情報を発信している。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
お問い合わせ、ご質問などはこちらまで:info@paloaltoinsight.com
※石角友愛の著書一覧

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